ゆうちょ銀行の相続手続きは一日では終わりません。
ゆうちょ銀行は現在は民間会社ですが、その成り立ちから他の金融機関と手続きが異なることが多くあります。
また、相続手続きするためには、平日に窓口へ出向かねばならないこともあり、手続きをする人のスケジュール調整なども必要になります。最近は電話やアプリ、Webサービスで進められる部分も増えていますので、うまく活用しながら余裕をもって手続きをしましょう。
この記事では、ゆうちょ銀行での相続手続きについて効率よく進めるために、わかりやすく、順を追って説明しますので、是非参考にしてください。
この記事を書いた人
いい相続専門ライター
TOKIKO
(株)鎌倉新書にパートタイマーとして入社。2020年チャレンジ制度をクリアし正社員に。
目前に控えたシニアライフを楽しく安心して過ごすために、日々情報集めに奔走するアラカン終活ライター
資格:日商簿記1級・証券外務員二種・3級FP技能士
ゆうちょ銀行での相続手続きの流れ
ゆうちょ銀行での相続手続きするためには、まずは窓口や電話で相続手続きをしたいとの申し出をします。なお、申し出を受けた口座は停止設定され、以降は入出金ができなくなります。
申し出の後、以下の流れで手続きを行っていきます。
- 相続確認表を提出して必要書類一覧を入手する
- 必要書類を準備して窓口へ提出する
- 相続払戻金の入金を確認する
それぞれについて順に説明していきますが、手続き前にするべきことがあります。既にご存じの方は相続確認表を提出して必要書類一覧を入手するへ読み進めてください。
ゆうちょ銀行の手続きの前にすること
死亡届を役所に提出
死亡届が提出されていない場合は、ゆうちょ銀行での相続手続きを開始することができません。
死亡届は、被相続人が亡くなったことが判明したら、7日以内(国外で死亡した場合は、死亡を知った日から3か月以内)に役所に提出します。
葬儀を葬儀社に依頼する場合は、通常、葬儀社が提出を代行してくれます。
死亡届について詳しくは「【死亡届の基礎知識】死亡診断書はコピーが必要?提出期限や再発行のしかたまで徹底解説」をご参照ください。
通帳、キャッシュカードを確認
亡くなった人が、ゆうちょ銀行のどこの支店に口座をもっているのかを明らかにします。
通帳やキャッシュカードを探しましょう。
ゆうちょ銀行の残高確認
ゆうちょ銀行の相続手続きは数週間から1カ月ほどの時間がかかります。
そのあいだに、遺産分割の話をしたり、葬儀代金分の残高があるか知りたくなる場面もあるかもしれません。残高証明書を取るなどして残高を明確にしておくとよいでしょう。
生前から相続準備をしていて、ゆうちょ銀行に預けている金額がしっかりとわかっている場合などではわざわざ残高証明書を取る必要はないでしょうが、相続税申告をする可能性があるときは利息も計算対象になるので残高証明書を取っておくほうが確実です。
ゆうちょ銀行での残高証明書の取り方
残高証明書を取る方法は、ゆうちょ銀行(郵便局)の貯金窓口で「貯金残高証明請求書」をもらい、必要書類を添えて手続きをします。必要な書類は以下のとおりです。
なお、相続人が複数いる場合でも、窓口に行くのは相続人の誰か一人だけでも手続きすることができます。
- 口座所有者(被相続人)の死亡の事実が分かる戸籍謄本等
- 相続人であることが確認できる戸籍謄本等
- 相続人の本人確認ができるもの(運転免許証など)
- 相続人の印鑑
現存調査は1~2週間程時間がかかりますので、余裕をもって手続きをしましょう。なお、調査のみであれば手数料はかかりませんが、結果を残高証明書で取得する場合は前述の手数料がかかります。
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ゆうちょ銀行の必要書類一覧を入手する
必要書類一覧表を入手するために「相続確認表」をゆうちょ銀行(郵便局)の貯金窓口に提出します。
「相続確認表」はゆうちょ銀行(郵便局)の貯金窓口または、ゆうちょ銀行のホームページから入手することができます。記入例もダウンロードできます。
出典:ゆうちょ銀行ホームページ「相続手続きの流れ」相続確認表1/2記入例
「相続確認表」に必要事項を記入したら、ゆうちょ銀行(郵便局)の貯金窓口に提出します。
窓口は、被相続人の名義の口座を開設した店舗でなくても、行きやすい店舗で構いません。提出した後、約1~2週間で相続手続きの専門部署(ゆうちょ銀行貯金事務センター)から「必要書類一覧表」が送られてきますので、これに沿って手続きをすすめていくことになります。
なお、ゆうちょ銀行・郵便局は、相続手続きのように時間のかかる手続きは事前予約した人を優先して案内しています。予約なしで行くと待ち時間が長くなったり、混雑状況によっては後日の来店をお願いされたりすることもあります。ゆうちょ銀行の店舗はWebサイトから予約できます。なお、郵便局は一部の局のみ予約を受け付けているので、事前に問い合わせましょう。
相続Web案内サービスやアプリを利用する
ゆうちょ銀行のホームページから、相続Web案内サービスを利用して必要書類を知る方法もあります。画面の案内に沿って相続の状況や家族関係を回答するだけで、必要書類をその場で確認・印刷できます(所要時間は約15~45分)。
また、スマートフォンの「ゆうちょ手続きアプリ」を使えば、相続確認表の入力から提出までをアプリ上で完結できます。
利用には一定の条件があります。ゆうちょ銀行のホームページで、利用できるかどうか事前に確認しておきましょう。
相続Web案内サービスを入力する際、記号番号を求められるので、手続きの対象となる通帳やキャッシュカードを手元に準備しておきましょう。
なお、投資信託等を利用していた場合はゆうちょ銀行の相続Web案内サービスは利用できません。窓口での手続きを進める必要があります。
ゆうちょ銀行の窓口へ必要書類を提出する

ゆうちょ銀行から送られてきた「必要書類一覧表」に沿って必要書類を準備します。
準備する書類はケースにより異なりますが、ほとんどの場合で必要なのが、被相続人の婚姻(初婚、未婚の場合は16歳)から死亡までの戸籍謄本と相続人全員の戸籍謄本と印鑑証明書です。印鑑登録証明書の有効期限など細かな条件は、送られてくる「必要書類のご案内」で確認しましょう。
戸籍謄本は相続のさまざまな手続きで必要になるため、多めに準備するとよいでしょう。なお、2024年3月1日からは戸籍の「広域交付」が始まり、本籍地が全国各地に分かれていても、最寄りの市区町村役場でまとめて請求できるようになりました(請求できるのは本人・配偶者・直系の親族の戸籍に限られ、郵送や代理人による請求はできません)。なお、コンピュータ化されていない一部の古い戸籍・除籍は対象外となりますので、ご注意ください。
法定相続情報一覧図で手続きを効率化
金融機関の口座などが多い場合や、生命保険の請求を多数の会社におこなう場合などは効率的に手続きをおこなうために「法定相続情報一覧図」を作成するのも一案です。
ゆうちょ銀行でも法定相続情報一覧図の写しを戸籍謄本の代わりに利用することができます。
また、ゆうちょ銀行から「必要書類一覧表」といっしょに「貯金等相続手続請求書」が送られてきますので、相続人全員が自署で必要事項を記入し押印します。
相続人が多く、複数枚にわたる場合は、全員の割り印が必要です。また、書き損じて訂正したときは本人の実印を訂正印として押印します。(このような細かい注意点は「必要書類一覧表」「貯金等相続手続請求書」とともに送られてくる「相続に関する必要書類のご案内」に記載されています。)
「貯金等相続手続請求書」の記載が終わったら必要書類とともに相続確認表を提出したのと同じ窓口に提出します。
窓口に手続きをしに行くのは代表相続人ですが、ゆうちょ銀行指定の委任状を使えば、代理人が手続きすることもできます。
出典:ゆうちょ銀行ホームページ「相続手続き」貯金等相続手続請求書
払戻金を受け取って手続き完了
相続払戻金の受け取り方法は、相続確認表を提出する際に次の3つから選びます。
そのため、相続人がゆうちょ銀行に口座がない場合は、以下の方法をとることになります。
- ゆうちょ銀行の通常貯金口座への入金
- 他の金融機関の口座への振り込み
- 窓口で現金で払い戻す
通常貯金口座への入金と貯金払戻証書の場合は、必要書類を提出してから約1~2週間で入金または送付されます。他の金融機関の口座で受け取る場合は約3~4週間かかります。書類に不備がある場合や手続きが混み合っている場合は、さらに時間がかかることもあります。
現金で受け取る場合には、ゆうちょ銀行から送られてきた払戻証書を持って窓口に行くことになります。その金額に注意が必要です。
金額が数百万~数千万円と大きい場合、支店に現金の用意が無いこともあります。 大きな額を現金で受け取る際には、あらかじめ訪問予定の郵便局へ連絡をし、現金を用意してもらうようにしましょう。
注意点:他の金融機関への振り込みには料金がかかる
以前は、相続払戻金をゆうちょ銀行以外の口座へ直接振り込んでもらうことはできませんでしたが、現在は可能になっています。ただし、振込金額に応じて料金(5万円以上は880円、5万円未満は660円)がかかり、払戻金額から差し引かれます。払戻金額が振込料金以下の場合は振り込みが行われず、証書が送られてくるので、窓口で受け取りの手続きをすることになります。
早く受け取りたい場合は、ゆうちょ銀行の通常貯金口座を選ぶとよいでしょう。口座がない場合は、住所地や勤務先近くのゆうちょ銀行・郵便局の貯金窓口で開設できます。
名義書き換えはあまり多くおこなわれませんが、もし、被相続人がゆうちょ銀行で長い間定期預金等をしており、金利が高いころの状態の場合には、そのまま名義書き換えを行い口座においておくというのも一つの方法です。
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相続手続きが完了していなくても口座から引き出す方法
口座凍結後に仮払いで引き出す方法
相続人の一人がなかなか連絡が付かず困っている、遺産分割協議がまとまらないなどの理由で、口座凍結の後、葬儀費用等を支払いたいのに、なかなか貯金の払戻しを受けられないということがあります。
そのような場合には、仮払い手続きを利用するとよいでしょう。
仮払いの方法は以下の2つの方法があります。
- ゆうちょ銀行に仮払いを求める
- 家庭裁判所に仮払いを申し立てる
ゆうちょ銀行など金融機関からの仮払いは、他の相続人の同意がなくても仮払いを受けられます。ただし、上限額※が決められており、基本的には次の式で計算します。
相続開始時の預貯金債権の額(預貯金残高)× 1/3 × 仮払いを求める相続人の法定相続分
※同一の金融機関からの払戻しは150万円が上限
仮払いを受けた分は、遺産分割の際に相続分から差し引かれますので、引き出した金額の使い道を明確にしておきましょう。
家庭裁判所に仮払いを申し立てることによって、預貯金債権の法定相続分の全額の仮払いを受けることも可能ですが、遺産分割調停(または審判)を申し立てるため、手間や費用もかかります。また、仮払いを受ける必要性を説明しなければなりません。
口座凍結前に引き出すのは、要注意!
おすすめはしませんが、葬儀費用等が急ぎで必要な場合で、かつ、キャッシュカードの暗証番号が分かる場合は、口座凍結前にATMで預貯金を引き出すことも可能です。
なお、ゆうちょ銀行では特殊詐欺対策として、2026年8月17日から個人の1日あたりのATM引き出し上限額が最大50万円までに変更されています(ゆうちょ通帳アプリによる生体認証を使う場合などを除く)。それ以前に設定した上限額はそのまま使えますが、まとまった金額をATMで引き出すことは難しくなっています。
しかも、この方法は次の2つの大きな問題があります。
- 他の相続人との間でトラブルになることがある
- 相続を単純承認したことになり相続放棄できなくなる
以下、それぞれについて説明します。
他の相続人との間でトラブルになることがある
被相続人の預貯金の口座は、遺産分割協議の対象ですから、勝手に引き出して使うことはトラブルの元です。
引き出す前に必ず他の相続人の同意を取り付けましょう。
また、引き出したお金を、葬儀費用といった「遺産から支出しても構わないもの」の支払いに充てた場合は、必ず領収書を取っておいて、自分のために使ったものではないことを証明できるようにしておきましょう。
相続放棄ができなくなる
少額だから・・・と、口座凍結前に引き出してしまう方もいるかもしれません。
金額の多い少ないにかかわらず、そのお金を自分のために使ってしまうと、相続を単純承認したことになり、相続放棄できなくなります。▶単純承認とは?
その時は相続放棄を検討する必要がなかったとしても、後日、プラスの財産よりも負債の方が大きかったことが発覚した場合に、相続放棄をしたいと思っても、単純承認をしてしまっていたら相続放棄はできません(相続放棄については「相続放棄の手続き方法。必要書類や期限、申述書の書き方などまとめて解説【司法書士・行政書士監修】」参照)。
この記事のポイントとまとめ
以上、ゆうちょ銀行における相続手続きについて説明しました。最後にこの記事のポイントをまとめます。
- 死亡届の提出: 被相続人の死亡が判明したら、7日以内(国外なら3か月以内)に役所に提出。葬儀社が代行することもあります。
- 通帳、キャッシュカードの確認: 亡くなった人がゆうちょ銀行のどの支店に口座を持っているのかを確認し、必要な書類を準備します。
- 残高の確認と証明書の取得: 残高証明書を取り、遺産分割や葬儀代金などのために残高を明確にしておくことが重要です。現存調査で口座の有無も調べることができます。
- 必要書類の提出と手続き: 相続手続きには様々な書類が必要となります。戸籍謄本や印鑑証明書などを準備し、法定相続情報一覧図を活用するなどして、手続きを効率化しましょう。
- 払戻金の受け取り:ゆうちょ銀行の口座への入金のほか、他の金融機関の口座への振り込み(料金あり、約3~4週間)や払戻証書も選べます。相続の申し出は電話でもでき、Web案内サービスやアプリを使えば窓口に行く回数を減らせます。
相続手続きは自分でもできますが、戸籍謄本など必要書類を集めるのにも意外と手間や時間がかかります。
相続税の申告が必要な場合は、相続手続きも含めて、相続税の申告を依頼する税理士に依頼するとよいでしょう。
銀行口座の相続手続きに期限はありませんが、めんどうだからと放置してしまうと、さらに手続きが煩雑になってしまうことがあります。(詳しくは「銀行口座を死亡後そのままにしておくとどうなる?」をご参照ください。)
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目前に控えたシニアライフを楽しく安心して過ごすために、日々情報集めに奔走するアラカン終活ライター
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