遺言とは何か

遺言

遺言とは、ある人が自分が亡くなった際に備えて自分の財産等に関する遺志を実現してもらうべく、書面に希望を書き残すものです。
遺言というとどうしても「お金持ちにしか関係ないもの」「自分の家は財産が少ないから争いなど考えられず、遺言は必要ない」と考えがちです。
しかし、遺言の必要性は財産額とはまったく無関係です。むしろ、財産がなく、各相続人が不満を持ちやすい家や、財産構成が偏っている(たとえば大部分が不動産)家ほど遺言の必要性は高いことになります。


遺言の形式

遺言書を作成しようと思った場合、多くの場合は「公正証書遺言」もしくは「自筆証書遺言」で行われます。
「公正証書遺言」は、公証役場に証人2名とともに出向き、公証人の面前で作成する遺言書です。これは遺言者との面談により公証人に確認してもらうため、遺言者の遺志が反映されている可能性が極めて高くなること、原本を永久的に保存してもらえるため、改ざんの心配がないことなどがメリットです。
相続財産の金額やもらう人の数により数万円から場合によって10万円以上の公証人手数料がかかることが難点ですが、不動産の名義変更などの際はこの公正証書遺言が絶大な効果をもたらしますのでせっかく遺言書を作るのであればぜひ公正証書で行いたいものです。
一方の「自筆証書遺言」は、自宅で自分で準備した便箋等に自筆して行うため、比較的手軽でいつでもでき、費用もかからない方法といえます。
ただ、自筆証書遺言はそれが有効になるための法的要件が厳しいことの他にも重大な欠点があります。
もし遺言者の死亡後にこれが発見されなければ結局相続人は遺産分割協議をしなければならないことになり、被相続人(亡くなった人)の遺志は正確に反映されないことになります。
また、発見されたとしても家庭裁判所での「検認」と呼ばれる証拠保全の手続きが必要になりますので、素早く遺言書の内容を実行に移したい時などは時間と手間がかかって不便です。
さらには、金融機関等、民間の相続手続きにおいては「自筆証書遺言」では受け付けてくれないことがしばしばあります。たとえ民法における要件を満たしていたとしても社内の基準で決まった書類を提出しなければ解約や名義変更ができないということがあるのです。
そのような意味では自筆証書遺言はかなり中途半端で不完全な面が多いといえますので、費用はかかりますがやはり公正証書遺言がベストな選択といえるでしょう。

遺言書を作成する上で気をつけたいこと

では、遺言書を作成するにあたっては、具体的にどんなことに注意するべきなのでしょうか。

必ず考慮しなければならない項目は「遺留分への配慮」です。

遺言を遺すメリットとして非常に大きなことが、「法定相続分(民法で定められた相続分)と異なる配分で相続させることができること」や「法定相続人(民法で定められた範囲の相続人)以外にも財産を残せる」ことです。

しかし、遺言者の配慮が欠けていたためにとんでもない争いに発展することもあります。

法定相続人各人は(兄弟姉妹が相続人になる場合を除き)「遺留分」という一定割合の権利を有しています。

法定相続人になるのが直系尊属のみの場合は法定相続分の3分の1、それ以外の場合は法定相続分の2分の1が遺留分になりますが、もし遺言書で定められた配分がこれに満たなければその相続人は「遺留分減殺請求権」を行使してその他の相続人に取り戻しを請求することができます。

親の側は昔の感覚で「長男にすべて相続させておけば不満はないだろう」などと軽く考えてしまうこともありますが、子供世代と大きな感覚のギャップがある場合も珍しくありません。
最低でも各人に遺留分は確保すること、そして、どうすれば子供たちが不公平感を感じないのかを考慮した上で作成しなくてはならないのです。

次に気をつけたいのが「財産を明確に特定すること」です。

特に「〇〇銀行の口座」とか「〇〇市の土地」などという言い方で親族には通用するでしょうが、その手続先機関である法務局や銀行はそのような形では受け付けてくれません。

預金口座は通帳を見ながらしっかり支店や口座番号を明記する、不動産は登記簿を見ながら所在、地番、地目、地積などをそのまま転記するくらいの緻密さをもって、誰が見ても争いのないように記載するべきです。

最後に、「曖昧な表現をしないこと」です。

「自筆証書遺言」を遺している人の多くがこのような書き方をするのですが、「長男にすべてを任せる」というような「法律用語を明確にしない、曖昧な」表現をしていることが問題になることがあります。

「任せる」という言葉は長男がすべて相続してよいということなのか、長男主導で遺産分割協議の話し合いをしてほしいということなのかが明確になっていません。

もし相続させたい意図なのであれば「〇〇に相続させる」と記載しなくてはならないのですが、そうなっていないために手続きができない、しかしもらった(と思っている)本人は納得がいかないという何とも中途半端な結果になってしまいます。

上記の各注意点をクリアするためにも、やはりいったんは法律家の目を通した方がよいでしょう。

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