相続税路線価より低く土地の評価額を計算して相続税等を節税する方法
本記事は、いい相続の姉妹サイト「遺産相続弁護士ガイド」で2018年10月18日に公開された記事を再編集したものです。
土地を相続すれば相続税がかかりますし、土地の贈与を受ければ贈与税がかかります。
土地にかかる相続税や贈与税は、その土地の価値を何円と評価されるかによって変わってきます。
土地の価値が低く評価された方が、税金も安くなります。土地の評価には、通常、相続税路線価を用います(相続税路線価を用いない地域もあります。)。
この記事では、相続税路線価等を使った土地の評価方法について説明し、さらに、土地の評価額を低く計算して、節税する方法についても説明します。
必要以上に税金を納めてしまっても、税務署が教えてくれることはありません。
目次
この記事を書いた人
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相続税路線価とは?
路線価とは、路線(道路)に面した宅地の1平方メートル当たりの評価額のことで、相続税路線価とは、土地の相続税評価額を算定する際の基準となる路線価とのことです。
相続税や贈与税はそれぞれ、相続財産、贈与財産の価額に対して課せられます。
1000万円の現金の場合は、1000万円に対して課税されますが、土地の場合は、その土地がいくらなのかという基準が必要です。
その基準を相続税路線価を用いて計算するのです。
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相続税路線価図はどこで見られる?
相続税路線価を調べるには、相続税路線価図を確認します。
相続税路線価は国税庁が決定し公表しているものであり、相続税路線価図は、税務署等で閲覧することができるほか、国税庁ウェブサイトの財産評価基準書のページでも閲覧することができます。
毎年7月初旬に、その年の相続税路線価が公表されるので、1月から6月の間に被相続人(亡くなって財産を残す人)が亡くなって、土地の相続、遺贈または死因贈与を受けた場合は、7月に路線価が公表されるのを待ってから、土地の相続税評価額を計算し、相続税を申告・納付します。
なお、相続税の申告・納付の期限は、相続開始を知った日の翌日から10か月以内です。
話を戻して、財産評価基準書のページから路線価図を閲覧する方法を説明します。
財産評価基準書のページにアクセスしたら、ページ上部に「平成〇年分」と書かれた7年分のボタンが配置されていることが分かります。
最新版を閲覧したい場合はそのまま下記の工程に移りますが、過去の路線価図を閲覧したい場合は、閲覧したい年のボタンをクリックします。
例えば、相続が発生したのが昨年であれば、昨年分の路線価図を確認します。
次に、路線価を調べたい宅地が存在する都道府県名をクリックします。
次に、「路線価図」という文字をクリックし、宅地が存在する市区町村名をクリックします。
そうすると地名の一覧がでてくるので、宅地が存在する地名の右の路線価図ページ番号をクリックします。
路線価図ページ番号が複数に別れている場合は、それぞれクリックして宅地が面した路線が掲載されている路線価図を探してください。
国税庁の財産評価基準書のウェブページの難点は、路線価図がページごとになっており、スクロールすることができません。
探しにくい場合は、一般社団法人資産評価システム研究センターの運営する「全国地価マップ」というウェブサイトの相続税路線価図のページを利用するとよいでしょう。
全国地価マップの難点は、掲載が公表から4、5か月遅れることです。
全国地価マップでは、11月下旬頃に、その年の路線価図が掲載されます。
相続税路線価図の見方
相続税路線価図の見方を説明します。路線価図は下図のようになっています。
(出典:国土交通省「路線価図の説明」)
各路線に数字とA〜Gのアルファベットの組み合わせた記号が記されています。
記号の中の数字は、1平方メートル当たりの価額が千円単位で表されたものです。
例えば、「215D」と記載されていれば、その路線に面した宅地の路線価は、215,000円です。
アルファベットは借地権割合を表しています(詳しくは後述)。
数字が記載されている記号の一部(上側、下側、右側、左側)が、黒塗り、斜線、白抜きになっているケースがありますが、これは路線価の適用範囲の違いを表しています。
- ?黒塗り:黒塗り側の路線の道路沿いのみが該当
- ?斜線:斜線側の路線には該当しない
- ?白抜き:その路線全域に該当
相続税路線価を使った相続税評価額の基本的な計算方法
相続税評価額は、基本的には「路線価×地積」で計算します。
例えば、路線価が215,000円で、地積が100平方メートルの土地の場合は、215,000円×100平方メートル=21,500,000円となります。
相続税評価額は、土地の形状等の条件によって低くなる場合がありますが、このことについては後述します。
相続税路線価図に路線価が記載されていない場合
相続税路線価図に路線価が記載されていない場合の相続税評価額の計算方法は、倍率方式により計算しなければならない場合と、特定路線価を国税庁に設定してもらうか、近くの路線の路線価から計算しなければならない場合があります。
倍率方式
評価倍率表に倍率方式の適用地域として記載がある地域の宅地の相続税評価額は倍率方式によって計算します。
なお、前述の路線価によって相続評価額を計算する方式のことを路線価方式といいます。
評価倍率表は、市区町村ごとになっていて、次の手順で確認します。
- 国税庁ウェブサイトの財産評価基準書のページにアクセス
- 都道府県名をクリック
- 「評価倍率表」欄の下の「一般の土地等用」、「大規模工場用地用」または「ゴルフ場用地等用」のうち、該当するものをクリック
- 市区町村名をクリック
評価倍率表の中の「固定資産税評価額に乗ずる倍率等」という欄に倍率が記載されている場合は、固定資産税評価額にこの倍率を乗じた(掛け算した)金額が相続税評価額になります。
例えば、固定資産税評価額が1000万円で、相続税の評価倍率が1.1倍の土地の相続税評価額は、1000万円×1.1倍=1100万円です。
固定資産税評価額は、固定資産税の納税通知書に添付されている課税明細書に記載されています。
固定資産税の納税通知書は、毎年送付されてきますが、納付が済んでも保管しておきましょう。
課税明細書に「価格」か「評価額」という欄がありますが、そこに金額が記載されています。
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路線価図に路線価の記載がない場合の路線価方式
倍率表の適用地域に記載がない地域の宅地は倍率方式の対象ではないので、路線価方式によって相続税評価額を計算しなければなりませんが、幅の狭い市道や生活道路には路線価の記載がないことがあり、また、私道にも路線価の記載はありません。
路線価図に路線価の記載がない場合は、次のいずれかの方法によって、路線価を求めることができます。
- ?特定路線価による方法
- ?近くの路線の路線価から計算する方法
以下、それぞれについて説明します。
特定路線価による方法
特定路線価とは、路線価図に路線価の記載がなく、また、相続税や贈与税の申告・納付のために路線価が必要な場合に、国税庁が特別に設定する路線価のことです。
特定路線価の設定は、特定路線価の設定が必要な路線のある地域を管轄する税務署に申し出ます。
管轄の税務署は、国税庁ウェブサイトの「税務署の所在地などを知りたい方へ」のページでご確認ください。
次の書類を、持参または郵送で提出します。
- ?特定路線価設定申出書
- ?別紙 特定路線価により評価する土地等及び特定路線価を設定する道路の所在地、状況等の明細書
- ?特定路線価設定申出書の提出チェックシート
- ?物件案内図、地形図、写真等の資料
用紙は、税務署で入手することができますが、上記のリンクからもダウンロードすることができます。
また、申出書の記入に当たっては、こちらの記入例をご参照ください。
特定路線価が設定されると、設定通知書が送付されます。
設定を申し出てから設定通知書が届くまでに、1か月ほどかかります。
近くの路線の路線価から計算する方法
近くの路線価から計算する方法について説明します。
この方法は、特定路線価より評価額が高くなる可能性が高いので、基本的には特定路線価の設定を申し出ることを勧めます。
しかし、前述の通り、特定路線価の設定には1か月ほど必要なので、相続税の申告・納付の期限が近い場合は、この方法によることも検討しなければならないでしょう。
近くの路線の路線価から計算する方法には、次の2つの方法があります。
- ?路線価の設定がある土地の固定資産税と路線価の計算したい土地の固定資産税の比率から路線価を計算する方法
- ?最も近い路線の路線価か、近くの路線の路線価のうち最も高い路線価を代用する方法
詳しくは税理士にご相談ください。
相続税評価額を下げる方法
相続税評価額を下げる方法には、次のようなものがあります。
- ?いびつな土地の評価減
- ?地積規模の大きな宅地の評価減
- ?借地権の評価減
- ?貸宅地の評価減
- ?貸家建付地の評価減
- ?私道、セットバックの評価減
- ?がけ地等を有する宅地の評価減
以下、それぞれについて説明します。
いびつな土地の評価減
いびつな土地の評価額は減額補正されます。いびつな土地の評価減には、次の3つがあります。
- ?奥行が長大な宅地の評価減
- ?間口が狭小な宅地の評価減
- ?不整形な宅地の評価減
いびつな土地の評価減は、路線価地域にしか適用されません。
倍率地域には適用されないので、間違えないようにご注意ください。
以下、それぞれについて説明しますが、複雑なものもあるので、すぐに理解するのは難しいかもしれません。
不明な点は、税務署か税理士に相談してください。
奥行が長大な宅地の評価減
普通住宅地区では、奥行が間口の2倍以上の長さになると、評価減になります。
奥行が長大な宅地の評価は、路線価にその宅地の奥行距離に応じた奥行価格補正率を乗じて(掛け算して)求めた価額に、更に、「奥行長大補正率表」に定める補正率及びその宅地の地積を乗じて(掛け算して)計算します。
奥行価格補正率表
地区区分? ? 奥行距離 (メートル) | ビル街地区 | 高度商業地区 | 繁華街地区 | 普通商業・併用住宅地区 | 普通住宅地区 | 中小工場地区 | 大工場地区 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
4未満 | 0.80 | 0.90 | 0.90 | 0.90 | 0.90 | 0.85 | 0.85 |
4以上6未満 | 0.92 | 0.92 | 0.92 | 0.92 | 0.90 | 0.90 | |
6 〃 8 〃 | 0.84 | 0.94 | 0.95 | 0.95 | 0.95 | 0.93 | 0.93 |
8 〃 10 〃 | 0.88 | 0.96 | 0.97 | 0.97 | 0.97 | 0.95 | 0.95 |
10 〃 12 〃 | 0.90 | 0.98 | 0.99 | 0.99 | 1.00 | 0.96 | 0.96 |
12 〃 14 〃 | 0.91 | 0.99 | 1.00 | 1.00 | 0.97 | 0.97 | |
14 〃 16 〃 | 0.92 | 1.00 | 0.98 | 0.98 | |||
16 〃 20 〃 | 0.93 | 0.99 | 0.99 | ||||
20 〃 24 〃 | 0.94 | 1.00 | 1.00 | ||||
24 〃 28 〃 | 0.95 | 0.99 | |||||
28 〃 32 〃 | 0.96 | 0.98 | 0.98 | ||||
32 〃 36 〃 | 0.97 | 0.96 | 0.98 | 0.96 | |||
36 〃 40 〃 | 0.98 | 0.94 | 0.96 | 0.94 | |||
40 〃 44 〃 | 0.99 | 0.92 | 0.94 | 0.92 | |||
44 〃 48 〃 | 1.00 | 0.90 | 0.92 | 0.91 | |||
48 〃 52 〃 | 0.99 | 0.88 | 0.90 | 0.90 | |||
52 〃 56 〃 | 0.98 | 0.87 | 0.88 | 0.88 | |||
56 〃 60 〃 | 0.97 | 0.86 | 0.87 | 0.87 | |||
60 〃 64 〃 | 0.96 | 0.85 | 0.86 | 0.86 | 0.99 | ||
64 〃 68 〃 | 0.95 | 0.84 | 0.85 | 0.85 | 0.98 | ||
68 〃 72 〃 | 0.94 | 0.83 | 0.84 | 0.84 | 0.97 | ||
72 〃 76 〃 | 0.93 | 0.82 | 0.83 | 0.83 | 0.96 | ||
76 〃 80 〃 | 0.92 | 0.81 | 0.82 | ||||
80 〃 84 〃 | 0.90 | 0.80 | 0.81 | 0.82 | 0.93 | ||
84 〃 88 〃 | 0.88 | 0.80 | |||||
88 〃 92 〃 | 0.86 | 0.81 | 0.90 | ||||
92 〃 96 〃 | 0.99 | 0.84 | |||||
96 〃 100 〃 | 0.97 | 0.82 | |||||
100 〃 | 0.95 | 0.80 | 0.80 |
奥行長大補正率表
地区区分 奥行距離/間口距離 | ビル街地区 | 高度商業地区 繁華街地区 普通商業・ 併用住宅地区 | 普通住宅地区 | 中小工場地区 | 大工場地区 |
---|---|---|---|---|---|
2以上3未満 | 1.00 | 1.00 | 0.98 | 1.00 | 1.00 |
3 〃 4 〃 | 0.99 | 0.96 | 0.99 | ||
4 〃 5 〃 | 0.98 | 0.94 | 0.98 | ||
5 〃 6 〃 | 0.96 | 0.92 | 0.96 | ||
6 〃 7 〃 | 0.94 | 0.90 | 0.94 | ||
7 〃 8 〃 | 0.92 | 0.92 | |||
8 〃 | 0.90 | 0.90 |
間口が狭小な宅地の評価減
間口が狭小な宅地の評価は、路線価にその宅地の奥行距離に応じた奥行価格補正率を乗じて(掛け算して)求めた価額に、更に、「間口狭小補正率表」に定める補正率及びその宅地の地積を乗じて(掛け算して)計算します。
【間口狭小補正率表】
地区区分 間口距離 (メートル) | ビル街地区 | 高度商業地区 | 繁華街地区 | 普通商業・ 併用住宅地区 | 普通住宅 地区 | 中小工場地区 | 大工場地区 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
4未満 | – | 0.85 | 0.90 | 0.90 | 0.90 | 0.80 | 0.80 |
4以上6未満 | – | 0.94 | 1.00 | 0.97 | 0.94 | 0.85 | 0.85 |
6 〃 8 〃 | – | 0.97 | 1.00 | 0.97 | 0.90 | 0.90 | |
8 〃 10 〃 | 0.95 | 1.00 | 1.00 | 0.95 | 0.95 | ||
10 〃 16 〃 | 0.97 | 1.00 | 0.97 | ||||
16 〃 22 〃 | 0.98 | 0.98 | |||||
22 〃 28 〃 | 0.99 | 0.99 | |||||
28 〃 | 1.00 | 1.00 |
不整形な宅地の評価減
奥行距離が一様でないなど形状が不整形の宅地の評価は、その宅地が不整形でないものとして計算した1平方メートル当たりの価額に、その不整形の程度、位置及び地積の大小に応じ、「不整形地補正率表」に定める補正率を乗じて(掛け算して)評価します。
地積区分
地積区分 地区区分 | A | B | C |
---|---|---|---|
高度商業地区 | 1,000 未満 | 1,000 以上 1,500 未満 | 1,500 以上 |
繁華街地区 | 450 未満 | 450 以上 700 未満 | 700 以上 |
普通商業・併用住宅地区 | 650 未満 | 650 以上 1,000 未満 | 1,000 以上 |
普通住宅地区 | 500 未満 | 500 以上 750 未満 | 750 以上 |
中小工場地区 | 3,500 未満 | 3,500 以上 5,000 未満 | 5,000 以上 |
不整形地補正率表
地区区分 | 高度商業地区、繁華街地区、普通商業・併用住宅地区、中小工場地区 | 普通住宅地区 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
地積区分 | A | B | C | A | B | C |
かげ地割合 | ||||||
10%以上 | 0.99 | 0.99 | 1.00 | 0.98 | 0.99 | 0.99 |
15% 〃 | 0.98 | 0.99 | 0.99 | 0.96 | 0.98 | 0.99 |
20% 〃 | 0.97 | 0.98 | 0.99 | 0.94 | 0.97 | 0.98 |
25% 〃 | 0.96 | 0.98 | 0.99 | 0.92 | 0.95 | 0.97 |
30% 〃 | 0.94 | 0.97 | 0.98 | 0.90 | 0.93 | 0.96 |
35% 〃 | 0.92 | 0.95 | 0.98 | 0.88 | 0.91 | 0.94 |
40% 〃 | 0.90 | 0.93 | 0.97 | 0.85 | 0.88 | 0.92 |
45% 〃 | 0.87 | 0.91 | 0.95 | 0.82 | 0.85 | 0.90 |
50% 〃 | 0.84 | 0.89 | 0.93 | 0.79 | 0.82 | 0.87 |
55% 〃 | 0.80 | 0.87 | 0.90 | 0.75 | 0.78 | 0.83 |
60% 〃 | 0.76 | 0.84 | 0.86 | 0.70 | 0.73 | 0.78 |
65% 〃 | 0.70 | 0.75 | 0.80 | 0.60 | 0.65 | 0.70 |
間口狭小補正率の適用がある場合は、この表により求めた不整形地補正率に間口狭小補正率を乗じて(掛け算して)得た数値を不整形地補正率とします。
ただし、その最小値はこの表に定める不整形地補正率の最小値(0.60)とします。
また、奥行長大補正率の適用がある場合は、選択により、不整形地補正率を適用せず、間口狭小補正率に奥行長大補正率を乗じて(掛け算して)得た数値によって差し支えありません。
大工場地区にある不整形地については、原則として不整形地補正を行ないませんが、地積がおおむね9,000平方メートル程度までのものについては、地積区分表とこの表の中小工場地区の区分により不整形地としての補正を行って差し支えありません。
地積規模の大きな宅地の評価減
地積規模の大きな宅地の評価については「地積規模の大きな宅地の評価が適用できるケースと評価額の計算方法」をご参照ください。
借地権の評価減
借地権(土地を借りる権利)も相続財産であり、相続税の課税対象となります。
借地権の評価額は、土地の相続税評価額に借地権割合を乗じて(掛け算して)計算します。
各路線の借地権割合は、前述の通り、路線価図の記載された記号中のA〜Gのアルファベットで確認できます。
各アルファベットの借地権割合は次のとおりです。
- ?A:90%
- ?B:80%
- ?C:70%
- ?D:60%
- ?E:50%
- ?F:40%
- ?G:30%
貸宅地の評価減
人に貸している土地も、当然、相続財産です。
貸宅地(かしたくち)とは、人に土地を貸していて、その土地を借りている人が所有する建物が存在する場合の土地のことです。
貸宅地の価額の評価方法について詳しくは、国税庁ウェブサイトの「貸宅地の評価」のページをご参照ください。
貸家建付地の評価減
貸家建付地(かしやたてつけち)とは、貸家の目的とされている宅地、すなわち、所有する土地に建築した家屋を他に貸し付けている場合の、その土地のことをいいます。
貸家建付地の評価額は、「自用地とした場合の価額−自用地とした場合の価額×借地権割合×借家権割合×賃貸割合」で計算することができます。
貸家建付地の評価方法について詳しくは、「土地にかかる相続税の計算方法と土地を使って相続税を節税する方法」をご参照ください。
私道、セットバックの評価減
不特性多数の人が通り抜けられる私道の評価額は0円になります。
特定の人しか通行しない行き止まりの私道は、自用地の場合の評価額の30%になります。
セットバック部分の評価も同じく自用地の場合の評価額の30%になります。
がけ地等を有する宅地の評価減
がけ地等で通常の用途に使うことができない部分がある宅地の価額は、がけ地等の部分ががけ地等でないとした場合の価額に、がけ地補正率を乗じて(掛け算して)計算した価額によって評価します。
【がけ地補正率】
がけ地の方位 がけ地地積/そう地積 | 南 | 東 | 西 | 北 |
---|---|---|---|---|
0.10以上 | 0.96 | 0.95 | 0.94 | 0.93 |
0.20 〃 | 0.92 | 0.91 | 0.90 | 0.88 |
0.30 〃 | 0.88 | 0.87 | 0.86 | 0.83 |
0.40 〃 | 0.85 | 0.84 | 0.82 | 0.78 |
0.50 〃 | 0.82 | 0.81 | 0.78 | 0.73 |
0.60 〃 | 0.79 | 0.77 | 0.74 | 0.68 |
0.70 〃 | 0.76 | 0.74 | 0.70 | 0.63 |
0.80 〃 | 0.73 | 0.70 | 0.66 | 0.58 |
0.90 〃 | 0.70 | 0.65 | 0.60 | 0.53 |
「がけの方位」は斜面が向いている方位です。
がけの方位が東西南北の4つのどれかに当てはまらない北西や南東などの場合は、2つの方位の平均のがけ地補正率になります。
2方位以上のがけ地がある場合は、それぞれのがけ地地積の比率に応じてがけ地補正率を計算します。
複数の路線に面している場合
複数の路線に面している場合は、路線価よりも評価が高くなる可能性があります。
複数の路線に面している場合の計算方法は、とても複雑です。
一般の方が自分で計算するのは難しいと思います。
どうしても自分で計算したい場合は、国税庁ウェブサイトの「財産の評価黙示一覧」のページの「土地評価における画地調整関係」の項目下の1〜15の項目の中で、計算したい宅地の条件に該当する項目の評価方法を読んで理解しなければなりません。
難しいと感じた場合は、無理せずに税理士に依頼しましょう。
税務署に尋ねても、手取り足取りの指導を期待することはできません。
自宅マンションの1室の相続税評価額の計算方法
自宅マンションの1室の所有者が持っている敷地権の相続税評価額は、「マンション全体の敷地の相続税評価額×敷地権割合」で計算することができます。
敷地権割合は登記簿に記載されています。
なお、マンションの1室の建物の相続税評価額は、固定資産税評価額となります。
建物の相続税評価額は、固定資産税評価額で評価されるのです。
先ほど、固定資産税評価額は、課税明細書の「価格」(または「評価額」)欄に記載されていることを説明しましたが、マンションの場合は、価格欄は一棟丸ごとの評価額が記載されています。
自分の所有している部屋の固定資産税評価額は、課税標準額の欄に記載されています。
まとめ
以上、相続税路線価について説明しました。
土地の評価額を低く計算する方法を説明しましたが、複雑で分かりにくいと感じられた方もいらっしゃると思います。
実際、土地の評価額を低く計算する方法は大変複雑です。
諦めて路線価どおりの評価額で計算すると、税額が大きく変わってしまい、損してしまいます。
税理士に依頼すると、費用がかかりますが、費用以上に節税メリットが大きい場合が多いので、まずは、相談してみるとよいでしょう。
▼実際に「いい相続」を利用して、税理士に相続税申告を依頼した方のインタビューはこちら
この記事を書いた人
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