【事例】子どもは相続放棄して遺産は全て母に渡したい(58歳男性 遺産4,800万円)【行政書士執筆】
「いい相続」や提携する専門家に寄せられた相続相談を元に、その解決策を専門家が解説するケーススタディ集「相続のプロが解説!みんなの相続事例集」シリーズ。
今回は相続人の1人が全財産を相続することを検討されていた、58歳男性の方からの相談事例をご紹介します。
解説は、やおかいKT88行政書士事務所の行政書士・横山修さんです。
この記事を書いた人
平成27年に行政書士登録をしてから現在まで相続関連の業務を中心に行っている。
司法書士、税理士と連携して行う相続業務幅広く対応。
母に全ての遺産を相続させたい、子どもは全員相続放棄を検討中
相談内容【相続手続き】
昨年9月に父親が亡くなりました。家族で話し合い、子供3人は相続放棄し、遺産は全て母が相続することにしました。この場合、必要な相続手続きを教えてください。
相談者について
■プロフィール:58歳(男性)
■お住まい:埼玉県
■相続人:母・長男(本人)・妹・弟の4名
■被相続人:相談者の実父
財産の状況
総額4,800万円
財産の内訳 | 内 容 | 評価額 |
---|---|---|
不動産 | 自宅マンション | 1,800万円 |
預貯金 | 銀行4行の合計 | 1,500万円 |
生命保険 | 契約者:被相続人/受取人:母 | 1,500万円 |
相関図
解決方法を横山行政書士が解説!
-
やおかいKT88行政書士事務所
- starstarstarstarstar
- 5.00
- (3件)
- 初回面談無料
- bookmark_borderいい相続提携
愛知県豊橋市に対応可能
- アクセス
- JR東海道本線 二川駅より徒歩10分
無料通話 平日 9時~19時 / 土日祝 9時~18時
愛知県豊橋市の東海道五十三次の33番目の宿場である二川宿にて事務所を構えています。 ここは全国でも大名が宿泊した二川本陣が残っている稀な地域です。 平成27年より行政書士登録を行い現在まで相続関連の業務を中心に行ってきました。 司法書士、税理士と連携して行う相続業務もしています。 二川本陣に見学の際は事務所にお寄りください。目印は格子がある建物です。
- 遺言書
- 遺産分割
- 相続財産調査
- 相続手続き
- 銀行手続き
- 戸籍収集
- 相続人調査
- 電話相談可
- 訪問可
- 土日相談可
- 初回相談無料
- 18時以降相談可
- オンライン面談可
- 事務所面談可
この事務所の詳細を見る
「財産を相続しない」は「相続放棄」ではない
必要な相続手続きを説明する前に、相続に関する用語について1つ解説させて頂きます。
ご相談内容には「家族で話し合い、子供3人は相続放棄し、遺産は全て母が相続することにしました」とあります。ご相談者様は「財産を相続しない」ということを「相続放棄」という言葉で表現されたのだと思われますが、正確には相続放棄というのは、「相続放棄申述書」を相続発生後(亡くなった後)原則3カ月以内に家庭裁判所に申請することを示します。これが受理されると、正式に相続人ではなくなると認められ、相続放棄が成立します。
裏を返すと「自分は財産を相続しない」と相続人同士の話し合いの中で宣言しただけでは、相続放棄にはなりません。このことを理解していないと、あとから借金が発覚した場合でも、支払い義務が発生してしまうため注意が必要です。
相続放棄は、正の財産よりも負の財産が多い場合、つまり借金のほうが多いケースなどで主に選択されます。ご相談者様の場合は、負の財産がないとのことですので、わざわざ相続放棄の手続きをとる必要はありません。
「法定相続情報証明制度」の活用して手続きをスムーズに!
誤解が解けたところで、改めて必要な相続手続きについて確認していきます。
- 戸籍収集
- 住民票・住民票の除票の取得(不動産の名義変更)
- 印鑑証明書の取得
- 登記簿謄本の取得
- 財産目録の作成とそのための各種証明書の取得
- 法定相続情報一覧図の作成
- 遺産分割協議書の作成
- 銀行口座および不動産の名義変更
まずは、誰が相続人かを確定させるために戸籍謄本の収集が必要です。内訳としては、被相続人であるお父様が生まれてから亡くなるまでの連続したすべての戸籍謄本一式と相続人の方それぞれの戸籍謄本が必要になります。
次に財産内容を確定させるため、銀行口座の残高証明書などを取得し、財産目録を作成します。
不動産がある場合は、固定資産納税通知書に記載のある土地・建物の登記簿謄本が必要になります。これは住所さえわかれば誰でも全国の法務局で取るこができます。 また任意になりますが、評価額が0円の不動産は固定資産納税通知書に掲載されませんので、名寄帳を市役所の資産税課などで取り寄せてください。評価額0円の不動産の名義変更手続きが漏れてしまうことがあります。
不動産評価証明書の取得は固定資産納税通知書があれば代替えになりますが、各担当法務局にて不動産名義変更手続きの登録免許税の計算に使われますので、その時にご確認してください。相続人が財産を把握できていない場合は、行政書士に依頼して相続財産の調査から始めてもらうこともできます。
また預貯金が4行にあるとのこと。銀行口座の解約手続きをスムーズに行うため「法定相続情報証明制度」を利用する方法もあります。この制度は簡単に言いますと、相続人が誰になるのかを法務局が確認し、戸籍に代わり相続人を示す書類になります。
法定相続一覧図は発行枚数に制限がありません。また戸籍が多い場合は確認作業が大変になるので、この制度を使うと手続きがよりスムーズに進みます。今回は比較的解約手続き先が多い、あるいは急いで解約したいなどの事情を考慮して利用することもできます。
この制度は行政書士など、よく制度を利用している専門家にお任せください。最初の申請時にかなりの書類が必要になる場合がありますのでご家族で行うのは案外大変なのです。
不動産用に遺産分割協議書を分けて作成することで個人情報保護の効果も⁉
その後、「遺産分割協議書」といって誰がどの財産をどれくらい相続するか、財産の分け方について記した書類を作成し、相続人全員が署名・実印によって同意をすれば、お母様1人が全ての財産を相続できるようになります。
遺産分割協議書作成について今回は不動産がありますので、不動産用とそれ以外で2種類作ることをお勧めします。不動産用の遺産分割協議書は法務局にて相続登記と言って名義変更手続きを行う時に必要となります。
もちろん一つの遺産分割協議書にすべての財産を記載して作成してもよいのですが、必要な情報だけを記載した遺産分割協議書だと、預貯金などの不要な個人情報を法務局に渡さずに済むのでお勧めします。
(なお、当事務所では2種類作成する場合でも追加料金はかかりませんのでご安心ください。)
相続登記(名義変更)手続きは戸籍に加え、被相続人の住民票の除票、相続人の住民票が必要になります。戸籍や印鑑証明などの公的書類は、各1種類ずつ収集して頂き金融機関の手続きでは返してもらえることがほとんどです。原則余分にとる必要がありません。
これらの相続手続きは、ご自身で行うには難しい部分も多くあります。お困りでしたら、相続手続きに慣れている行政書士や司法書士などの専門家に依頼するといいでしょう。
最後に葬祭費、未支給年金等の手続きが必要な場合は必ず行ってください。 お金を頂ける場合があります。
関連事例
【事例】長年母の世話をしてきた。遺産を多めにもらうことはできますか?(66歳女性 遺産2,180万円)【行政書士執筆】
【事例】父の生命保険金の受取人が、既に亡くなった母になっています。変更の手続きは?(47歳女性 遺産5,800万円)【税理士執筆】
相続についてのご相談は「いい相続」へ
いい相続では、全国各地の相続の専門家と提携しており、相続手続きや相続税申告、生前の相続相談に対応できる行政書士や税理士などの専門家をご紹介することができます。 専門オペレーターが丁寧にお話を伺いサポートしますので、お困りの方は、お気軽にご相談ください。
この記事を書いた人
平成27年に行政書士登録をしてから現在まで相続関連の業務を中心に行っている。
司法書士、税理士と連携して行う相続業務幅広く対応。
ご希望の地域の専門家を探す
ご相談される方のお住いの地域、遠く離れたご実家の近くなど、ご希望に応じてお選びください。