仏壇やお墓を生前に買い揃えると節税効果があるって本当ですか?
質問者:S.N
民法でも税法でも宗教的な道具は特別扱いになる
民法では、被相続人の名義だった財産は被相続人の死亡後(=相続開始後)に「遺産分割協議」と呼ばれる相続人全員での話し合いによって誰が引き継ぐかを決めるとされています。
しかし、祖先の祭祀(まつりごと)に関する道具類は遺産分割協議の対象になる財産とはされていません。
こういった道具類は「祖先の祭祀を主宰する者」が引き継ぐとされ、他の財産とは別扱いになっています。
祖先の祭祀を主宰する者とは民法で優先順位が決まっており、第1順位が「被相続人が指定した者」、第2順位が「慣習によって定める」、最後に「慣習が不明なら家庭裁判所が定める」とされています。
また、税法においてもこのような宗教的な道具類は相続税の非課税財産とされています。具体的に非課税になる物の例を挙げると墓所、霊廟、墓地、墓石、神棚、神体、神具、仏壇、位牌、仏像、仏具、古墳等になります。 ただ、これらの物を「税金対策」として購入するに際しては気をつけなければならない点があるのです。
「いつ購入するか?」がポイント
たとえば、被相続人(亡くなった人)が死亡した後に200万円の現金があったとして、これを使って相続人が墓石などを購入しても非課税にはなりません。
その200万円は現金として丸々相続税の課税財産にカウントされてしまいます。 もし、同じ墓石を非課税財産扱いにしたいのであれば被相続人が「生前に」購入しておく必要があるのです。
さらに節税のためには「代金を現金で支払う」ことも大きなポイントです。ローンを組んで購入したとしても、相続開始後に支払うローンの残高は債務控除として相続財産から差し引くことができないからです。
不相応に高価な物には課税されることがある
宗教的な道具には相続税が課税されないとはいえ、あまりにも不自然な物は後から税務署のチェックを受けることがあります。
たとえば家は質素なのに仏壇だけが大きすぎていたり、純金の仏像など一般家庭の基準から見ると華美すぎると感じられるような場合です。
相続税の場合は申告した後で税務署が調査に入るケースが非常に多いため、納税から数年後に追徴される危険もあります。どのくらいなら許容範囲の節税にあたるのかは購入前に税理士に相談するべきでしょう。
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