【よくある質問】遺言を残すにはいくらかかりますか?
遺言を残すにもお金がかかると聞きました。いくらくらいかかるものでしょうか?
遺言書の作成費用は、自筆証書遺言か公正証書遺言によって異なります。自筆証書遺言の場合は基本的にお金はかかりません。
公正証書遺言の場合は、公証人に払う手数料が数万円かかり、専門家に遺言書作成を依頼する場合は専門家報酬が10万円前後かかります。
公正証書遺言
あらかじめ作った遺言の文案につき、公証役場で公証人の「お墨付き」をもらう形式です。公証人と証人2人の前で遺言者が本人確認を受け、たしかに自分の遺言に間違いない旨を述べることになります。
一度作った遺言書は公証役場に保管され、遺言者の死亡後に相続人が検索をかけて内容を確認することができます。
各種の遺言の形式の中で一番信頼性が高く、偽造される心配もないのでおすすめです。 ただ、公証人はその遺言内容で紛争が起きないとか、遺産の分け方が妥当であるといったことを保証してくれるわけではありませんので、具体的文案については行政書士などの専門家に相談する方が望ましいといえます。
▶公正証書遺言の作成方法/流れ・費用・必要書類と遺言書の種類別一覧自筆証書遺言
自宅で自分の便箋などを使って書くことができる遺言です。費用もかからずその手軽さからこの形式で遺言する人も多いのですが、実は法律的要件が多く、有効な遺言となるためにはいくつものハードルがあります。
ワープロを使用してはならず日付、氏名も含めてすべて自署する、印鑑を押すといった決まりがあります。そして訂正方法も厳格に決められており、これら一つでも欠けている、また日付等が不完全ということがあればただちに無効になってしまうリスクがあるのです。
さらには、発見された遺言書を裁判所で「検認(たしかに遺言があったことを証明する手続き)」してもらわなくてはならないという手間もかかります。
▶自筆証書遺言の書き方は?自筆証書遺言保管制度による法改正や作成時のトラブル例まで解説【行政書士監修】自筆証書遺言保管制度
「法務局における遺言書の保管等に関する法律」(遺言書保管法)という新しい法律が成立し、令和2年7月10日からは、自筆証書遺言は法務局で保管してもらうことができるようになりました。
法務局における遺言書の保管制度では、自筆証書遺言とその画像データを法務局で保管してもらうことができます。
遺言書の保管の申請は、遺言者の住所地もしくは本籍地または遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する遺言書保管所に、遺言者がして行わなければなりません。なお、申請には事前にネットや電話で予約が必要です。
▶自筆証書遺言保管制度のメリット・デメリットは?公正証書遺言との比較も解説
秘密証書遺言
こちらも公証役場で遺言の存在を証明してもらうものですが、公正証書とは異なり、内容を公証人が見ることはありません。
あくまでも出来上がった遺言書を持参して公証人と証人2人の前で自分の遺言書であることを告げて証明の手続きをとるだけです。
さらには手続きを終えたものは自分で保管することになりますので公証役場に内容が残っているわけではなく、秘密証書遺言をしたという記録がされているだけになります。
費用はどのくらいか
公正証書遺言と秘密証書遺言は公証役場の費用がかかりますが、自筆証書遺言にはこれがかかりません。
公正証書遺言の場合、公証役場手数料は遺産の見込金額ともらう相続人の数によって段階的に決まってきますが、5000万円以下の財産を1 人の相続人に渡す場合なら30,000円くらいで収まることが多くなります。
秘密証書遺言は定額で11,000円となっています。
ただし、どの遺言形式であっても、法律的な問題や相続人の間の紛争が極力起きないようにと考えるのであれば専門家への文案作成の依頼が必要ですので、その費用をプラスして考えておかなければなりません。
文案作成は弁護士や司法書士の事務所により異なりますが、相場としては10万円前後くらいからと考えておけばよいでしょう。
結局、どの遺言書を選べばよいのか
実務的には、自筆証書遺言では無効になってしまうケースが多いため、確実に遺言内容を実現したい人は費用を支払っても公正証書遺言にしたほうが良いでしょう。
自分で文字が書けない人は秘密証書遺言にするのもよいかもしれませんが、公証役場に内容自体が残らないため若干中途半端になることは避けられません。
最悪なのは、自筆証書遺言があったが結局無効になってしまったのでそれに基づく登記手続きなどはできない、しかし、故人の気持ちが判明してしまったためそれが紛争の火種になるといったものです。
数万円の作成費用を惜しんだためにその後相続人が裁判で弁護士に何百万円も払ったなどという結果にならないよう、確実な作成方法をとることを心がけなくてはなりません。
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