他士業と協力しワンストップで相続問題を解決。不安や不満も解決できる弁護士へ
証拠を残すために遺言書作成の様子をビデオ撮影するなど、驚きの方法を提案してきた石田 大輔先生。遺言書を書いておくことで、多くの相続トラブルを回避できるそうです。
今回は石田先生が解決した事例、他士業と連携して相続問題解決に注力していることなどを詳しく伺いました。
弁護士20名以上を擁する、弁護士法人名城法律事務所のパートナー弁護士。高齢者・障害者委員会に所属し、支援業務・成年後見業務に注力している。
弁護士法人名城法律事務所 石田 大輔
幅広い相続問題を解決した実績あり
―先生は、これまでどんな相続問題を解決されましたか?
複数の遺言書の有効性を争った事例
印象的だった事例は、ある企業の社長さんの遺産相続ですね。お父さんが企業の社長をしていて、3名の息子さんたちも会社を運営していました。生前から長男がお父さんの会社を継いでいる状況。私のご依頼者は次男と三男です。
問題になったのは、遺言書が2つあったことです。一つは「財産をすべて長男に相続させる」という内容。もう一つは「息子3名に平等に分割する」という内容でした。
実は、依頼者からお父さんの生前からご依頼を受けていまして。「認知症のお父さんを利用して、長男が勝手に生前贈与しているようだ」と伺っていました。
そんななか、長男がお父さんに遺言書を書かせていることを察知したので、新しく遺言書を書いてもらうように次男と三男に提案をしました。
「長男側とこちら側の、どちらの遺言書が有効かを争う裁判が起こるだろう」と私は予想していました。その際に、こちらの遺言書の有効性を証明する証拠の提出が求められるだろうと。
なので、遺言書作成の様子をビデオに撮ってもらいました。これが強かったですね。こちら側の遺言書の有効性の決め手になりました。
たぶんこのビデオがなかったら、遺言書の有効性を判断する裁判でさらに1年~2年かかったでしょう。それを短期化できて、こちらに有利な状況で進められてよかったです。
事前の予想通りに、ばしっと事が決まった事案でしたね。
婚姻届の有効性を問われた事例
他には、婚姻届の有効性から争った相続問題も扱ったことがあります。ご依頼者は被相続人の新しい奥さんです。
なぜ婚姻届の有効性が問題になったかというと、実は婚姻届に署名していたのが、旦那さんではなく旦那さんのお父さんだったんです。なかなか結婚に踏み切れない様子を見かねて、代筆をしたんですね。
しかし旦那さんの死後、前妻の子から婚姻無効で訴えられました。署名の代筆は無効という主張です。
お父さんが署名したこと自体は、旦那さんも新しい奥さんも承知していましたから、当初は婚姻が成立していたんです。本人たちが代筆に了承していたのですが、「大人の男性が父親に結婚の相談をするのはおかしい」という理由で負けてしまったんです。これは衝撃でした。
こちら側が不利だったのは、お父さんが相手方に取り込まれてしまったことですね。婚姻届の代筆までして新しい奥さんとの結婚を応援していたのにも関わらず、息子が亡くなったとたんに相手方陣営に入ってしまったんです。
おそらく「新しい嫁に財産が入るより、孫に入った方が良い」と思ったのでしょう。こちら側に有利な証言や証拠がそろっていた中で負けてしまったので、かなりショックな事件でした。
財産管理がいい加減でトラブルになった事例
あと多いのは、被相続人の財産管理がずさんだったケースですね。お父さんの面倒を長男が見ていたので、すべて遺産を相続できると思っていたら他の兄弟ともめた事例がありました。
お父さんは生前「財産はすべてお前にやるぞ」と長男に伝えていました。そう言われていると長男はお父さんの財産の管理がアバウトになってしまうんですよね。生活費の他にも、お父さんのお金で孫に車を買ったり…。もちろん、お父さんからお金を使う許可をもらっていましたよ。
でも外に出た他の兄弟からすると、どうしてもお父さんのお金を食いつぶしたように見えるんですよね。「この出金はおかしい。親父はもっと金を持っていたはずだ」と主張するんです。
でも長男側としては、長男の妻が仕事を辞めてお父さんの介護をしたり、病院に連れていったりと、献身的に面倒を見ている。「本当ならもっともらってもいいのに」と思いますよね。
出金を必要経費だと証明するには証拠が必要です。しかしレシートや領収書がすべて残ってるはずがありませんから、大まかに計算して必要経費を算出します。「通院費がこれくらい、食費がこれくらい」という形ですね。
この金額の出し方で相手方が納得してくれればいいですが、全部の領収書を求められることもあります。ときには何年分も…。
ですから日々のレシート・領収書は取っておかないとだめですね。ご両親の財産であっても、他人の財産を預かっている感覚をなくすと良くないです。
相続問題は遺言書で防げることが多い
こういう財産トラブルは遺言書があれば防げるケースが多いのですが、皆さんなかなか遺言書を作成しないんですよね。いずれ作るつもりでいても「まだまだ元気だから大丈夫」と思って作らない人が多い。
それでだんだん認知症になって、作れなくなってしまうんです。お子さんが親御さんの様子がおかしくなってきてから、遺言書を作ろうと思っても時すでに遅し。認知症になってから遺言書を作ると、「認知症なのに無理やり遺言書を書かせた」とよけいにもめる原因になります。
でもお子さんから遺言書を書いて欲しいと言いだしにくいですよね。「なんて薄情な子どもだ」と思われかねない。だから親御さんの方から率先して遺言書を作成していただきたいです。
お子さんの方から遺言書を作ってほしいと提案するタイミングで、弁護士を利用するのもいいかと思います。第三者の専門家の視点で、今遺言書を作らない事によるリスクを説明できますので。
弁護士から具体的に話を聞くと、親御さんも遺言書を作る気になりやすいかなと思います。
気持ちの面でも問題を解決したい
―相談を受ける際に心掛けていることはありますか?
どんなお話でも聞くということですね。相続の問題は家族の問題だったり、法律では解決できない感情の問題だったりします。そういったところも、すべてきちんと聞くことを心掛けています。
心のつかえていることがあって相談される方もいます。それが問題と直結していなくて、話が遠回りになることもあります。でも気持ちを私に吐き出すことで、気持ちの面での解決につながるといいなと考えています。
しかし中にはそれができない弁護士もいますね。「私が質問したことだけに答えてください」というような話の進行をするんです。問題に関わるところだけを聞き出そうとするんですね。確かにその方が相談はスムーズに進みますし、効率的ではあると思います。
ですが私は弁護士はサービス業だと捉えているので「そういう対応はどうなの?」と思いますね。ですから「自分はちゃんと話を聞かなきゃだめだ」と考えるようになりました。
他士業と連携して相続のワンストップ化を目指す
―先生の将来の夢はありますか?
相続のワンストップ化です。相続は、税・不動産登記・不動産売却などいろんな問題が絡みます。それを各士業と連携して、スムーズに橋渡しできるようにしたいと考えています。
相続問題は複雑ですから、手続きの入口から出口までトータルな流れを案内できるようになりたいですね。その方がご相談者の手間が減りますから。
私は税理士・司法書士・不動産会社と連携を取っていますから、それぞれの専門家の手が必要だなと思ったらご紹介しています。今も他士業との連携をしていますが、もっと円滑にできるようにしたいですね。
弁護士は相続のいろんな問題を解決できるので、何でも知っていると思われがちなんです。しかし、やっぱり弁護士一人ですべて解決するのはとても大変。
若手のころはご相談者から質問をいただいたときに、自分で調べて回答していたんですが、なかなか上手くいきませんでした。なので最近はその専門の士業をご紹介しています。
その方がご相談者も専門的な話を聞けますし、手続きを頼みたいと思えばそのまま依頼ができます。私が自分で抱えすぎない方が、みんなにとってプラスになると思うようになりました。
たまに税理士や司法書士と集まって、依頼解決のために会議をしてるんですが、それがけっこう盛り上がるんですね。例えば私が提案した方法を、税理士から「それだと税金が上がっちゃいますね」と言われたり。
士業によって視点がちょっとづつ違うので、いろいろなアイデアが出てきます。弁護士一人で、このように各分野を網羅するのは難しい。こういった学びがあるので、士業にとってもプラスになるんです。
相続問題で、何から手を付けていいかわからないこともあると思います。他士業の紹介もできますので、早めに相談に来てくださいね。
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