成年後見人になるには資格が必要なのでしょうか?
質問者:I,T
成年後見人は一般の人でもよい
成年後見人は、認知症や障害により自分で物事を判断する能力がなく、日常生活を送ることが困難な人を守るため、一定の立場の人の申立てによって裁判所が選ぶ代理人です。
会社勤めをしながら高齢の親の成年後見人についている人も多く、初めこそ財産目録の作成など事務的作業も多いのですが、軌道に乗ってくれば月々の金銭管理や年1回の裁判所への報告をするくらいで済むことも多く、他の仕事と十分に両立可能です。
なお、民法847条で次のとおり「成年後見人の欠格事由」が定められています。
- 未成年者
- .家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人又は補助人
- 破産者
- 被後見人(後見をつけなければならない当事者)に対して訴訟をし、又はした者並びにその配偶者及び直系血族
- 行方の知れない者
いったん就任すると被後見人死亡まで続く
成年後見人の難しい点は、いったんその職についてしまうと基本的には被後見人が亡くなるまでは簡単にやめることができないことです。「正当な事由がある」時に「裁判所の許可を得て」初めて辞任が可能になります。
遺産分割協議の当事者が認知症なので成年後見人をつけて協議したいということもあるのですが、目的となる遺産分割協議が終わったからといって成年後見人をやめるわけにはいかないのです。
▶認知症に備えて知りたい成年後見人や家族信託という選択肢本人のための制度ということを忘れてはならない
成年後見人をつける目的はあくまで「自分で財産管理ができない被後見人を守ること」です。
たとえば、子供が使う目的で親の預金をおろそうとしたら銀行で「親の意思確認をさせてください」と言われたので成年後見人をつけたいという人もいるのですが、このような場合は被後見人ではなく、子供の利益のためですから目的としてふさわしくありません。
成年後見人が就任した後でも、被後見人の預金などをまとまった金額支出する際には「どんな目的で使うのか?」を裁判所に申し立てて許可をもらわなくてはなりません。また、財産が多い人であってもむやみに相続税対策もできなくなります。(相続税対策は被後見人ではなく相続人のためにするものだから)
そのようなことを理解せずに成年後見人をつけてしまって後から戸惑う人もいますから、申立ての前に成年後見制度の趣旨・概要を法律家、もしくは裁判所の職員にしっかり説明してもらうことが大切です。
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