【よくある質問】遺言書がある場合でも、遺産分割協議が必要?
本記事の内容は、原則、記事執筆日(2019年7月2日)時点の法令・制度等に基づき作成されています。最新の法令等につきましては、弁護士や司法書士、行政書士、税理士などの専門家等にご確認ください。なお、万が一記事により損害が生じた場合、弊社は一切の責任を負いかねますのであらかじめご了承ください。
遺言書がある場合でも、遺産分割協議が必要ですか?
遺産を分割するにあたって、まず最初に尊重されるべきは遺言書です。ただ、遺言書にも完璧なものとそうでないものがあり、内容に不備、漏れなどがあれば別途遺産分割協議が必要になることもあります。
このような点から、より確実性の高い遺言書を作るためには「文案から法律家に頼む」「公正証書遺言にする」といった点が必須です。
銀行がロックを解除しない状況でも被相続人の死亡後、葬儀代など待ったなしで準備しなければならない金銭もあります。相続人自身がそれらを出す余裕がない場合は生前から被相続人の資産の一部を現金化しておく、被相続人自らが将来喪主になる人を受取人として死亡保険金をかけておくなどの工夫が必要です。
もしどうしても預貯金にしておきたい場合は、メガバンクよりも農協や地方の信用金庫など規模の小さい金融機関に預けておく方が、こういった場面で柔軟な対応をしてもらえる可能性が高いといえます。
遺言書の有効、無効、記載漏れに注意
民法が一番優先すべきとしているのは被相続人(亡くなった人)の遺した遺言です。ただ、公正証書遺言であれば比較的不備は少ないはずですが、自宅で作る自筆証書遺言の場合は非常に要件が厳格であるため、相続人が発見した際に形式的不備が見つかることもしばしばあります。もし法的要件を満たしていない遺言書であれば即座に無効となってしまうため、その場合は遺言書は最初からなかったことと同じになり、必然的に遺産分割協議をしなければならない状況になります。また、遺言書自体は有効であっても遺産の全部について定められていないような場合は漏れた分だけを遺産分割協議で決めなければならなくなります。さらには被相続人が「〇〇市の土地を長男〇〇に」などというあいまいな定め方をしていることもあり、そのような場合は「特定性に欠ける」として法務局で名義変更の登記が通らないこともあります。このような点から、より確実性の高い遺言書を作るためには「文案から法律家に頼む」「公正証書遺言にする」といった点が必須です。
銀行によっては遺言書では手続きできないことがある
完璧な公正証書遺言があれば不動産の名義変更は問題なく「もらう人」だけですることができます。ただ、問題は被相続人の死亡後すぐ凍結されてしまう銀行などの預貯金です。銀行はとにかく「他の相続人からのクレームがつく」というリスクを極力避けるスタンスで対応しますので、もし遺言書があったとしても実務上「相続人全員の実印、印鑑証明書」がなければ口座のロックを解除しないケースが多いのです。こういった例で「自分の法定相続分だけおろしたい」と主張しても銀行はまず聞き入れませんし、裁判になった事例も数知れずあります。銀行がロックを解除しない状況でも被相続人の死亡後、葬儀代など待ったなしで準備しなければならない金銭もあります。相続人自身がそれらを出す余裕がない場合は生前から被相続人の資産の一部を現金化しておく、被相続人自らが将来喪主になる人を受取人として死亡保険金をかけておくなどの工夫が必要です。
もしどうしても預貯金にしておきたい場合は、メガバンクよりも農協や地方の信用金庫など規模の小さい金融機関に預けておく方が、こういった場面で柔軟な対応をしてもらえる可能性が高いといえます。
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