ささいな話から、問題解決のヒントが見つかることも。弁護士とご依頼者が協力して、案件を進めていく
仲の良い同期同士で事務所を設立した、石山 晃成先生と三橋 潔先生。普段はパーテーションを挟んで、隣のデスクで仕事をしているほど仲の良いお2人です。インタビュー中も相手の意見を深く頷きながら聞いていたりと、長年の信頼を感じられました。
そんな仲の良いお2人がこれまでに解決した事例や、相続問題を扱うときに気を付けていることをお聞きしました。
神奈川県弁護士会の民事裁判手続運用委員会 副委員長、破産事務懇談会部会 部会長、倒産法研究会 幹事などを務め、破産管財事件の解決に尽力している。趣味は読書、映画鑑賞、散歩。
みなとまち法律事務所
神奈川県弁護士会の民事介入暴力対策委員会 副委員長を務める。著作に「民事介入暴力対策マニュアル-誰にでも解決できる民暴事件-(改訂版)」(共著)、「業種別不当要求防止マニュアル改訂版」(第一法規/共著/編集責任者・著者代表)がある。趣味はサッカー。
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それぞれの得意分野を活かして活動する
―先生方は普段はどういった分野の案件を扱っていらっしゃいますか?
石山先生:全体で言うと離婚・交通事故などの案件が多いですかね。相続分野だと遺産分割協議とか、公正証書遺言の作成、あとは相続放棄の案件が多いです。ときどき遺言の有効・無効を争う事案も扱います。
三橋先生:私が一番多いのは破産管財事件です。あとは会社や個人事業主の再建・私的整理ですかね。加えて不在者財産管理人・相続財産などの財産管理、法定後見制度が近年ウエイトが大きくなっています。
相続で言うと、遺産の分割方法についてのお悩みが多いです。また相続人のいない方の遺言作成も行っています。
自分の財産をどこかの団体に寄付したいとか、亡くなった後に自分の財産を有効活用したいという方のお手伝いですね。そういった遺言作成から、遺言執行者になって遺言執行するまでのセットも割と多いです。
前夫の外国籍の子と遺産分割協議をした事例
―これまでに解決された事例を教えてください。
石山先生:外国籍の前夫の子との遺産分割協議を扱ったことがあります。
被相続人であるお母さんが亡くなったため、遺産分割協議書を作成したい。しかし外国籍の相続人がいるとのことでした。その相続人は、被相続人の前夫との子。ご依頼者も会ったことすらない様子でした。
まずは相続人調査を開始。その方の前の住所が分かっていたので、大使館に手紙で事情を説明して協力を依頼しました。私からその相続人宛の手紙も大使館に託しました。
そしてその相続人の方から連絡をもらい、遺産分割協議書に同意を頂けました。先方は幼い時に両親が離婚したということで、亡くなったお母さんとは何十年も会っていない様子でした。
今回の相続をきっかけに、お母さんのお墓参りをしたいからお墓の場所を教えて欲しいとの連絡もその後もらいました。また私の方からはお母さんの一周忌の連絡を差し上げたりもしました。
ですので依頼者だけではなくて、先方にとってもお母さんに対する複雑な思いというのを解消する相続だったのかなと思います。
相続問題ならではの配慮
―相談を受けるにあたって、何か配慮されていることはありますか?
はじめに方向性を明確にしてから、解決策を練る
石山先生:解決方法について、メリット・デメリットをお伝えしたうえで依頼するか決めていただくように配慮しています。
例えば、遺言作成のケースでも相続人の中で争いになるかもしれないですよね。遺留分を主張してきたりするかもしれない。その対策として遺留分はどれぐらいになるか計算表をお渡しすることもあります。
遺言書を作成する段階では、亡くなった時点の財産状況は分かりませんから、現時点での概算額やシュミレーション表を作って出したりもしています。「この人だけに全部財産を渡したい」という希望であれば、別の相続人の遺留分を侵害することがありますからね。
三橋先生:遺産分割協議のような相手方がいるときは、その相手方との人間関係を決定的に壊してもいいのか、壊すことに躊躇があるのかをお伺いします。
「未来永劫、会わなくてもいい」という時は、こちらも気が楽です。でも実際にはそうでない場合が多い。はじめに「関係が壊れてもいい」と仰っていても気持ちが変わることもありますから、そこは絶えず気にしています。
またはじめに言った通り、私は遺言作成・遺言執行の案件も多いです。そこで遺言は将来に向けてポジティブなメッセージを残すことだと考えて頂きたいと思っています。
特に相続人がいらっしゃらない方は、自分が培った財産を社会にどうやって役立てていくのかに興味がある。だから、ご自身の財産をただどこかにドーンと寄付するのではなくて、どういう経歴を持っているのか、どこでどう育ったのかをお話しながら、その想いを叶えられる方法を一緒に探していきます。
そうやって亡くなった後の財産の使い道を、ポジティブに決めていけるように気を付けています。
親族間の紛争だから、相手方にも配慮する
三橋先生:また可能であれば、私は相手方の相続人の方とも会うようにしています。一つの案件について、できるだけ相手方視点の話も聞くようにしていて。結果、総合的にご依頼者のメリットになるように取り組んでいます。
あとは遠い親戚筋に相続人がいるケースだと「ずっと疎遠だったから相続放棄していい」と相手方に放棄していただけることもあるんですね。そういうときは「相続放棄をしてもらえたから、こちらからお礼をしたらどうですか」とご依頼者に話すこともあります。
手続きをただ完了させるだけでなく、こちらからお礼をすることで親族間の風通しが良くなることも。すごく仲が良くなるというよりは、相続手続きをやってるときと比べればお互いに心情が良くなるというか。そのときは形に現れる以上に「良い結果になったな」とやりがいを感じますね。
案件によっては、勝ちにこだわることも多いかと思います。でも弁護士としてはそれだけなのはどうなのかなと。そういうときは「100%の勝利だとしても、子供や孫の代まで遺恨・憎しみを残しかねない解決で本当に良いのでしょうか」とご依頼者に言いますね。
―ご依頼者にもはっきり伝えるんですね。
三橋先生:はい、伝えます。自分としては、目先の利益だけで勝てば良いということではないと思ってるんです。特にこういう親族間の関係は追々問題が残ったりしますから。そういうことを大事にされるご依頼者であれば、良いお仕事を一緒にしていけるかなと思います。
仲の良い同期2人で事務所を開業
―「みなとまち法律事務所」はお2人で開業されたと伺いました。どういったきっかけで一緒に開業することになったんですか?
石山先生:同期で仲も良かったし、弁護士歴5年というちょうど良いタイミングでもあったので「じゃあ一緒にやろうか」という感じですね。もともとは横浜市内の別々の事務所で居候弁護士をやっていたんです。
三橋先生:今年16年目の事務所なんですが、特に大きなトラブルもなくこれまでやってこれています。2人で仕事することの何が一番いいかと言うと、何でも気軽に聞けることです。 もともとが同期で仲の良い友達ですからね。
弁護士って独善になってしまうことがあって、自分がやってることが間違ってないか、正しいことなのかが不安になるんですよね。そこを気軽に別の弁護士に意見が聞けるのが、2人で仕事をやることの良いところだと自分は思っています。
石山先生:やはり一人だと自分のやってる事の方向がズレてしまってる事に気がつかない不安があったものですから、話しやすい人間が近くにいるのはいいと思いますね。
三橋先生:それに弁護士歴20年以上になってくると、自分としてはフレッシュなつもりでも周りはそうは見てくれない。「今更こんな恥ずかしいこと聞けない」という疑問は日々発生するんですよ。外の人に聞くにはあまりにもバカにされそうで聞けないことも、すぐ隣で聞けるのはとても大きい利点ですね。
とにかく動き出してほしい
―いい相続を見ている方に、弁護士探しのアドバイスをいただけますか?
石山先生:とにかく話をしてみないと分からないと思うので、まずは弁護士に相談してみてください。ご自身が悩まれてることが、弁護士に相談すべきことなのか、この弁護士が自分に合うかどうかは動き出してみないとわかりません。
まずは話しやすい弁護士を見つけてほしいと思います。ちょっとした話の中からヒントが見つかることもあると思いますし。
弁護士がたくさんいて決めづらいとは思うんですが、話していて自分の話をきちんと聞いてくれるかどうかという点で比べてみてほしいですね。相談だけで終わるのでも構いませんので。
ご希望が現実問題として難しいこともあります。それをこちらから説明して、柔軟に修正できるかも見ていただきたい。
三橋先生:ぜひ、面倒でも複数の弁護士と直接会って話して欲しい。相続は事件自体が長期間になります。その弁護士と長期間一緒に仕事していくわけですから、相性は大切です。
複数の弁護士に会ってみて、「この人だったら長期間一緒に仕事ができる」と思える弁護士を選んでみてほしいと思います。そして1度決めたら、その弁護士を信頼して一緒に仕事してもらえたらと思います。
―いろいろと勉強になりました。ありがとうございました!
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