相続とは

「相続」とは、死亡によって被相続人(亡くなった人)に帰属していたあらゆるものが法定相続人(民法で定められた範囲の相続人)に引き継がれることです。






相続により引き継がれるものは何?

昔の日本には「家督相続」というものがあり、戸主が死亡しなくても次の戸主に相続される制度がありました。しかし、現在の法律では相続が発生する原因は必ず「死亡」となっています。
相続によって引き継がれるもののイメージはおそらく「プラスの財産」ではないでしょうか。被相続人の名義となっていたものすべてが相続人に帰属することになります。
プラス財産の具体例としては「不動産」「現金」「預貯金」「株式」「自動車」などがあり、財産価値を有するもの全部です。
また、プラス財産と同時に「負債」も引き継がれることに注意が必要です。負債の例としては「借入金」「保証債務」「生前の家賃や日常生活費等の債務」などです。

法定相続人は民法で決まっている

被相続人の財産を引き継げる権利があるのは、法定相続人と呼ばれる「民法で定められた範囲の相続人」です。
これは、故人との現実の関係が近かったか遠かったかということは関係なく、一律に血縁関係の範囲で定められています。
たとえば、どんなに仲が良かったとしても戸籍に入っていない夫や妻(=内縁関係)は相続することができませんし、息子の嫁がどんなに献身的に介護してくれたとしてもその嫁には相続分がないのです。

法定相続人についてはそれぞれの相続分も一応、民法で定められてはいるのですが、現実に即して考えると不公平感が生じることもあります。
ですから、この法定相続分に縛られることはなく、法定相続人全員が合意すれば法定相続分と異なる配分で相続財産を分配することもできます(遺産分割協議)。

ただ、上記の「介護をしてくれた嫁」のように元々法定相続人でない人はそもそも遺産分割協議に参加する権利(=相続財産を受け取る権利)を持たないため、被相続人が遺言書で財産を「遺贈」するしかないことになります。

被相続人の意思によって処分方法を決めることも

相続とは、誰かの意思によって結ばれる契約のような「法律行為」とは異なり、被相続人(亡くなった人)の死亡によって必然的にもたらされる「事件」です。

とはいえ、被相続人は自分が持っていた財産を死後どうすることもできないわけではなく、「遺言書」を作ることによってその行き先を指定することができます。
また、「死因贈与」といって、もらう相手方との合意によって死亡を原因とする贈与をすることもできます。

ただ、現実にトラブルになりやすい点として、被相続人がすべて自分の思うままに相続財産の行き先を決めてしまうと、法定相続人に最低限保障されている「遺留分」という割合を侵害してしまうことがあります。
遺言書については遺留分の問題以外にも注意すべき点が数多くありますので、自分の判断だけで作成せず専門家に相談することが賢明です。

ある人の生死がわからない場合は相続できない?

たとえば、ある人がずっと失踪して生死不明のままになってしまったらどうなるのでしょうか。もしその状態でいつまでも相続できないとなると周りの人たちの法律的な権利関係が確定しなくて困ることもあるでしょう。

よって、一定の期間失踪したままの人については、家族などの利害関係人から家庭裁判所に「失踪宣告」という申立てを行い、死亡を擬制(みなす)ことができることになっています。
失踪期間は、通常の失踪であれば7年間、海難事故、戦争など特殊な状況の場合は1年となっています。


遺産分割協議をしていない=相続していない、ではない

勘違いしがちなのが、相続というのは死亡により当然に発生しているのであり、遺産分割協議(遺産をどう分けるかという話し合い)が終わっていないからまだ相続人に帰属していないわけではないということです。
つまり、遺産分割協議が行われる前の段階ではとりあえず法定相続人全員に法定相続分(民法で定められた取り分)で帰属しており、それが遺産分割協議により修正されて確定されるという考え方です。
よって、その財産に関し何らかの義務が発生した場合に、相続人はまだ遺産分割協議をしていなくても全員でその義務を果たすことが必要という理屈になります。たとえば、他人に貸している不動産を相続した場合に、それを賃借人に使用収益させる義務などがこれにあたります。


「一身専属権」とは?

ただ、「相続によりすべてが引き継がれる」とはいってもそこには一定の例外があります。
「一身専属権」といって、その人でなければ意味がないような立場などは相続の対象にならないのです。
具体的には、「被用者としての地位」がこれにあたります。会社勤めをしていた親が死亡したからといって、会社員の地位を子供が当然に引き継ぐというのはやはり違和感があるでしょう。その地位は、その親自身の能力に着目して得られていたものだからです。
また、法律上明文の定めはないものの、生活保護の受給権や公営住宅の使用権なども一身専属権であるとされています。これらも、個々の人の状況に着目した上で与えられている権利だからです。

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