認知症の親が老人ホームに入る前の注意点!実家の名義は大丈夫?登記できずに空き家のままになるリスク
近年では終の棲家として老人ホームを選択肢に加える方も増えてきました。
やむを得ない事情、例えば認知症などで住居を移す方もいらっしゃいます。
親が帰ってくるところ残しておいてあげたいと、実家を空き家のままにしておく方もいるでしょう。しかし、空き家のままであると周囲に迷惑をかける可能性もあります。
空き家を放置してしまったら罰則も・・・。
この記事では、このような状況の注意点について考えてみます。
この記事を書いた人
鎌倉新書にパートタイマーとして入社。2020年チャレンジ制度をクリアし正社員に。
目前に控えたシニアライフを楽しく過ごすため、情報集めに奔走するアラカン終活ライター
資格:日商簿記1級・証券外務員二種・3級FP技能士
老人ホームへ入る前に実家の名義は誰かを確認!
親が認知症で老人ホームへ入ることになった場合、空き家となる不動産の所有権が両親のどちらの名義かによって異なる対応が必要です。
遺産分割と相続登記
例えば、父親がすでに亡くなっており、実家で一人暮らしをしていた母親が認知症で老人ホームに入ることになったとします。
もし、実家が父親の名義のままであった場合、父親が亡くなった際に遺産分割が行われていないために相続登記がなされていない可能性が考えられます。このような場合には、まず父親の相続手続きを見直さなくてはなりません。しかし、母親が認知症で意思決定が難しい状況であれば成年後見人の介入が必要となるでしょう。
他にも、名義変更を放置してあることのリスクもあるので、この点については「相続した土地の名義変更をしなかったらどうなる?相続登記をしないデメリットを解説」で詳しく解説しています。
実家の名義が母親になっていた場合でも、母親が認知症で意思決定が難しい状況であれば売買に関しては困難になることが予想されます。
老人ホームへ入る前に空き家対策
親が老人ホームに入ったあとの実家を所有し続ける場合、空き家となれは、草ぼうぼうになったり老朽化したりして、近隣住民に迷惑をかけることがあります。
このような場合、子ども達で草取りや定期的なメンテナンスを行うか、不動産業者の空き家管理サービスを利用するのが現実的です。これにより、将来的に賃貸物件として利用したり居住する可能性も残せるでしょう。
ただし、この場合も認知機能が低下した親との契約は難しいので子ども達で話し合って進めていく必要があります。
令和5年空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正
もし空き家を管理もせずに放置してしまうと罰則が適用されることがあるのをご存じでしょうか。
令和5年12月13日、空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律が施行されたことにより、適切に管理をするように命令されても従わなければ最大50万円以下の過料に処される場合があります。
それ以外にも、税負担が軽減される特例を受けられなくなるなどのデメリットもあります。
また、この法改正により「放置しつづけると倒壊等の恐れがある状態の空き家(特定空家)」以外に「窓や壁が破損している等管理が不十分な状態の空き家(管理不全空家)」についても、市区町村からの指導・勧告の対象となりました。
認知症対策で家族信託という選択肢もある
認知症で意思決定が難しくなると、財産の処分を進めるときに不都合が生じます。
認知症が発症する前に「家族信託」の設定を検討することも重要です。
家族信託は、親の財産を管理し、介護や生活費のために資金を使う際に役立ちます。これにより、親の意思確認ができなくなった場合でも、スムーズに資産を活用できます。
家族信託は委託者と受託者の合意で成立する「契約」なので、原則として認知症になる「前」に準備する必要がありますので、早めに準備を開始しましょう。
家族信託については「家族信託で認知症に備える方法|注意すべき点とよくある疑問」で詳しく解説しています。
まとめ
認知症による財産の管理や実家の空き家問題は、家族にとって大きな課題ですが、適切な対応や計画を立てることで解決策を見つけることができます。
家族信託で将来に備えたいと考えている人は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。
いい相続ではお近くの専門家との無料相談をご案内することが可能ですのでお気軽にご相談ください。
※この記事は「【事例】母の老人ホーム入居を機に実家を売却したい。必要な手続きは?(56歳男性 資産2,600万円)」を再編集したものです。
▼実際に「いい相続」を利用して、専門家に相続手続きを依頼した方のインタビューはこちら
この記事を書いた人
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