相続人は兄弟姉妹4人ですが1人は相続放棄するといっています。相続税の計算をする時に相続人3人で計算していいのでしょうか?
質問者:Y.K
法定相続人(民法で定められた範囲の相続人)の中に相続放棄した者がいた場合、影響が出る部分と出ない部分がありますので注意しなくてはなりません。
基礎控除に対する影響は?
相続税を計算する上で非常に大切なのが「基礎控除」です。 基礎控除とは、「ここまでの金額には相続税がかからない」という金額で、現在の税法では、「3000万円+(相続人の数×600万円)」と定められています。
相談者の例では、 兄弟4人が相続人ということですので3000万円+(4×600万円)=5400万円となります。 5400万円を上回る相続財産があった場合、上回る部分が相続税の対象財産ということになるのです。そしてたとえ、相続放棄をした相続人がいたとしてもこの金額は変わりません。
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生命保険金の非課税枠は?
もう一つ、相続税に関する控除で大切なのが「生命保険の死亡保険金や死亡退職金についての非課税枠」です。 まず前提として知っておきたいのは 「相続放棄をしたとしても、死亡保険金等を受領する権利は失われない」ということです。
生命保険金は民法で言うところの「相続財産」には含まれず、遺産分割協議を経ずに受取人が受け取ることはできますが、税法上は「みなし相続財産」として相続税の対象とされているため若干話がややこしくなります。 つまり本来の相続財産とは分けて考えられているため、相続放棄をして債務を免れた一方で死亡保険金は受け取れることになります。
他の相続人にとっては納得がいかない場面もあるでしょうが、これは現在の制度上そうなっているので仕方ないというより他ありません。
非課税枠としては500万円×法定相続人の数とされていますが、これについてはどう扱われるのでしょうか? ポイントとしては 「相続放棄をした相続人についてはその非課税枠を使うことはできない」 「その非課税枠は、他の相続人が保険金の受取額に応じて按分して使うことができる」ということになります。
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債務控除について
被相続人の債務を相続人が負担した場合、その分は相続財産から差し引いて相続税の計算をすることができますが、もし相続放棄した相続人が間違って被相続人の債務を負担してしまった場合、その分の債務控除はできなくなりますので注意しなければなりません。
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障害者控除・未成年者控除について
もし障害者や未成年者が相続放棄をしていたとしても、その放棄がなかったものとして相続税を計算しなければなりません。 このように、相続放棄をした相続人がいる場合はいくつかのポイントに注意して計算します。
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