事業承継から国際的な相続まで。あらゆる法務・税務に熟知した法律のエキスパート
「弁護士は事実を白、黒と色分けするのが仕事。グレーなことにはある意味、解決につながる可能性が眠っているんです」とお話してくれた永井 秀人弁護士。法務・税務に強い弁護士兼税理士として、企業法務の案件を主に取り扱っているそうです。
企業法務をしていると、相続と関わりをもつ場面も多いとか。今回は永井先生に相続の印象的な事例やこれまでの経緯などを伺いました。
法律や税務の専門家として、国内や海外の優秀な専門家とチームを組んで、誰も手がけたことのないような案件や訴訟、税務紛争に携わる。協力専門家である国税OBの中村先生は、釣りの師匠でもある。
リーズ法律事務所
目次
企業法務や事業承継、相続の問題に取り組む
―永井先生は企業法務を多く受けているようですが、相続の案件もありますか?
そうですね。確かに企業法務が多いですが、相続の案件も常に1、2件は来ていますよ。企業法務としてお客さんと関わるうちに、相続に関する問題を相談されたりするんです。事業承継について相談されたり。
私は税理士登録もしており、企業の税務も得意としているんですが、一緒に仕事をする税理士から紹介されることもありますね。相続税や固定資産税など、税理士だけで対応できるはずの案件がうまくいかず、弁護士の介入が必要になるんです。そこでは、法律論だけではなく、税務面でもサポートしています。
あとは、国際的な相続の案件も年に何件かは来ます。人か物のどちらかが海外にあるんですよ。「海外で相続したけど、日本での申告はどうするのか」「海外に遺産を残して、親が日本で亡くなってしまった」といったご相談を受けますね。
あらゆる問題が重なった、不動産の登記の事例
―これまで印象に残った、相続の案件はありますか?
数十年前に相続した不動産の登記の案件が印象的でしたね。いろいろな問題が複合的に絡んだ問題で、解決するのに苦労したんです。
その不動産は数十年前に亡くなった方のものです。その方は離婚後再婚し、その後、後妻さんともども亡くなりましたが、所持していた不動産が今もなお本人の名義のままだったんです。
「いつまでもこのままにしておけない。いずれ不動産の売却を考えているので、きちんと登記をしておきたい」というのがお客さんのご希望でした。
しかも前妻との子どもが4人、後妻にも子どもが3人いて。相続人の人数が多いうえに、亡くなった子どももいて孫への代襲相続がありました。代襲相続とは、亡くなった相続人の相続権を相続人の子が引き継ぐ相続のことです。
さらに相続放棄している方もいて…。相続放棄の書類を家庭裁判所に取り寄せる必要がありました。
それに、登記には故人と相続人の戸籍が必要になりますが、かなり昔に相続したものなので、情報が集められないんです。なので「戸籍の附票がありません」という証明書を役所に出してもらって。必要書類が揃えられなかったり、手続きが煩雑でもありました。
親族関係ももめていたので、当事者同士の話し合いはできませんでした。ですが相手方にも弁護士がついたので、交渉で終わらせることができました。
事業承継は生前から対策しておくことが大切
―事業承継の案件で、印象に残っているものはありますか?
事業承継にしても、いろいろなパターンがありますね。
代替わりがうまくいったとしても、先代がまだ株式をもっていたり、会社に対して債権をもっているパターンは良くないですね。次の社長さんが苦労してしまわないように、債権や債務は相続の前に清算しておくのが望ましいです。
債権や債務はそのまま相続財産になってしまいます。なので債務免除の手続きを取ったりします。株式については株式評価を取って、適正な手続きで相続するようにします。中小企業の株式の値段をつけるのはそれなりに難しいですが、一定の公式に当てはめればそんなに大変ではありません。
―事業承継をする前に、社長さんが亡くなることもあるんですか?
ありますね。そうなると誰がその会社を継ぐのか、2代目が決まっていない状態になるんです。しかし、親族は会社を継ぎたくない場合も多いんですね。
そうなると、2つの方法が考えられます。ひとつは見ず知らずの第三者に、M&A仲介会社などを通して合併買収されるパターン。
もうひとつは先代社長の右腕、番頭さんのような方に会社を買い取ってもらうパターンですね。しかしこれも断られることが多い。「会社を買い取るなんて、そんなお金ありません」と言われてしまいます。
「会社からお金を貸すので、そのお金で会社を買い取ってもらえませんか。それで少しずつ返済すれば大丈夫ですよ」と伝えても断られてしまうんです。社長になるには責任が伴いますからね。事業承継は、できれば生前のうちに対策しておくことが望ましいです。
商社での勤務から、企業法務をメインとした弁護士を目指す
―永井先生は、どうして弁護士になろうと思ったんですか?
最初は弁護士になろうと思っていなくて、大学を卒業して総合商社に入ったんです。そこでは債券を発行してお金を調達する仕事をしていました。
そこで、企業法務の弁護士さんと出会ったんです。一緒に働くうちに「企業法務の弁護士ってこういう仕事をするんだ」と初めて知りました。
それまで大学で法律の勉強はしてきましたが、民法など、世の中のための法ばかりだったんです。でも企業に入って見えてきた法律の世界は、ダイナミックで面白いなあと感じました。
それで企業法務に興味を持ち、弁護士を目指そうと思いました。特にお金に関係するところ、債権や契約書、合併買収などを国際的な立ち場でお手伝いできる弁護士になりたくて。
―最初はビジネスマンだったんですね。こちらの事務所を開業するまでに、他の事務所にも所属されてたんですか?
国際的な仕事がしたくて、外資系の法律事務所に入所しました。実際そんな仕事ばっかりで、会社員のときより忙しかったです。日本人の弁護士が50~60人、海外の弁護士が100人くらいいましたね。
その間、アメリカに2年間行きまして、その法律事務所のロサンゼルス支店でも勤務しました。国や文化が違う、いろいろなバックグラウンドの人と一緒に働けたのはユニークな経験になったと思います。
―ホームページに国税不服審判所の国税審判官(特定任期付職員)の経歴がありますが、こちらはどんなお仕事でしょうか?
国税不服審判所は、税金に不服のある方が処分を見直してほしいと審査を請求する場なんですが、そこで裁判官のようなことをしていました。そのときは国際課税を含む幅広い税目を担当して、多くの税務争訟を審理、判断していたんですよ。
―こちらはご自身で応募したんでしょうか?
はい。税金の知識をもっと増やしたいと思って応募しました。
応募した理由ですが、商社にいたときから税金ってすごく大事だと思っていたんです。お金をいくら稼いでも税金で持っていかれる、例えるなら太陽が沈んで月が出るように、利益を得たあとには必ず税金がやってくるんです。
なので弁護士として企業をサポートするうえで、知識だけでなく経験も積んでおきたいと思いました。
国税審判官は良い経験でしたよ。国税の職員とも仲良くなれました。「床板を剥がしたら、札束が出てきた」みたいな裏話もたくさん聞けて、面白かったです。
お客さんの言葉で、どうしたいかを聞く
―お客さんとお話するとき、どういった点に配慮していますか?
そうですね、まずはお客さんがどうしたいかを聞くようにしています。「税金をとにかく減らしたい」「遺産を取り返したい」とか、ご自身の言葉で話してもらいたいですね。
人によって、その話が長くなることもありますが、細かいところにも解決のヒントはあるので、なるべく聞くようにしています。交渉するときの材料にもなるんですよ。話に具体性がつくので、そのときのエピソードや裏付けになりそうなやり取りは深堀りして聞きますね。
真実がどうであっても、証拠がないと立証しづらいのが弁護士の世界なんです。小さなところに大事なことが眠っているので、どんなストーリーでも聞き逃さないよう気をつけています。
―さすがです!最後に、弁護士への相談を迷っている方に、メッセージをお願いします。
どんな小さなことでも、気になることはとりあえず聞いてみるのがラクですよ。私達も先生などと呼ばれていますが、サービス業なので、どんな方でも来ていただければ嬉しいです。
メンタルの面でも「相談したら気持ちがラクになった」っていうお客さんも多いです。法律の専門家にアドバイスしてもらうことで、安心もできると思います。
弁護士は話を聞いて「それは白ですね、黒ですね」と色分けするのが仕事だと思っています。「グレーです」と言うときも多々ありますが、そこには新たな解決への可能性が眠っています。どうぞ弁護士を頼っていただいて、気軽にお越しください。
―ありがとうございました!
▶リーズ法律事務所ご希望の地域の専門家を探す
ご相談される方のお住いの地域、遠く離れたご実家の近くなど、ご希望に応じてお選びください。