「オンラインの強みを最大限活かしたい」柔軟な発想で問題事を解決。多摩地域で困っている人の力になりたい
2021年7月に独立し「オンライン法律事務所タマ」を開業した増田 周治弁護士。打ち合わせのほぼすべてをオンラインで実施していますが、場合に応じて現場に赴いたり、レンタル会議室を借りたりと柔軟に対応してくれるそうです。
「事務所名の”タマ”って猫ちゃんのことですか?と聞かれる」とゆったり語る増田先生。今回はそんな先生に、相続の解決事例や独立しようと思ったきっかけについて伺いました。
「独立しよーっと。」と2021年7月にオンライン法律事務所タマを開業。中小規模の企業・団体からの労働関係に関する相談を中心に、相続などの一般民事にも関わる。「オンラインを活かして、多くの人が気軽に法律相談できる事務所を目指したい」と意欲に燃える。
オンライン法律事務所タマ
目次
使用者側の企業法務を中心に、個人からの相談も受ける
―増田先生は、どのような案件を受けているんですか?
そうですね。以前所属していた事務所の関係もあって、労働関係の案件が多かったです。独立してからも労働関係は多いですね。主に使用者側(経営者側)に立って、使用者と労働者の紛争や、労働組合対応の仕事を受けています。もちろん、相続などの一般民事の案件も受けていますよ。
―相続の案件は、今後増えていきそうですか?
事務所のある地域は高齢化は著しいので、これから相続案件も増えてくると思っています。それに多摩地域の地価は上がっているんですよ。取得したときの土地の値段から上がっているので、その相続を巡っての案件も増えると見込んでいます。
多摩地域といっても広いですが、事務所がある東大和市は都心部から少し離れた場所ですし、地域に密着して皆さんのお役に立ちたいと思っています。
遺留分侵害額請求を受け、膨大な資料から証拠を探した事例
―これまでで印象に残った事例はありますか?
遺留分減殺請求を受けた事例が印象に残っています。証拠集めが大変だったかな。依頼者は亡くなったお父さんの奥さんです。遺言書があったのでそのとおりに遺産分割しようとしたものの、前妻の子どもから遺留分侵害額請求を受けたんです。
遺留分というのは、一定の相続人が最低限もらえる遺産の取り分のことです。離婚すると元配偶者は他人なので相続権はありませんが、子どもには相続権が残るので。遺留分侵害額請求は、その侵害された遺留分を取り戻すための請求になります。
しかし前妻の子どもは、お父さんから生前贈与を受けていたんですよ。結構な金額を贈与されていて「それで遺留分を主張するのか」となったわけです。
どの時期に、どのくらい生前贈与があったかを調べるために、亡くなったお父さんが残した大量の資料を調べる必要がありました。
亡くなったお父さんがきちんと資料を残されている方だったため、資料の数が多くて…30年以上前の資料もあれば、同じ時期の資料でも、微妙に異なることが書かれてあったり…結構大変だった記憶があります。資料を精査して、おそらくお金の動きはこうだろうと筋道が付きましたので、次は金融機関からのお知らせなど、それを裏付ける客観的な証拠を探しました。
―そんなに資料が多いと大変ですね。
それから、証拠集めのために依頼者と銀行を何度も訪れました。資料集めって、弁護士にもよると思いますが、基本的に依頼者さんに取ってきてもらうことが多いんです。
でも弁護士が同行すると銀行の対応が変わることもあるので。詳しい説明もこちらからできますし。1回銀行から断られたり状況が複雑になってきたときは、自分が付いて行くようにしています。
―最終的に、その案件は和解したんでしょうか?
和解はできました。しかし遺留分侵害額請求は相続人に認められた取り分ですから、その分は渡すことになりました。
それでも資料がたくさんあったので生前贈与についての意味のある証拠は得られ、それ以上の金額は渡さずに済みました。相手方はそれ以上の金額を要求してきましたが、裁判で認められませんでした。
※守秘義務の観点から、いくつかの事例を組み合わせてお話ししてくださいました。
会社員時代の経験から、弁護士をめざそうと決意
―増田先生はサラリーマンをしていた時期があったと伺いました。どうして弁護士になろうと思ったんですか?
はい。大学を卒業してしばらくは会社員でした。転機は子どもが生まれて育児休職を取ったことです。当時男性が育児休職するのは会社でも珍しくて、周りからビックリされました。今の時代をチョット先取りしたんですよね。
休職したものの、子どものお世話が思ったより大変で。それで当時勤めていた会社は転勤があったんですが、奥さんに子どもを任せて、自分は転勤して働くのは違うかな、と思ったんです。
転勤って、会社としては仕方ないかもしれないけど、働く人にとっては結構な負担ですよね。付いて行く家族も大変だし。会社と働く人の関係をしっかり考えてみたいと思ったんです。かつ、転勤がない職業って何だろうと思ったとき弁護士が思いつきました。大学も法学部だったので。
会社を辞めて、ロースクールに入って勉強しました。奥さんに働いてもらって、自分は子どもの送り迎えなんかしながら勉強して。大学からストレートで大学院に入った人よりは勉強に充てれる時間も少なくて、それなりに大変でした。
―会社員の経験が、弁護士の仕事に活かされていると感じますか?
それは結構ありますね。会社員をしていたので「この文書を企業内でどういうふうに使うのか」「どういう部署があって現場に落とし込まれるのか」とかが実際にわかるというか。
会社の法務部門の人と仕事したりもするので、やっぱり会社がどういうものかを現場で感じられた経験は大きいと思います。
僕は使用者側の仕事が多いですけど、労働者のことを考えないわけではありません。使用者側にしても、労働者がきちんと働けない環境だと成果が出ないと思いますから。
個別の紛争は会社側の立場だけど、アドバイスしていること自体は結果として働いている人のためになることが多い。どっちの立場も踏まえつつ「会社としてそういう決断をしたら、働いている人はどう思いますかね?」と問うようにしています。
オンラインをメインとした事務所を開業
―最近この事務所を開業したそうですね。どうして前の事務所から独立しようと思ったんですか?
独立しようと思った理由は2つあるんですけど、ひとつは新型コロナウイルスによる弁護士事務所を取り巻く環境の変化ですね。以前は対面での面談が多かったんですが、最近はあまり事務所に来てもらわずに、オンラインで打ち合わせが多くなりました。
お客さんにとっても家とか職場とか、自分のいるところから相談してもらったほうが便利かなと思っています。それで「オンラインをメインとした事務所をしたい、その実現はひとりでも出来るよね」と思ったからです。
もうひとつは家庭の事情なんですけど、奥さんが仕事で海外赴任になって僕がこっちで子どものお世話をすることにしたんです。
そうなると都心の事務所まで通勤するのも大変。やっぱり何かあると心配だし。なので、僕が家とかその近くの場所とか、子どもの生活圏内に出来るだけいられるように、この地域で開業しました。
―「オンライン法律事務所タマ」は飼っている猫の名前からですか?
違います(笑)事務所が多摩にあるからタマです。最初は「オンライン法律事務所」にしようと思ったけど、他の事務所で使用されていたので多摩をつけました。「オンライン」がカタカナだから「多摩」もあわせてカタカナにしたら、猫の名前っぽくなっちゃいました。
この事務所名にして、全国には猫好きが多いと実感しましたね。「タマは猫の名前でしょ?」ってすごく聞かれるんです。そういうわけではないんですが。でもロゴマークとか作るときは絶対猫のキャラクターにしようと思っています。
―実際に、ほとんどの仕事がオンラインで完結するんですか?
そうですね。ほぼ全部の打ち合わせはオンラインでできています。オンラインだと全国から依頼を受けられるのがメリットですね。今も宮城県からの案件があるんですよ。最近は裁判もオンラインが発達してきて、出廷の必要なく案件が解決することもあります。
でもお客さんから「来てほしい」と要望があれば、可能な範囲で出張もしたいと思っています。もしくは来てもらっても良いし。相続の案件とかは紙の資料も多くなるので、持ってきてもらったほうがスムーズだったりします。オフィスはきれいなので、来てもらっても全然大丈夫ですよ。
相談を検討する人へのアドバイス
―最後に、弁護士への相談を迷っている人にアドバイスをお願いします。
悩んでいる時間を過ごすよりは、1回専門家に話を聞いてみると良いと思います。直感的にフィーリングが合う先生が良いと思います。相談を大事だと思わずに気軽な感じで。
「この分野詳しいですか?」「これ出来ますか?」とか気になる人もいるみたいですが、弁護士もできなければ「できません」と言うので。案件の解決まで共に時間を過ごしますから、専門性もありますけど、気の合う人を選んだほうが良いと思います。
自分と気の合う人だと、無理したり気を遣うこともないですよね。なので、依頼者の方自身も納得して判断ができると思います。ぜひ、気軽に相談してくださいね。
―ありがとうございました!
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