弁護士歴20年以上。「依頼者との信頼関係が、事件を有利に導く」とコミュニケーションを惜しみません
「当たり前かもしれないけど、依頼者さんと十分にコミュニケーションを取って丁寧に案件を進めるのが、事件を有利にするうえで重要なんです」と話してくれた重 隆憲先生。
普段は町の弁護士、いわゆるマチベンとして中小企業や個人の問題解決に奔走しているそう。そんな重先生の印象的な相続事例や、仕事をするうえで心掛けていることを伺いました。ぜひ、参考にしてください。
個人が日常的に遭遇する様々な法律問題や中小企業の企業法務について、広く取り扱う。依頼者との信頼関係を大切に、丁寧なリーガルサービスを提供。平成10年に元田法律事務所へ入所。
元田・重法律事務所
目次
ここ2~3年で相続案件が大幅に増えた
―相続分野の案件は、最近はどのくらい受けていますか?
特別に集客しているわけではありませんが、ここ2~3年で相続案件がすごく増えています。一般的な遺産分割から遺言書無効、遺留分や相続財産管理人の関係までなんでも来ていますね。
中小企業の企業法務もしているんですが、会社経営者や従業員の方の相続まで相談を受けたりするので、増えているのかもしれません。案件は紹介が中心で、弁護士会の法律相談で受任することもありますね。
その一方、交通事故や債務整理は以前よりも減っています。でもうちはマチベンなので分野にこだわらず幅広く依頼を受けています。
依頼者と一緒に、膨大な医療記録から証拠を見つけた事例
―今までで印象に残った相続案件を教えてください。
遺言の無効を主張してうまくいった事例は印象に残っています。依頼者は相続人の娘さんで、お母様の相続についてあやしい自筆証書遺言が出てきたので無効ではないかと相談に来られたんです。
直筆で書かれた遺言書で「もうひとりの娘に財産をすべて相続させる」と書かれていたんです。このままだと依頼者さんは遺産をもらえなくなってしまいます。
遺言書の無効で争点になるのは、遺言書を書いた人にきちんとした意思能力があるかです。これは膨大な量の医療記録を取り寄せて手がかりがないか探します。何年もの薬や検査の記録、治療の経過とかもあって何百ページもあるんですが、依頼者さんと分担して調べました。依頼者さんは看護師で、すごく丁寧に読んでくれたんですね。
医療記録のなかに看護記録というものがあります。それは看護師さんが患者さんの日常生活の記録を書くものなんですが、依頼者さんが看護記録を読んでいたら「もうひとりの娘さんが、患者さんを連れ出して公証役場に連れて行った」という記述を見つけてくれたんです。
裁判の数日前の打ち合わせでそれが発覚して。「それは良い材料ですね。ちょっと聞いてみましょう」となって相手方に証人喚問で問いただしたら、相手方が「公証役場の公証人に、『この人は判断能力が低下しているから、遺言書は作れない』と言われた」とポロッと言ったんです。裁判官もオッという顔をしていました。
公証役場で断られて公正証書遺言は作れなかったので、自筆証書遺言を用意したようですが、「その自筆証書遺言もダメでしょ、本当に本人がわかって書いたの?」ということで、遺言書は無効になりました。法定相続分で遺産分割して解決しましたね。
―こちらに有利な記述を見つけたのは、依頼者さんのお手柄ですね!
そうですね、あのときは本当に助かりました。看護師だったのもありますが、依頼者さんって実際に自分の親の状況を体験しているから膨大な量の資料も読みやすいんですよね。過去のできごとを思い出しながら読めるというか。
なので、ちょっとしたことだけど意外と重要なことを気づいてくれるんです。弁護士が記録を見ても医師の顔も病院のこともわからないんですよ。依頼者さんが協力してくれて、うまく解決した事例ですね。
とにかく丁寧に。依頼者への報・連・相はかかさない
―案件を解決するうえで、大切にしていることはありますか?
普通に依頼者さんとお話しているんですが、ただ打ち合わせは頻繁に入れてますね。自分だけで考えてわからないことがあっても、依頼者さんと話していると答えが出るんです。
それに、違うことは依頼者さんが違うと言ってくれる。弁護士が勝手に誤解して、裁判で間違ったことを言ってしまうのは良くないですから。
なので打ち合わせをするための労力は惜しまないですね。それが結局、解決への一番の近道だと思うんです。急がば回れというやつです。依頼者さんとたくさんコミュニケーションを取って、いろいろ聞くといろいろなヒントが隠れているんです。
―重先生はお話しやすいので、依頼者さんもたくさん話してくれそうです!
他の弁護士先生のことはあまりわかりませんが、自分では話しやすい方だと思っています。いわゆる報・連・相は、こちらが思っているより重要だと思うんです。
弁護士の中には信じられないくらい報告や説明しない人もいるんです。やっぱり、ちょっと面倒だったり結論だけ言えば良いと思うんですかね。
僕は基本的に「渡した記録を順番に綴ってもらったら、事務所の控えの資料と同じものがもう一冊できますよ」と言って資料はすべて依頼者さんに渡しています。走り書きのメモとかは渡さないですけど。電話もすぐかけちゃうし、他の事務所より相当丁寧に報告や相談をしていると思います。
きちんと時間をとって、対面で話を聞いてくれる弁護士を選んだほうが良い
―弁護士事務所を選ぶときのポイントはありますか?
良さそうな弁護士を見つけたら、まず相談しちゃうのが良いと思いますよ。そのときは電話で終わらせようとしないで、対面で話をするほうが良いです。電話だと詳細がわからなくてかえって遠回りですし、まともな弁護士だったら会って話を聞きたいと思うはずです。
あと相談のための資料があれば持参して。弁護士って資料を見せてもらえばだいたいわかるんです。それで負けそうだったらはっきり見切りを付けてもらったほうが、相談に来た方の労力を使わずに済みます。
弁護士事務所を何件かまわっても良いですが、最大3か所くらい見てみれば合いそうな弁護士は見つかると思います。弁護士といっても全然怖くないですから、ぜひ相談にいらしてくださいね。
―ありがとうございました!
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