不動産の相続登記トラブル

イメージ 不動産の相続登記

不動産の相続登記について

不動産登記は所有する不動産の所在、所有者の住所・氏名などを公的な書類に記載しておくことで、権利関係などを明確にするためのものです。不動産登記は義務ではありませんが、特に相続などで不動産の権利が移動した後は、「相続登記」をきちんと行うことで、トラブルを未然に防げます。
「相続登記」は、親(被相続人)が亡くなったのちに、生前に親が所有していた不動産の名義人を変更する登記のことです。相続登記には、「法定相続分による登記」「遺産分割協議による登記」「遺言による登記」の3種類があります。
不動産の所有形態や権利関係が複雑でなければ、相続登記は自分で行うことも可能です。その場合は、親(被相続人)の戸籍が必要になります。専門家に依頼する場合、相続登記を行うことのできる専門家は弁護士や司法書士です。行政書士は書類作成のみで、申請することはできません。弁護士は相続争いになった際に依頼されることが多いようです。

トラブルに注意

前項で「弁護士は相続争いになった際に依頼される」と述べましたが、実際にそうしたケースも少なくありません。親の戸籍を取得してみたら、自分たちのほかに誰も知らない子供が存在していたということもあります。
注意しなければならないのは、遺産分割協議で決まった相続登記には、すべての相続人の実印が押された遺産分割協議書がないと手続きができないのに対し、法定相続分の相続登記は、相続人1人の申請で可能であるということです。
そのため、遺産分割協議により不動産を相続することが決まった長男の一郎さんが登記をしないでいる間に、次男の二郎さんが遺産分割協議に反して自らの法定相続分(遺産の1/2)の不動産を無断で登記し、それを第三者に売却したとします。そして、事情を知らない「善意の第三者」が登記をしてしまうと、本来の相続人である一郎さんは、不動産を取り戻すために訴訟を起こさなければならず、また、裁判の結果、自分が相続するはずだった不動産を失うことにもなりかねないのです。
なお、遺言において長男の一郎さんに不動産を「相続させる」と記載がある場合には、たとえ上記のように二郎さんが勝手に登記して、事情を知らない第三者に対して売却し、そのように登記されたとしても、一郎さんは不動産を取り戻せます。

早めに対応

相続登記には期間の制限は定められていません。そのため、当該土地を売却するなど必要になったときに登記すれば、法律上問題はありません。しかし、相続登記に限らず、遺産分割協議などについてはトラブルを未然に防ぐためにも、早めに手続きをするべきです。
実際にあったトラブルの事例としては、被相続人である父親の死亡後、相続人である3人の兄弟(長男・長女・次男)は父親の所有である土地を登記することなく十数年間も放置していました。ある時、土地の購入希望者が現れたのですが、登記を放置している間に長男と長女が亡くなっており、長男と長女の配偶者や子供たちなどに相続人の範囲が広がっていました。その結果、縁遠い親戚同士で遺産分割協議を行い、大変な手間や時間がかかってしまいました。
たしかに、相続登記や遺産分割協議には期間の制限はありませんが、放置しておくことでさまざまなデメリットが生まれます。時間が経過することで書類集めが困難になったり、相続人の協力を得ることが難しくなったりします。自分の父親名義の不動産であればまだしも、祖父母の代までさかのぼって必要書類をそろえなくてはならなくなったとしたら……。
多くの方が「やらなきゃいけないよな」と思いながら、つい先延ばしにしてしまっているであろう相続登記ですが、手に負えなくなってから慌てる前に、早めに済ませておくことが肝要といえるでしょう。どうしても自分では問題を処理できないとなったら、相応の費用を負担して専門家に相談するしかありません。

登記していないと……

仮に相続登記を行うことを放置していると、次のようなデメリットが生じます。

相続登記を行わない場合のデメリット

  • 不動産を売却したり、担保として提供したりできない。

→不動産を相続しても、相続登記が完了していないと不動産を相続したと認めてもらえません。

  • 後に相続登記をしようとしても、相続登記できなくなる可能性がある。

→相続登記を放置している間に相続人が死亡すると、次々に相続が発生してしまいます。
また、年月が経過するほど必要書類を集めることも困難になります。

  • 時間が経過してから相続登記をすると、費用が高額になる場合が多い。

→相続登記は自分で行うこともできます。司法書士に依頼する場合も通常数万円の費用で済みます。しかし、手続きが困難になると報酬が数十万円になることもあります。

不動産に限ったことではないのですが、相続財産を有効利用するためにも、早期の相続登記(名義変更)を行いましょう。