主な相続財産が被相続人が住んでいた土地建物くらいなのですが、相続税は売却代金から計算するのでしょうか?
質問者:J.W
相続における不動産の価格は、何を目的とするかで計算方法が異なりますが、相続税の計算に使われるのは「路線価」と「固定資産税評価額」になります。 いわゆる市場価格(売却した際の代金)が使われるわけではありません。
土地の相続税を計算するための基準
土地の相続税を計算する際は、その土地がどのような地域にあるのかによって価格を算出する方法が違ってきます。 まず、市街地にある宅地の評価方法が「路線価」です。
路線価というのは、その宅地が面している道路に付けられた価格(路線価)を基準にして、そこにさまざまな条件での補正を加えることによって算出される価格です。 路線価を調べるには「路線価図」を参照しますが、これは国税庁ウェブサイトから見ることができる他、税務署で閲覧することもできます。
また、路線価が定められていない土地については「倍率方式」といって、その宅地の固定資産税評価額に一定の倍率をかけて評価額を算出します。 この倍率は毎年国税庁が「倍率表」という一覧を出しており、こちらも国税庁ウェブサイトと税務署で見ることができます。
▶不動産相続|相続税評価額の計算や手続き・不動産の相続税対策
建物の相続税を計算するための基準
屋の価格は「固定資産税評価額」に一定の倍率をかけて求めます。現在はその倍率が全国で1.0倍とされているため、固定資産税評価額をそのまま用いることになります。
固定資産税の通知書を参照するとこの評価額を確認することができますが、「課税標準額」ではなく「評価額」の欄を参照するという点に気をつけなくてはなりません。
遺産分割協議の資料としては市場価格を使うことも
このように、相続税の計算においては国民全体における「課税の公平性」をはからなくてはなりませんので、使用する不動産価格の基準は明確に定められています。 それに対して、比較的柔軟に価格を設定してよいのが「遺産分割協議」における価格の算出です。遺産分割協議は結局のところ、法定相続人(民法で定められた範囲の相続人)全員が合意さえすれば分け方を自由に決めてよいわけです。 つまり、分割の基礎となる不動産価格も当事者同士が合意できれば問題ないため、「市場価格」「路線価」「固定資産税評価額」など、どれを利用しても構いません。
ただ、どれを使うかを巡って争いになってしまった場合などは家庭裁判所の調停等を利用して「不動産価格」を決定するところから行わなくてはならなくなるため、それなりに時間も手間もかかることになります。
▶遺産分割について|遺産分割のための手続きと注意点。トラブルを防ぐためのポイント
ご希望の地域の専門家を探す
ご相談される方のお住いの地域、遠く離れたご実家の近くなど、ご希望に応じてお選びください。