借家権、借地権の相続

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借家権や借地権も相続によって引き継がれる

相続というのは被相続人(亡くなった人)の持っていたすべての財産、そして負債が相続人に移転することですので、借家権や借地権といった権利も当然に相続の対象となります。

親の代が死亡したら契約が終了してしまうのではないか、大家(地主)から「出て行ってくれ」と言われたら応じなくてはならないのではないかと思っている人もいるのですがそうではありません。親と同居していた、いなかったに関わらず法律上の相続人はこれらの権利を引き継ぐことができます。

相続というのは法律の世界における分類では当事者が意図的に行う「法律行為」ではなく時の経過により自然に発生する「事件」です。
よって、被相続人からその借家権・借地権を引き継ぐにあたって更新料や承諾料を支払う必要もありません。あとは大家(地主)に相続が発生したことを通知しておくのみで足ります。

ただ、建物所有のために借地権を設定している場合はその建物自体の登記名義は親になっているでしょうから、その名義変更(相続登記)は必要になりますので忘れずにしておかなくてはなりません。

借家権・借地権の種類を確認しておく

借家権は普通借家権と定期借家権に分かれます(その他、一時使用の賃貸借契約もあります)。
従来、借家権は「借地借家法」によって強力に保護されていました。
契約は更新されることが原則であり、もし大家が立ち退きを求めるのであれば「正当な事由」を求められることになります。また、事由によっては大家が借主に「立ち退き料」を支払うことになるケースもありました。
しかし、平成12年に施行された「定期借家権」においては、定めた期間が満了すれば必ず契約は終了し、立ち退き料も支払う必要がないことになっています。

借地権の種類として代表的なのが「普通借地権」と「一般定期借地権」です。普通借地権は、更新を続けることによって半永久的に借り続けることもできます。
また、一般定期借地権についてはその契約期間は50年以上とされています。定期借地権は更新がなく、契約期間が満了したら更地にして返さなくてはなりません。

借家権や借地権を相続したら、特に存続期間を中心に、契約内容をよく確認しておくことが大切です。

「居住権」は内縁関係でも認められるか?

法的には「居住権」という権利が明確に定められているわけではなく、これは事実上の権利といった位置づけになるでしょう。

上記で「親と同居していなかったとしても、法律上の相続人なら借家権・借地権を相続できる」としましたが、逆に「同居していたが、法律上の相続人ではない者」についてはどうなるのでしょうか?

「借地借家法36条」では、「居住用建物の賃貸借の承継」として次のことが定められています。
「居住用建物の賃借人が相続人なしに死亡した場合において、その当時婚姻又は縁組の届出をしていないが、建物の賃借人と事実上夫婦又は養親子と同様の関係にあった同居者は、建物の賃借人の権利義務を承継する」

つまり、内縁の夫婦や縁組の届け出をしていないが親子同様に暮らしていた関係にあった者は従来借りていた家に住み続けることができることになります。
ここには「相続人なしに死亡した」という条件がついているため、もし相続人がいれば相続人が内縁の妻に退去を要求できることになるでしょう。
ただ、判例では相続人が正当な理由なく退去を求めた事案については「権利の濫用」としてこれを否定しているものもあります。

借地権を相続した場合の評価方法

借地権も相続財産に含まれますので当然、相続税の計算をする際に参入しなければなりませんが、借地権は「自用地としての評価額×借地権割合」という式を使います。
借地権割合は、借地の背景事情が類似した地域ごとに定められていますが、これは国税庁のウェブサイトに掲載されている路線価図や評価倍率表を使って調べることができます。

定期借地権の場合は通常の借地権と比べて次のような特色があります。
・契約の更新がない
・借地上の建物を建て替えたとしても契約期間が更新されない
・契約終了時に地主に対し「建物買取請求権」を行使することができない

つまり、原則的には契約が満了した時点で借主は建物を壊し、その土地を更地にして地主に返還することになります。
定期借地権を評価する際の価額は、課税時期に借地人にどのくらいの経済的利益があるのか、そして借地権の存続期間がどのくらいかということを加味して計算します。
上記のように定期借地権は期間満了後に契約が更新されないため、その残存期間が短くなればなるほど評価額が減少していくことになっています。

使用貸借は借地権がないものとして評価する

たとえば、親の土地に子供が建物を建てて無償で利用しているというのはよくあるケースです。この場合は子供の借地権は発生していないものとされ、土地の方も更地として評価されることになります。

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