養子縁組は節税対策になるの?孫を養子にしていいの?
相続税対策に孫や娘の夫を養子にする人がいると聞き、妻と相談しています。孫や娘の夫を養子にすると、相続分はどうなるのでしょうか?また、相続税は本当に節税できるのでしょうか?
【図解】養子縁組の相続順位
では、養子縁組でどのような相続人の人数順位、相続割合の変化があるか、あらためて図と表を使って比較します。
相談者の家族構成
- 相談者と配偶者
- 長女と長女の夫
- 長男と長男の子(孫)
養子縁組前の関係図
<養子縁組前の法定相続人と法定相続分>
法定相続人 | 法定相続分 |
---|---|
妻、長女、長男 | 妻:1/2、長女:1/4、長男:1/4 |
長女の夫と長男の子を養子縁組後の関係図
<養子縁組後の法定相続人と法定相続分>
法定相続人 | 法定相続分 |
---|---|
妻、長女、長男、養子2人(長女の夫と長男の子) | 妻:1/2、長女・長男・養子2人:1/8 |
養子縁組で相続税が節税になる理由
相続税については、養子も法定相続人に含まれるため基礎控除額が増えて、相続税は軽減できる可能性があります。ただし、相続税法上、法定相続人に含めることができる養子の数には制限があり、実子がいる場合は1人、実子がいない場合は2人までです。
前述の例であれば、養子は2名とも法定相続人になりますが、相続税を計算する際の法定相続人に含めることができるのは1名のみとなります(生命保険金や死亡退職金の非課税限度額を計算する際の法定相続人の数も同様です)。
法定相続人の数 | 基礎控除額 (3,000万円+600万円×法定相続人の数) |
|
---|---|---|
養子縁組前 | 3人(妻・長女・長男) | 3,000万円+600万円×3人=4,800万円 |
養子縁組後 | 4人(妻・長女・長男・養子1人) | 3,000万円+600万円×4人=5,400万円 |
実際にかかる相続税がどのくらい減るかは相続財産の額と実子の人数などにもよりますが、養子にした孫の相続税は2割増しになるルールがありますので、注意が必要です。
※ 養子にした長女の夫は、2割加算の対象にはなりません。
▶「いい相続」無料相談の流れはこちら長男が相談者(父)よりも先に亡くなった場合
前述の例で長男の子と養子縁組をした後、長男が父よりも先に亡くなった場合、長男の子は長男の代襲相続人となります。この場合、長男の子は代襲相続人としての相続分と養子としての相続分の両方を持つことになります。
法定相続人 | 法定相続分 |
---|---|
妻、長女、養子(長女の夫)、 長男の子(代襲相続人であり養子) |
妻 :1/2 長女・養子(長女の夫):1/8 長男の子(代襲相続人であり養子):1/4 |
相続税法上の法定相続人の数については、長男の子は実子1人として計算しますので、基礎控除額などを計算する際の法定相続人の数は4人となります。また、長男の子の相続税への2割加算は不要です。
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