私の両親は数年前からタイに在住していて家も買っています。もしタイの家を相続することになれば相続税の対象ですか?
質問者:S.N
海外の不動産も、所有者の在住地などの条件によっては日本の相続税、贈与税の課税対象となります。
日本の相続税が課せられないケースとは?
日本国籍を有する人の場合、「相続人」と「被相続人(亡くなった人)」双方が5年以上継続して日本以外の場所に居住している場合は海外に保有する財産については日本の相続税の対象とはなりません。 しかし、それ以外の場合はすべて日本の相続税や贈与税の課税対象になります。 相談者の両親は何年居住しているのかが不明ですが、相談者は日本に居住していると思われるため相続税の対象になります。
海外不動産の評価方法
では、海外に保有している不動産の評価はどのように行うのでしょうか? 大まかに言えば次のようになります。
「国外にある財産についても日本と同様の方法で評価する。ただし、日本と同様に評価することが難しい場合は売買した場合の価格(市場価格)や、その分野に精通した専門家に評価を出してもらうこととする。」
さらに具体的にはこのようになります。
・現地の不動産仲介業者に「この物件を売買するといくらになるか?」の査定を依頼する
これは日本の場合も同様なのですが、無料で査定を受けられることが多くなるでしょう。1つの会社だけではなく、2社、3社に依頼して査定すればそれなりに信頼性のある「相場」がわかるはずです。
・不動産鑑定士に鑑定評価を依頼する
現地での「不動産鑑定士」に鑑定評価を依頼して価格を算出してもらうとより精度の高い評価額が出てくるはずです。 ただ、この方法はかなりコストがかかります。日本の不動産鑑定士に置き換えて考えると最低でも20万から30万程度は見ておかなければならないため、そこまで気軽に頼める金額ではないでしょう。ただし、価格をめぐって税務署との間で意見の食い違いが生じる可能性があるような物件であればコストをかけてでも依頼する方が安心です。
海外に不動産を持つと節税になるのか?
海外に持っている物件は、時として日本の相続税より高くつくことがあります。 よく、日本国内であれば「現金を不動産に換えると節税になる」と言われますが、それは不動産にした場合の「固定資産税評価額」等の価格が時価より安いため、その差を利用して節税するということなのです。
その点、海外の不動産では時価で評価されてしまうこともあるため、そうなれば差額による恩恵を受けられないことになります。 海外に資産を移す場合には誤った情報でかえって損にならないよう、事前に税理士と打ち合わせの上で行った方が賢明です。
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