兄弟姉妹が亡くなったら遺産を相続できる?相続の順位や割合を図表でわかりやすく解説
いざ相続が始まると、遺産の額にかかわらず揉めてしまうことは珍しくありません。
遺産分割の際にいらぬ争いがおこらないように、相続の順番や相続割合について正しく理解しておくことは大切です。
相続の割合は法律(民法)でルールが決められていますので、本記事では図や表で相続の順番や割合をわかりやすく説明しています。是非参考にしてください。
この記事を書いた人
鎌倉新書にパートタイマーとして入社。2020年チャレンジ制度をクリアし正社員に。
目前に控えたシニアライフを楽しく過ごすため、情報集めに奔走するアラカン終活ライター
資格:日商簿記1級・証券外務員二種・3級FP技能士
兄弟姉妹が亡くなったら遺産をもらえるのか?
兄弟姉妹が亡くなったとき、残された兄弟姉妹は法律上の相続人として遺産を相続できるのでしょうか?
実は、残された兄弟姉妹は法律上の相続人になる場合もあれば、ならない場合もあります。
法律(民法)では相続の順序が決められています。
兄弟姉妹は第3順位なので、相続を開始したときに第1順位と第2順位の人がいなければ兄弟姉妹は法定相続人になります。
つまり、亡くなった人の遺産を相続する順序が3番目の第3順位である兄弟姉妹が法定相続人になるかどうかは、1番目の「第1順位」や2番目の「第2順位」の人の状況によって決まる、ということです。
そのため、兄弟姉妹については法律上の相続人になれる場合もあれば、なれない場合もあるということになるのです。
兄弟姉妹が法定相続人になる場合とは?
兄弟姉妹が法定相続人になるには、具体的には以下の要件を満たす必要があります。
第1順位の被相続人に子がいないか、亡くなっている。
第1順位の亡くなっている子に子(被相続人の孫、ひ孫)がいないか、その子も亡くなっている。
第2順位の被相続人の父母・祖父母・曾祖父母も亡くなっている。
これら3つの要件を満たしているときに第3順位の兄弟姉妹が法定相続人になります。
また、第1順位と第2順位の相続人が全員相続放棄した場合は第1順位と第2順位がいないものとしてと考えるので、第3順位の兄弟姉妹が法定相続人になります。
▼忘れている相続手続きはありませんか?▼兄弟姉妹の相続順位
では、兄弟姉妹の相続順位である第3順位とはどのように数えるのか図で説明します。
上の図のように、相続順位は子と孫(子がいない場合)が第1順位です。
父母、父母がいない場合は祖父母が第2順位、兄弟姉妹が第3順位という順序で数えます。
なお、配偶者はこの順位に入っておらず、かならず相続人となります。
甥・姪の相続
兄弟姉妹に相続が発生したときに、法定相続人である兄弟姉妹がすでに亡くなっていた場合には、兄弟姉妹の子(被相続人の甥・姪)に代襲相続が発生し、法定相続人(代襲相続人)となります。
▼今すぐ診断してみましょう▼相続割合の一覧表
では、兄弟姉妹が法定相続人になるとき、遺産を分ける相続割合は第1順位の子や孫、第2順位の父母や祖父母と全く同じ相続割合になるのでしょうか。
この場合、亡くなった兄弟姉妹(被相続人)に配偶者がいるか、いないかで変わります。
被相続人に配偶者がいた場合の法律上の相続割合は、第1順位の子や孫は1/2、第2順位の父母や祖父母は1/3、第3順位の兄弟姉妹は1/4が相続割合となります。
この相続割合は民法で定められていて、正確には法定相続分といいます。
法定相続分を一覧表にすると以下のようになります。
法定相続人 | 法定相続分 | |
---|---|---|
配偶者+子等(第1順位) | 配偶者:1/2 | 子:1/2 |
配偶者+親等(第2順位) | 配偶者:2/3 | 親:1/3 |
配偶者+兄弟姉妹等(第3順位) | 配偶者:3/4 | 兄弟姉妹:1/4 |
配偶者のみ | 配偶者:全部 | |
子等(第1順位)のみ | 子:全部 | |
親等(第2順位)のみ | 親:全部 | |
兄弟姉妹等(第3順位)のみ | 兄弟姉妹:全部 |
同じ順位に複数名の法定相続人がいるときは、法定相続分を人数で均等に分けることになります。
なお、被相続人に配偶者がいない場合は、どの順位でも遺産の全部を相続するため、相続順位による相続割合の違いはありません。
▼依頼するか迷っているなら、まずはどんな手続きが必要か診断してみましょう▼兄弟姉妹には遺留分がない!
相続割合は法律で決まっていますが、遺言書はその割合を変えたり、遺産をあげる人を指定することができます。
そのため、遺言書によって本来もらえるはずの遺産がもらえなかった場合には、法定相続人は「遺留分」を主張することができます。
遺留分とは、法定相続人が最低限受け取るべき相続財産の割合を法律(民法)が保障するものです。
しかし、兄弟姉妹には遺留分はありません。
遺留分の考え方
たとえば、独身だった兄が亡くなり、残された弟と妹が法定相続人という状況で、亡くなった兄が遺言書を残していたとします。
その遺言書には「自分の財産の9/10は妹に相続する、1/10を弟に相続させる」と書かれていて、弟は法定相続分であれば半分の遺産を受け取れるところを遺言書により1/10になってしまった場合について考えてみます。
「いや、相続割合は法律で決められているのだからそれを無視した遺言書は無効でしょう?」と思うかもしれません。
しかし、遺言書が法律(民法)で定められた方式に則って作られたものであればその遺言書は効力を持ち、遺産の分け方が法定相続分で決められた相続割合で書かれていなかったとしても有効なのです。
このような場合、弟が亡くなった兄に指定された1/10ではない相続分にするために考えられる方法は以下のようになります。
- 相続人同士で遺産分割協議をして合意した割合で遺産を分ける。
つまり、先例の弟と妹が話し合いをしてお互いの相続分を決めるという方法が遺産分割協議です。
ここで遺産分割協議を承知してもらえなかったときには、残念ながら兄弟姉妹には遺留分がないためこの方法は取れません。
ただ、弟が亡くなった兄と同居していて介護をしていたり、故人の仕事や生活へ無償で貢献をしてきたのであれば、寄与分を請求できる可能性はあります。
遺留分の割合の一覧表
以下に遺留分を一覧表にしたものをご紹介します。
相続人の組み合わせ | 遺留分 | 遺留分の割合 |
---|---|---|
配偶者と子等(第1順位) | 1/2 | 配偶者:1/4、子:1/4 |
配偶者と親等(第2順位) | 1/2 | 配偶者:2/6、親:1/6 |
配偶者と兄弟姉妹等(第3順位) | 1/2 | 配偶者:1/2、兄弟姉妹:なし |
配偶者のみ | 1/2 | 配偶者:1/2 |
子等のみ(第1順位) | 1/2 | 子:1/2 |
親等のみ(第2順位) | 1/3 | 直系尊属:1/3 |
兄弟姉妹等のみ(第3順位) | なし | なし |
まとめ
兄弟姉妹の相続では、第1順位、第2順位の先順位の相続人がすべていない状況にあれば、第3順位の兄弟姉妹が相続人になることが予想できます。
しかし、先順位の人が相続放棄をしたことで、思いがけず第3順位である兄弟姉妹に相続の順番がめぐってくる場合もあるかもしれません。
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▼実際に「いい相続」を利用して、行政書士に相続手続きを依頼した方のインタビューはこちら
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