相続人が被相続人より先に死亡した場合、代襲相続はある?
入院していた祖父が亡くなり、遺言書が見つかりました。すべての財産を父に相続させると書いてありましたが、父は先月急死しており、そのことは祖父には伏せていました。この場合は、父の息子である私が代襲相続ですべて相続できるのでしょうか?
遺言者があらかじめ該当の相続人の子に代襲相続させようとしていたと判断できるような特別な事情がない限り、遺言書で「亡くなった相続人に相続させる」と指定された財産は相続人全員の共有とされた上で、遺産分割がおこなわれます。
代襲相続とは
代襲相続とは、相続人が相続の開始前に死亡していたり、相続欠格、相続廃除などの理由で相続権を失っていた場合に、相続人の子(相続人の子も亡くなっていた場合は孫)など、直系卑属の人が代わって相続の権利を引き継ぐことです(もし、亡くなった相続人の子が複数いた場合は、複数人が相続権を引き継ぎます)。
遺言と代襲相続
特定の相続人に対して特定の財産を相続させたい場合、被相続人は、遺言で、遺産の分割方法を定めることができます(民法908条)。
相続人が被相続人よりも先に死亡していた場合、亡くなった相続人の子に代襲相続として相続権は移りますが、特別の事情がない限り、遺言の効力は生じないため、遺言で指定された財産を代襲相続することはできません。
従って、今回のようなケースでは、遺言書で指定された財産は一度、相続人全員の共有とした上で、遺産分割をおこないます。
相続人が被相続人より先に亡くなった場合、遺言書は無効になる?
遺言書で相続財産の指定を受けた相続人が被相続人より先に亡くなった場合、亡くなった相続人に関する箇所は無効となりますが、それ以外の箇所については、遺言書は有効です。
例えば、遺言書に「不動産は長男にすべて譲る」「預貯金はすべて次男に譲る」と書かれており、長男が被相続人より先に亡くなっていた場合、長男に譲るとしていた箇所は無効ですが、次男に譲るとしていた箇所は有効です。
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被相続人より先に相続人が亡くなった場合、その子どもに指定した財産を譲るには
遺言書によって、遺産分割の方法を指定するということは、おそらく被相続人にも何らかの考えがあってのことでしょう。
希望通りに相続をしてもらうためには、指定した相続人に万一があった時のことについても、きちんと記載しておく必要があります。遺言書の書き方がわからない場合には、専門家に依頼することも可能です。
なお、遺言書に遺産分割方法が指定されていても、すべての相続人が合意すれば、遺言書の内容とは異なる方法で遺産分割することも可能です。
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