【よくある質問】相続税の申告、計算ミスしたらどうすればいい?
相続にかかる費用を少しでも節約したいので、相続税の申告は自分でしたいのですが、もしも計算ミスなどで間違ってたらどうなるのでしょうか。
相続税の計算間違いに気づいたら、放っておかずに速やかに申告のやり直し(修正申告)をしましょう。
もし、自分で間違いに気づかなくても納税不足があると、税務署から電話などで連絡が来ます。
申告した税額が少なかった場合、一度申告したものを修正するとしても、申告期限を過ぎてしまったら延滞税が加算されてしまいます。
さらに、税務署の指摘を受けて修正する場合は延滞税だけでなく、過少申告加算税も課せられます。
つまり、単純な計算ミスでも「間違った申告」であることに変わりないのでペナルティを受ける場合もあるのです。
不正確な申告にはペナルティ!たかが計算ミスと侮るなかれ!
計算ミスくらいであれば家に税務調査が来ることもないだろうし、税務署から連絡が来てから足りない分を払えばいいなどと、安易に考えてしまうのは要注意です。
期限内に正しい金額を申告しなかったことに加え、税務署から指摘があってから修正申告をすると、以下のようなペナルティを課せられます。
- 遅れた日数に対する利息「延滞税」
- 税額を少なく申告していた「過少申告加算税」
延滞税の税率
延滞税の割合は約2.4~8.7%(令和4年1月1日から令和6年12月31日。銀行が公表している各年の新規の短期貸出約定平均金利を判断基準として決定されているので毎年変動します)。
詳しくは国税庁ウェブサイト「No.9205 延滞税について」を参照してください。
過少申告加算税の税率
過少申告加算税の税率は、修正申告、または更正により納付することとなった税額の10%です。この時、新たに納付する税額が、期限内申告税額または50万円のいずれか多い額を超える場合、超える分については15%が課されます。
なお、税務署からの指摘を待たないで自主的に修正申告をした場合、過少申告加算税はかかりません。
詳しくは国税庁ウェブサイト「No.2026 確定申告を間違えたとき」を参照してください。
税務署だって頑張っている!?
令和2年12月の国税庁「令和元事務年度における相続税の調査等の状況」によると、⽂書、電話による連絡⼜は来署依頼による面接により効率的に申告漏れ、計算誤り等がある申告を是正する⼿法を活用し……、とあります。
これら「簡易な接触」方法などの策を講じながら、税務署も省力化を図りつつも適正・公平な課税の確保に努めています。
▶相続税の修正申告が必要なケースとペナルティー、加算税と延滞税
修正手続きの期限
修正申告は1日も早くおこないましょう。遅れるほど延滞税が増える恐れがあります。
修正申告ができるのは、法定申告期限(相続開始を知った日の翌日から10か月以内)の翌日から原則として5年以内です。
ただし、当初申告時に意図的に税額を少なく申告していた場合は、時効完成までの期間が2年長くなり7年間となります。
相続税を納めすぎた場合は「更生の請求」
本来納めるべき額よりも多くの相続税を納税した場合には「更正の請求」という手続きを行うことができます。納め過ぎた分を還付して(払い戻して)もらうことができるのです。
更正の請求ができる期限も原則として相続税の申告期限から5年となっています。相続税の申告期限は相続開始から10か月のため、被相続人の死亡から5年10か月が期限の目安になります。
ただし、申告期限までに遺産分割が整わなかったため仕方なく暫定数値で申告手続きを行い、その後遺産分割が確定したなど特別な事情がある場合は、その事情が発生したことを知った日の翌日から4か月以内であれば、上記の5年10か月を過ぎていても更正の請求を行うことができます。
相続税の計算を専門家に依頼して、気持ちを楽に
計算ミス以外にも、申告した後に遺産が発見されたり、遺言書が見つかったり、他にも相続人がいたなど、事前の調査が不十分であったために、修正申告をすることになるのは避けたいものです。
二度手間がかかる上、ペナルティの課税があるのは、相続財産の目減りという以外にも、精神的なつらさもあります。専門家に依頼することでこのような事態を防ぐことができれば、多少費用がかかったとしても、プロにお願いすることにはメリットがあると言えるでしょう。
ご希望の地域の専門家を探す
ご相談される方のお住いの地域、遠く離れたご実家の近くなど、ご希望に応じてお選びください。