【事例】亡くなった父から遺言のようなメモ書きが見つかったが、これは有効か?(49歳男性 遺産4,800万円)【行政書士執筆】

「いい相続」や提携する専門家に寄せられた相続相談をもとに、その解決策を専門家が解説するケーススタディ集「相続のプロが解説!みんなの相続事例集」シリーズ。
今回は、亡くなった父の遺言のようなメモ書きについて、49歳男性の方からの相談事例をご紹介します。
解説は、行政書士満村事務所の行政書士、満村 哲司さんです。
目次
この記事を書いた人

〈特定行政書士〉
2010年開業。
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ノートのメモ書きは遺言になりますか?
相談内容
亡くなった父の部屋から「家と土地は長男に」「預金は次男に」とメモ書きされたノートが見つかりました。日付と名前はあるのですが、これが法的に有効な遺言として認められるのでしょうか?メモや手紙でも遺言になる場合があると聞いたのですが本当でしょうか?三男へのコメントがなく、このメモ通りに従うと三男が何も相続できないのはかわいそうです。
- プロフィール:49歳男性
- お住まい:福井県
- 相続人:長男(相談者本人)、二男、三男の3名
- 被相続人:父
財産の内訳 | 内 容 | 評価額 |
---|---|---|
不動産 | 自宅戸建て(土地・家屋) | 2,200万円 |
預貯金 | 2,100万円 | |
生命保険 | 契約者・被保険者:父 受取人:母 |
500万円 |
※プライバシー保護のため、ご住所・年齢・財産状況などは一部架空のものです。
相関図

アドバイス1 メモ書きが遺言書として認められるための条件
メモ書きが遺言書として認められるための条件は、民法第九六八条によれば、
- 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
- 前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。
- 自筆証書(前項の目録を含む。)中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。
となっている。
解説すると、
- 全文、日付、氏名を自書し、押印する
- 財産目録を別紙で添付する場合は毎葉(1枚ごと)に、両面に記載がある場合は両面に、自筆で署名し、押印する
- 文字を変更する場合は、従前の記載に二重線を施し、押印する。加えて、適宜の場所に変更場所の指示、変更した旨、署名が必要
となり、上記の要件を満たしていれば、ノートのメモ書きが法的に遺言として認められる可能性はある。
その他の条件としては
- 日付は令和2年2月2日といった正確な作成日の記載であること(「令和2年2月吉日」では具体的な作成日が特定できないため無効)
- 氏名は住民票や戸籍の記載どおりに記載
- ボールペン等の容易に消えない筆記具を使って作成していること
- 押印は認印でもいいが、スタンプ印は避ける(実印が望ましい)
等が必要になる。
アドバイス2 家庭裁判所での検認について
遺言書の保管者またはこれを発見した相続人は、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。
今回の場合は、検認が必要である。
検認とは、相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして、遺言書の偽造・変造を防止するための手続きである。遺言の有効・無効を判断する手続きではない。
検認が終わり、遺言の執行をするためには、遺言書に検認済み証明書が付いていることが必要である。
アドバイス3 遺産分割協議で相続人全員の合意が得られれば遺言書通りでなくてもよい
基本的に、相続では被相続人の意思が最も尊重される。
ただ、今回のケースでは遺言書に三男へのコメントがなく、メモ通りに従うと三男がかわいそうということであるので、相続人全員、遺言執行者、受益者等の合意があれば、遺産分割協議による相続手続きをすることができる。
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