相続経験者が【相続人との連絡調整が大変】と答えたケースの相続とは│実際に行った手続きや専門家への費用を大公開!

相続手続きで大変だったのは「相続人同士の連絡・同意を得ること」と答えたケースの相続の特徴
- 50代〜60代が手続きの中心となり、相続経験が初めての人も多い。
- 財産の額にかかわらず連絡調整に苦労したとの声があがった。
- 相続を経験し、約86%が自分の対策を考えるようになった。
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相続手続きで大変だったのは「相続人同士の連絡・同意を得ること」と答えた方の相続手続きでは、どのような課題があったのでしょうか。
本記事では相続人の構成、相続財産の種類、必要な手続き、専門家にかかった費用など、相続経験者へのアンケート結果から実態を解説します。
相続人同士の連絡・同意を得ることが大変だった方の「年代などの属性」「相続財産の種類と割合」「専門家の依頼費用の相場」などが具体的にわかります。
これから相続手続きを進める方や準備を考えている方は是非参考にしてください。
目次
相続手続きで最も大変だったことランキング
今回のアンケート中、相続を経験して大変だったことは何だったか?との問いに対しての回答は、以下のランキングとなりました。
-
- 必要な書類が多かったこと・・・48.10%
- 手続きのために時間が取られたこと・・・35.43%
- 手続き先が複数あること・・・30.43%
- 何をどう進めるべきかを理解するための情報収集・・・30.38%
- 遺産の中身や金額をはっきりさせること・・・19.40%
- 相続人同士の連絡・同意を得ること・・・18.97%
- 書類の書き方が難しかったこと・・・16.68%
- 金銭的な負担が発生したこと・・・16.30%
- その他・・・6.68%
※この設問は複数選択が可能なため、各回答の割合を合計すると100%を超えることがあります。ご了承ください。
相続手続きで多くの人が苦労したのは「必要な書類が多かったこと」(48.10%)でした。戸籍謄本や遺産分割協議書など、必要書類が多岐にわたり、取得にも時間がかかることが負担となっています。次いで「手続きに時間が取られたこと」(35.43%)、「手続き先が複数あること」(30.43%)と続き、金融機関や役所などへの対応の煩雑さが浮き彫りになりました。
ここからは、6番目に多かった「相続人同士の連絡・同意を得ること」(18.97%)が大変だったと回答した方について詳しくみていきます。
相続人との連絡調整が大変だったと回答した人の属性
年代別の傾向

年代別に見ると、60代(32.09%)が最多で、次に70代(26.93%)、50代(23.50%)、40代(14.61%)、80代(2.87%)という順番でした。近年では親が80代〜90代で亡くなるケースが多く、実際の相続手続きをするのが50代〜60代になることが一般的な世代であり、このゾーンにボリュームが集まったものと考えられます。
誰の相続だったか

被相続人(亡くなった人)は、父・母(74.79%)が大部分を占めました。このことから、子どもが相続人となり、相続のための手続きをおこなった結果、遺産の調査が大変だったという回答が多いことが考えられます。
法定相続人は誰?法定相続分はどういう配分?気になる方は「法定相続分と法定相続人|法定相続人の相続順位や法定相続分の計算方法」へ!
相続の回数

相続の経験については、「初めて」(61.89%)との回答が最多でした。初めての相続は、何をすればよいのか、どこに相談すればよいのか分からず苦労する人が多いと考えられます。2回目(31.23%)の相続でも一定数いることから、1回目の経験があっても、以前の相続から時間が経っていたり、相続する財産の種類や相続人の関係性が異なるため、難易度が変わり、同じ手続きがスムーズに進まない可能性があることが推測されます。
相続財産の額

相続人との連絡調整が大変だったと回答した人の相続財産の総額を見ると、もっとも多かったのは1,000万円~2,000万円(28.7%)でした。続いて、1,000万円未満(14.3%)、5,000万円~8,000万円(11.7%)、2,000万円~3,000万円(11.5%)、3,000万円~4,000万円(11.2%)、1億円~2億円(11.2%)と続いています。
この結果から、相続人との連絡や調整に苦労している人は、財産の多い少ないに関わらず一定数存在しているということがわかります。特に1,000万円未満という比較的少額の相続でも、「調整が大変だった」と感じている人が少なくありません。
遺産分割では、相続人全員の合意が必要なため、少額でもトラブルが生じる可能性があります。財産の額よりも、相続人同士の関係性や連絡の取りやすさが、スムーズな相続手続きのカギとなっているといえるでしょう。
相続財産の種類

相続人との連絡調整が大変だったと回答した人で、最も多かった相続財産の種類は土地・建物(76.2%)でした。土地や建物の相続は、権利関係が複雑だったり、共有名義や未登記の物件がある場合には調整や手続きが難航しやすいため、相続人同士の連絡の手間が増す傾向にあると考えられます。
次いで多かったのは、現金・預貯金(73.9%)です。口座が複数ある場合は、相続人間での情報共有がスムーズにいかないケースも考えられます。そのほか、生命保険(24.4%)や株・投資信託(20.6%)、山林・農地(18.6%)なども一定の割合を占めています。また、電子マネー(2.3%)や仮想通貨(1.1%)はまだ少数派ではあるものの、今後デジタル資産の利用が広がるにつれて、相続手続きの新たな課題になる可能性があります。※この設問は複数選択形式のため、各回答の合計は100%を超えます。
相続財産はどういうものをいうのだろう?気になる方は「相続財産になるもの・ならないものを一覧でわかりやすく解説」へ
遺産分割の方法

相続人との連絡調整が大変だったと回答した人で、最も多かった遺産分割の方法は「遺産分割協議で分けた」(50.1%)でした。遺産分割協議とは、相続人全員で話し合い、遺産の分け方を決める方法です。相続人間の連絡がスムーズに取れない場合、この協議自体が大きな負担となることがうかがえます。
次いで多かったのは、「法定相続分で分けた」(32.4%)という回答でした。これは、民法で定められた割合に従って分割する方法で、分け方のベースとして考えることができるでしょう。「遺言書通りに分けた」(6.6%)というケースは比較的少数でした。
「揉めていて進んでいない」(5.2%)や、「裁判になった」(2.3%)といった回答も一定数あり、相続トラブルに発展してしまったケースも見受けられます。相続人間での調整が困難な場合、遺産分割が長期化したり、法的手段に発展するリスクもあることがわかります。
遺産分割には法律上のルールがある!「遺産分割とは?遺産分割協議の準備からやり方、トラブルを防ぐためのポイント」
相続人との連絡調整が大変だったと回答した人が実際におこなった手続き
相続人との連絡調整が大変だったと回答した人はどんな方法で情報を取得し、手続きをおこなったのか詳しくみていきたいと思います。
利用した・役に立った情報源

相続人との連絡調整が大変だったと感じた人が利用した情報源として、最も多かったのは「インターネット検索」(32.4%)でした。相続に関する知識がない中で、まずはネットで調べて手続きの全体像をつかもうとする方が多いことがうかがえます。
次いで多かったのが「司法書士事務所」(30.9%)です。相続人間の調整が難しい場合や、不動産の名義変更・登記といった場面で、専門家の力を借りるケースが多いと考えられます。
また、「家族・親戚」(17.2%)や「友人・知人」(11.5%)など、身近な人から助言を受ける人も多く、周囲に相談しながら対応している様子が見受けられます。
このほか、「税理士事務所」(15.8%)や「行政書士事務所」(16.6%)、「弁護士事務所」(12.6%)といった各専門職への相談も一定数あり、相続の内容に応じて適切な専門家を使い分けている実態が見て取れます。
さらに、「市区町村の窓口」(15.2%)や「金融機関」(18.9%)、「法務局」(15.5%)といった公的機関や民間サービスも活用されており、多様な情報源が利用されていることがわかります。なお、「SNS」(2.3%)や「YouTube」(4.0%)などのオンラインメディアを利用した方はごく少数でした。※この設問は複数選択形式のため、各回答の割合を合計すると100%を超えることがあります。
実際の手続き

相続人との連絡調整が大変だったと回答した人が実際に行った相続手続きで、最も多かったのは「遺産分割協議」(57.9%)でした。相続人全員の話し合いによって遺産の分け方を決める手続きであるため、調整に苦労した人ほどこの協議が大きな負担となっていたことがうかがえます。
次いで、「戸籍収集」(51.3%)、「不動産の名義変更(相続登記)」(51.0%)、「銀行解約・名義変更」(47.0%)、「遺産分割協議書の作成」(45.8%)と続いており、複数の手続きを同時に進める必要があるケースが多かったと見られます。
また、「相続財産の調査」(33.5%)や「相続財産目録の作成」(25.5%)といった、財産の全容を把握するための段階で苦労している人も少なくないことがわかります。「相続人調査」(17.8%)や「遺言書の検認」(12.6%)は比較的少ないものの、家族関係が複雑だったり、遺言書の有無が影響するケースでは重要なポイントになることもあります。※この設問は複数選択形式のため、各回答の割合を合計すると100%を超えることがあります。
相続人との連絡調整が大変だったと回答した人が実際に依頼した専門家と費用
相続人との連絡調整が大変だったと回答した人はどんな専門家に手続き依頼し、またどのくらいの費用がかかったのかを詳しく見ていきます。
依頼した専門家

相続人との連絡調整が大変だったと回答した人のうち、最も多く依頼されていたのは「司法書士」(29.2%)でした。遺産分割協議書の作成や相続登記など、実務的な手続きをスムーズに進めるために司法書士を頼るケースが多いと考えられます。
次いで「税理士」(16.0%)、「行政書士」(14.9%)、「弁護士」(9.4%)と続いており、状況に応じて必要な専門家に依頼している傾向が見られます。相続税申告、書類作成や収集、相続トラブル対応など、相続に関わる分野は広いため、それぞれの専門性に応じて相談先が分かれることがうかがえます。
一方、「依頼していない」と回答した人も28.3%おり、すべての人が専門家を利用しているわけではないこともわかります。それでも、およそ7割の人が何らかの専門家に依頼しており、相続人同士の連絡調整が難航したケースでは、第三者のサポートが重要な役割を果たしていることが推測されます。
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専門家に依頼した内容

相続人との連絡調整が大変だった人が専門家に依頼した内容で最も多かったのは、「不動産の名義変更(相続登記)」(57.2%)でした。相続登記は専門的な知識が必要なため、多くの人が専門家のサポートを受けていることがうかがえます。次いで多かったのは「遺産分割協議書の作成」(47.6%)で正確に仕上げるために専門家に依頼したと考えられます。
また、「相続財産目録の作成」(37.6%)、「相続税の申告」(36.7%)、「相続財産の調査」(33.6%)といった財産の把握や評価に関する依頼も多く見られます。「戸籍収集」(32.3%)や「相続関係説明図の作成」(33.2%)も一定の割合で依頼されており、家族関係が複雑な場合や戸籍の取り寄せに不安がある人が利用していると考えられます。
一方、「銀行解約・名義変更」(20.5%)や「相続人調査」(23.6%)は比較的自分で進めやすい手続きであるため、依頼割合はやや低めとなっています。「証券会社の解約・名義変更」(10.5%)、「遺言書の検認」(14.8%)、「家族信託手続き」(5.7%)などは該当する人が限られるため、依頼件数も少ない傾向にあります。※この設問は複数選択形式のため、各回答の割合を合計すると100%を超えます。
専門家に支払った金額

実際に支払った費用で最も多かったのは「10万円~20万円」(16.91%)でした。次いで「10万円未満」(10.03%)が続いており、比較的低額で済んだ人も一定数存在します。
一方、「50万円以上」を支払った人の合計は約23%にのぼり、「100万円以上」(8.60%)という高額な費用をかけたケースも見られました。費用の分布には大きな幅があり、相続の内容や状況によって必要な手続きが異なることがうかがえます。
特に、複数の不動産や多額の預貯金などがあるケースでは、相続登記や相続税申告などで時間や手間がかかり、結果として費用が高額になる場合があります。
相続人との連絡調整が大変だったと回答した人の自分の相続対策

相続人との連絡調整が大変だったと回答した人の自分の相続対策への意向について、とても考えるようになった(47.56%)、少し考えるようになった(38.68%)と、合わせて約86%の人が相続対策を考えるようになったことがわかりました。
相続手続きを経験したことで、自分の相続の際には家族が困らないように、事前に整理・対策をしておこうと考えるようになった人が多いと考えられます。

相続人との連絡調整が大変だった人に対して「今後、どのような相続対策を検討したいか」を尋ねたところ、最も多かったのは「遺言書の作成を検討」(36.68%)という回答でした。遺言書を残すことで、相続人間の話し合いを最小限に抑え、手続きを円滑に進めたいという意識がうかがえます。
次いで「不動産の整理や活用」(31.23%)、「生前贈与の検討」(23.78%)、「生命保険を活用した相続対策」(22.92%)が続きました。
一方、「家族信託の検討」(6.02%)や「成年後見の検討」(8.31%)といった財産管理に関する対策は、現時点では関心がやや低めとなっています。しかし、今後さらに高齢化が進む中では、認知症や判断能力の低下に備えたこれらの制度の活用も、重要性が増していくと考えられます。※この設問は複数選択形式のため、各回答の割合を合計すると100%を超えます。
まとめ
相続は、相続財産の種類や、相続手続きの進め方やかかる時間、費用も人それぞれです。もちろん、相続に対する考え方も違います。
本調査では、相続人との連絡調整が大変だったという回答以外にも、相続手続きの流れや必要な手続きを把握するのが難しく苦労し、時間がとられたとの回答が多くありました。専門家への依頼も手続き内容によって大きく異なりました。
相続手続きをスムーズに進めるためには、その人その人の状況に応じた対策が必要となります。
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| 40代 | 13.4% |
| 50代 | 24.4% |
| 60代 | 38.1% |
| 70代 | 22.4% |
| 80代 | 1.7% |
| 北海道・東北 | 15.1% |
| 関東 | 22.0% |
| 中部 | 20.8% |
| 関西 | 15.7% |
| 中国・四国 | 13.4% |
| 九州・沖縄 | 13.0% |
| 会社員 | 19.9% |
| 経営者・役員 | 4.0% |
| 公務員 | 4.3% |
| 派遣・契約社員 | 6.1% |
| 自営業・自由業 | 10.0% |
| 専業主婦/主夫 | 16.2% |
| パート・アルバイト | 11.9% |
| 無職 | 26.6% |
| その他 | 0.9% |
| 配偶者 | 6.9% |
| 父・母 | 82.4% |
| 祖父・祖母 | 2.7% |
| 兄弟・姉妹 | 3.7% |
| 叔父・叔母 | 3.1% |
| 子 | 0.5% |
| 甥・姪 | 0.1% |
| いとこ | 0.1% |
| その他 | 0.6% |
| 1人 | 11.4% |
| 2人 | 34.8% |
| 3人 | 36.4% |
| 4人 | 11.9% |
| 5人以上 | 5.5% |
| 1,000万円未満 | 13.2% |
| 1,000万円以上~2,000万円未満 | 33.6% |
| 2,000万円以上~3,000万円未満 | 13.0% |
| 3,000万円以上~4,000万円未満 | 10.6% |
| 4,000万円以上~5,000万円未満 | 5.4% |
| 5,000万円以上~8,000万円未満 | 9.2% |
| 8,000万円以上~1億円未満 | 2.4% |
| 1億円以上2億円未満 | 8.1% |
| 2億円以上 | 0.9% |
| 無回答 | 3.7% |
| 調査期間 | 2024/12/16~2024/12/26 |
| 調査対象者 | 過去4年以内に手続きを経験された方(現在手続き中の方も含む) |
| 調査方法 | インターネット調査 |
| 有効回答数 | 1,851名 |
| 調査主体 | いい相続(株式会社鎌倉新書) |
▼実際に「いい相続」を利用して、行政書士に相続手続きを依頼した方のインタビューはこちら
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