依頼者と相手方が納得できる道を一緒に探していく。多様な相続問題を解決してきたベテラン弁護士
「社会の利益になる仕事がしたい」と弁護士になった牧野先生。「税や登記、家族関係といった複雑になりがちな相続問題を、俯瞰的に捉えられるのが弁護士だ」と先生は語ります。
今回は実際に取り扱った事例や、弁護士に依頼するか迷っている方へのアドバイスを伺いました。
目次
勝てる見込みのないときは、早めに落としどころを見つける
―依頼の解決の際に、心掛けていることはありますか?
私は「負ける裁判は負けた方が良い」と思っています。これは依頼者の不利になるように進めるということではありません。証拠をしっかり集めたうえで、勝てる見込みのない裁判は早めに落としどころを見つけるべきだということです。
実際に依頼者や相手方の意見を聞き、証拠を地道に集めても依頼者が勝つ見込みのない事案は多数あります。そうした状況で、依頼者の損害が少なくなるように交渉するのが我々の役目。ですので状況によっては「ここは負けましょう。遺産の〇割で手を打ちましょう」と依頼者に提案することもあります。
相続問題は財産の問題であると同時に、家族の問題です。裁判で勝ったものの、その後の家族の関係が悪くなってしまったというのでは、本当の解決とは言わない。関係を維持しつつ、双方が納得できる妥協点を探っていくのが弁護士の仕事だと考えています。もちろん、関係が悪くなっても財産的利益を守りたいこともあるので、ケースバイケースですね。
たくさんの案件に関わりましたが、家庭によって事情は異なります。何十年にわたる問題が根っこにあることもある。相続問題を解決に導くためには、いさかいの元を解きほぐすことが大切ですね。
多様なケースを臨機応変に対応
相続について、本当にいろんな事案を経験しています。
例えば遺言書作成もさまざま依頼されました。工夫したのは残された家族の紛争防止と、特に思い入れの強い人への多めの取り分確保のバランスですね。
具体的には、遺留分が問題となることが明らかな場合には、いくらかの配分する。遺言書の最後に簡潔に説明文を付加したりですね。
遺言書の効力を争う事件も扱っています。遺言書は、作成時の認知能力の有無が争点になることがあります。そのため、遺言書作成時の病院のカルテを取り寄せたり、医師の証言を取ったりすることで解決しました。
また遺言書作成した際の人間関係などの状況と、遺言書の内容が大きくギャップがあったケースもありました。それは実際の状況との乖離から、解決の糸口が見えたので遺産分割協議でまとまりましたね。
そこで興味深かったのは、それまで疎遠だった親族が激しく議論しあったことで解決後に仲良くなったということですね。
相続放棄も多数取り扱いましたが、被相続人の財産に少しでも手を付けてしまうと単純承認(遺産をすべて相続すると認めること)にされてしまうことがあります。なにげない費用の支払いや、財産を処分が単純承認になってしまうので注意が必要な分野です。
遺産分割協議も相続人間で複数のグループができて、対立した案件も扱いました。それぞれのグループが賛同できる代償分割案を、なんとか作成してほぼ全員が一応満足した結果になりました。
他には被相続人の面倒をみたけど預金も使ったとして、特別受益(被相続人から一部の相続人だけに贈与すること)の主張と寄与分の主張とが真っ向から対立した事案もありました。
まずは預金通帳・領収書の証拠から「通常これくらい費用がかかるだろう」という概算を提示。寄与分的配慮も加えて、双方がなんとか納得して調停まで行かずに解決できた事案もあります。
相続問題は家族間の人間模様も反映するので、上手に解決するとやりがいがあります。これからも取り扱って行きたいです。
新たな分野としては、ネコを飼っているのでペットに関しての法律相談なんかも受けたいですね。相談者とペット談義をしながら。
また、マリンスポーツも長年楽しんできたので、スポーツ事故やトラブルについても扱っていけたらと思っています。
約20名の弁護士がサポートする安心感
―先生が所属される事務所は、たくさんの弁護士さんがいるんですね。
ややこしいんですが、『フェアネス法律事務所』は2つありまして。『弁護士法人 フェアネス法律事務所』と法人格のない『フェアネス法律事務所』です。私は法人格のない方の弁護士をやっています。
ただ分かれているとはいえ、同じオフィスで働いているわけですから、協力して案件に取り組むこともあります。「これはあの弁護士の得意分野だな」と思えば、チームを組んで一緒に依頼を解決することもありますよ。その辺はフレキシブルに対応しています。
加えて、事務所の約20名の弁護士の経験や知識も、生かせる体制になっています。だからどんな複雑な案件でも、対応できる自信がありますよ。依頼される方には、安心して相談していただきたいです。
社会全体の利益につながる仕事を求めて弁護士に
―弁護士をめざしたきっかけは何だったのでしょうか?
もともとは理系で天文学や物理学を好み、アインシュタインを目指す学生でした。しかしどうも彼のようにはなれそうにない。そう考えていた時に、社会に貢献できて創造的で知的な活動ができる職業として方向転換したのが弁護士でした。
その考えは今も持っていて、近年、裁判員制度に注力していることにつながります。これまで裁判官だけにゆだねられていた判決に、市民の目が入るのは私が以前から求めていたことだったからです。こうした社会全体の利益になる政策に関われるのは、大変やりがいを感じます。
相続のモヤモヤをはっきりさせるのが、弁護士の仕事
―弁護士に依頼しようか迷っている方にアドバイスをいただけますか?
何が問題になっているかクリアでなくても、まず弁護士に相談してみてください。状況がはっきりしていなくて取り留めのない相談になりそうだとしても、とりあえず弁護士へ。問題点がはっきりしてからでは手遅れになることがあるんです。何が問題なのかをはっきりさせることが、我々専門家の仕事ですからね。
また他の士業との連携ができる弁護士事務所をおすすめします。相続問題は税や登記と切り離せませんから、弁護士を窓口に他士業に依頼するのもありだと思います。私の事務所では税理士さんとの提携もありますので、相続について総合的に対応ができるようになっています。
それと相談するときは複数名で行った方がいいですよ。複数人の意見が聞けると弁護士は多角的に判断できます。最後の最後で家族に確認したら反対された、なんてこともよくあるんです。ですから兄弟や夫婦、ご高齢の方であればお子さんと一緒に相談された方がスムーズです。
初回相談だけでも大丈夫ですので、モヤモヤを解決するために弁護士に相談してみてください。
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