兄弟姉妹4人のうち1人が相続放棄をする場合、基礎控除の計算は?
質問者:S.M
兄弟姉妹4人で相続することになりましたが、そのうち1人が相続放棄をすると言ってきました。この場合、相続税の計算をする時に基礎控除の計算で使う相続人は3人の計算となるのでしょうか?
法定相続人(民法で定められた範囲の相続人)の中に相続放棄をした人がいたとしても、その人の頭数は相続税の基礎控除の計算の際に含まれることになります。
つまり、相続放棄がなかったものとしてカウントするので4人です。
相続税の基礎控除とは?
相続税を計算する際にとても重要な概念が「基礎控除」です。
基礎控除とは、「ここまでの金額の財産なら相続税の申告が必要ない」というラインですが、この金額は固定されているわけではなく、各家庭の家族構成により異なります。
具体的には、「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」とされており、相談者様のように相続人が4人の場合は5,400万円ということになります。 このうち、1人の兄弟が相続放棄したとしてもこの結論は変わりません。
なお、基礎控除を超える財産額があり、「小規模宅地等の特例」や「配偶者の税額軽減」などを利用した結果、納税額がゼロになるという場合でも相続税申告は必要になりますので注意しましょう。
どこまで頭数に数えてよいか
なお、基礎控除に加えることのできる「相続人の数」には実子だけではなく養子を含むことができます。
もちろん、民法の上では何人養子をとっても構わないのですが、税法上では養子の基礎控除への算入を何人でも認めてしまうと相続税逃れのために偽装養子縁組をするケースが増えてしまうことから、人数に制限があります。
具体的には、養親にすでに実子がいる場合は1人、実子がいない場合は2人まで認められています。
ただ、相続税対策としてむやみに養子縁組をすると、他の相続人が予測しなかった養子に相続権がいってしまうことがありこれが相続紛争につながることもあります。よって、もし縁組する場合は他の相続人の意思も尊重して慎重に進めなくてはなりません。
基礎控除は平成27年より大幅に減った
平成26年12月31日までに発生した相続については、基礎控除は「5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数)」となっていました。 これは、バブルの時代の名残が残っている設定額であり、まだ不動産の価格が高い頃を基準に定められた数字といえます。
しかし、長引く不景気により不動産価格はどんどん下がり、それに伴って相続税を納める人は相続開始全体の数のわずか2%程度にとどまっていました。
そこで、「富の再分配」を目的として平成27年1月1日に発生した分の相続より、従来の6割にまで基礎控除が引き下げられました。これにより、特に都市部ではいわゆるサラリーマン家庭まで相続税の心配をする必要が出てきたのです。
不安のある方は一度ご相談を
相続税について疑問や不安のある方は、一度税理士に相談してみるのがおすすめです。
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