相続経験者に聞いた【山林・農地】の相続とは│実際に行った手続きや情報収集方法を大公開!

山林・農地を相続した人の傾向
- 山林・農地を相続した人の財産総額は「1,000万円~2,000万円」が最多で、中規模~高額帯が中心
- 相続手続きで「必要書類の多さ」や「複数の窓口対応」に負担を感じた人が多い
- 相続を体験したことで、自身の対策として生前に「不動産の整理や活用」を検討する人が多い
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本アンケートでは、相続手続きを経験した方を対象に、実際に行った手続きや感じた負担、専門家への依頼状況などを調査しました。「どんな手続きが必要だったのか」「財産の内訳や割合」「専門家にかかる費用」など、相続の実情を具体的な数値で知ることができます。
この記事では、なかでも山林・農地など金融商品を相続した人の傾向に注目し、その特徴を詳しく紹介しています。
相続の準備や、家族での話し合いを始めるきっかけとして役立つ内容です。ぜひご活用ください。
目次
相続財産の種類と割合
今回のアンケート中、どのような財産を相続したのか伺ったところ、以下の結果となりました。

相続された財産でもっとも多いのは「現金・預貯金」(60.33%)でした。「土地・建物」(57.30%)も同程度に多く見られます。次いで「生命保険」(21.65%)、「有価証券・投資信託などの金融商品」(14.59%)が続きました。「山林・農地」(11.47%)や「自動車」(7.45%)も相続対象として一定数あり、管理や名義変更の手続きが必要になる点に注意が必要です。また、「電子マネー」(1.33%)や「仮想通貨」(0.51%)といったデジタル資産も登場し、財産の多様化もみられます。※この設問は複数選択形式のため、各回答の割合を合計すると100%を超えることがあります。
相続財産はどういうものをいうのだろう?気になる方は「相続財産になるもの・ならないものを一覧でわかりやすく解説」へ
ここからは、山林・農地を相続した方について詳しくみていきます。
山林・農地を相続した人の相続財産総額

山林や農地を相続した人の中で、最も割合が高かったのは「1,000万円~2,000万円」(34.5%)で、3人に1人以上がこの金額帯に該当しています。これに続いて、「5,000万円~8,000万円」(12.0%)、「2,000万円~3,000万円」(11.6%)、「3,000万円~4,000万円」(10.5%)が並び、1,000万円~4,000万円の層だけで全体の約56.6%を占めています。「1,000万円未満」と回答した人は7.5%でした。
また、「1億円~2億円」(10.9%)や「2億円以上」(1.9%)などの高額相続に該当する人も一定数おり、相続財産としての山林・農地が必ずしも低評価にとどまらないケースも見受けられます。
山林・農地を相続した人の相続人の数

山林や農地を相続したケースでは、相続人が3人(43.45%)というケースが最も多く、次いで2人(28.84%)が続いています。この2つの層を合わせると全体の7割を超えており(約72.3%)、複数人での相続が一般的であることがわかります。1人だけで相続したケースは8.24%と少数ながら一定数見られました。
一方で、相続人が4人(14.23%)や5人以上(5.24%)といった相続人の数が多いケースは全体の2割未満にとどまり、人数が増えるにつれて割合が減少する傾向があります。
本調査では、山林・農地の相続では2〜3人の相続人で財産を分け合う形が主流であることがわかりました。
相続財産の分割方法

山林や農地を相続した人の中で、最も多かった分割方法は「遺産分割協議で分けた」(53.2%)でした。次に多かったのは「法定相続分で分けた」(32.6%)で、この2つの方法だけで全体の85%以上を占めていました。一方で、「遺言書通りに分けた」という人は6.7%にとどまりました。
また、「揉めていて進んでいない」(2.6%)や「裁判に至った」(1.1%)といった争いに発展したケースも一定数あり、全体の約3.7%で相続トラブルが発生したことがわかりました。
遺産分割には法律上のルールがある!「遺産分割とは?遺産分割協議の準備からやり方、トラブルを防ぐためのポイント」
山林・農地を相続した人の利用した・役に立った情報源

山林・農地を相続した人が相続に関する情報を得る際に最も多く利用していたのは「インターネット検索」(34.8%)でした。
次いで多かったのは、「司法書士事務所」(32.2%)と「市区町村の窓口」(23.6%)、「法務局」(24.0%)で、登記や名義変更など、山林や農地に関連する実務的な相談をしたことがわかります。
また、「税理士事務所」(17.2%)や「行政書士事務所」(14.6%)、「弁護士事務所」(9.0%)など、専門家のサポートを受けている人も一定数おり、財産評価や手続きの複雑さに応じて専門家に頼る傾向が見られます。
さらに、「家族・親戚」(17.2%)や「友人・知人」(7.1%)といった、身近な人からの助言や経験談も参考にされていることがわかりました。
一方で、「テレビ」(3.4%)や「YouTubeなどの配信動画」(3.0%)、「雑誌・本」(8.2%)など、一般メディアの活用率は低めであり、相続のような専門性の高い分野では、実務に即した情報源が重視される傾向があることがうかがえます。※この調査は複数選択形式のため、合計は100%を超えています。
山林・農地を相続した人の手続き

山林・農地を相続した際に最も多く行われていた手続きは、「不動産の名義変更(相続登記)」(62.9%)でした。次いで多かったのは「銀行解約・名義変更」(59.9%)や「遺産分割協議」(54.7%)、「戸籍収集」(53.9%)と続き、相続人の確認や財産の分割に向けた準備も多くの人が行っていることがうかがえます。
また、「遺産分割協議書の作成」(46.1%)や「相続関係説明図の作成」(36.3%)、「相続財産の調査」(37.5%)、「相続財産目録の作成」(30.3%)など、各種書類の作成に取り組んだ人も相当数にのぼっています。
一方で、「証券会社解約・名義変更」(21.3%)や「相続人調査」(13.9%)といった手続きはやや割合が低く、金融資産の比重が少ないケースが多かったことが考えられます。さらに、「相続税の申告」(29.2%)を行った人も3割弱にとどまりました。
「遺言書の検認」(9.4%)や「家族信託手続き」(4.5%)はごく少数でした。※この設問は複数回答形式のため、合計は100%を超えています。
手続きにかかった期間

山林・農地の相続手続きにかかった期間で最も多かったのは「3か月~6か月未満」(33.08%)で、次いで「3か月未満」(28.57%)が続いています。この2つを合わせると全体の約6割(61.65%)が半年以内に相続手続きを終えており、比較的短期間で完了しているケースが多いことがうかがえます。
「6か月~9か月未満」(13.16%)や「9か月~1年未満」(10.53%)など、半年以上かかった人も約23.7%存在しています。
さらに、「1年以上」かかったケースも全体の約15%を占めており、「1年~1年半未満」(1.88%)、「1年半~2年未満」(2.26%)、「2年以上~3年未満」(3.01%)、「3年以上~5年未満」(2.63%)と続きます。中には「5年以上~10年未満」(1.50%)や「10年以上」(3.38%)という非常に長期にわたるケースも見受けられました。
このような結果から、山林や農地の相続では早期に終える人が多い一方で、手続きの内容や状況によっては数年単位で時間を要した人がいることがわかりました。
知らなかったでは許されない相続手続きの期限!「遺産相続手続きの期限を一覧表でわかりやすく解説、しなかった場合のデメリットも」
山林・農地を相続した人の専門家の利用状況

山林・農地の相続において、専門家に依頼せずに自分たちで手続きを進めた人は全体の35.2%を占めており、相続内容が比較的シンプルだったり、コストを抑えたいと考える人が一定数いることがうかがえます。
一方で、何らかの専門家に依頼した人も過半数を占めており、最も利用が多かったのは「司法書士」(33.3%)でした。これは、相続対象に山林や農地といった不動産が含まれるため、登記変更などの手続きに専門性が必要とされるケースが多かったと考えられます。
次いで多かったのは「税理士」(21.7%)で、相続税の申告や土地の評価など、税務面でのサポートを必要とする人も少なくないことがわかります。
また、「行政書士」(17.6%)の利用も比較的高く、各種書類の作成や官公庁への届出といった実務を代行してもらったケースが多いと推察されます。
さらに、「弁護士」(6.0%)を利用した人もおり、相続人間での意見の対立や権利関係の複雑さなど何等かのトラブルにより、法的なアドバイスが必要だった事例も存在しているようです。※この設問は複数選択形式のため、各項目の合計は100%を超えています。
専門家にかかった費用

専門家への支払いで最も多かった価格帯は「10万円~20万円」(14.23%)でした。これに「~10万円未満」(10.49%)や「20万円~30万円」(9.36%)を加えると、30万円未満で手続きを済ませた人が全体の約34%に達し、比較的費用を抑えた依頼が中心となっている様子がうかがえます。
一方で、「100万円以上」と回答した人も8.61%おり、手続きが複雑だったり、専門家の対応が多岐にわたった可能性のあるケースでは、高額な費用が発生していることも読み取れます。
また、「30万円~40万円」(7.87%)、「40万円~50万円」(4.87%)、「50万円~60万円」(2.62%)といった中間的な費用帯も一定数存在しており、依頼内容の範囲や相続財産の状況によって費用にばらつきが出ていると考えられます。
そのほか、「70万円以上~100万円未満」の層(合計約5%)もあり、特に土地関連の専門的サポートを必要とした場合は、コストがかさむ傾向があることも見てとれます。
山林・農地を相続した人が感じた相続の大変さ

山林や農地の相続において、手続きで最も多くの人が困難を感じたのは「必要な書類が多かったこと」(49.1%)でした。相続に関する手続きには、戸籍関係書類や本人確認書類、不動産に関する証明書類など多岐にわたる書類が必要となるため、その準備が大きな負担となっていたことがわかります。
次いで多かったのは、「手続き先が複数あること」(39.0%)や「手続きのために時間が取られたこと」(36.3%)で、市区町村役場、法務局、金融機関など、複数の窓口に足を運ぶ必要があり、その煩雑さや手間に悩まされた人が多かったことがうかがえます。
また、「何をどう進めるべきかを理解するための情報収集」(33.7%)も多く挙げられており、手続きの流れや必要な対応が把握しにくいという声も多く見られました。
そのほか、「相続人同士の連絡・同意を得ること」(24.3%)や「遺産の中身や金額をはっきりさせること」(23.2%)といった人間関係や情報整理の難しさも、相続における悩みの一因となっているようです。
さらに、「金銭的な負担が発生したこと」(19.1%)や「書類の書き方が難しかったこと」(17.6%)など、費用や実務面でも負担を感じた人が少なくないことがわかります。※この設問は複数回答形式のため、合計は100%を超えています。
山林・農地の相続を経験した人の相続対策

最も多く検討された対策は「不動産の整理や活用」(35.58%)でした。これは、山林や農地の相続を通じて、将来的な活用や処分について考える人が多かったと考えられます。
次いで多かったのは「特に考えていない」(31.84%)という回答であり、実際に相続を経験しても、生前対策や次世代への備えにまで至っていない人も一定数いることがうかがえます。
また、「生前贈与の検討」(28.46%)や「遺言書作成を検討」(26.59%)といった、次の相続に向けた意思表示や財産の分配方法に関する準備を進めようとする動きも多く見られました。
さらに、「生命保険を活用した相続対策」(23.22%)を挙げた人もおり、納税資金の確保や受取手続きの簡素化といった観点から保険を相続の手段として活用したいと考える人も少なくないようです。
一方で、「家族信託を検討」(5.99%)や「成年後見を検討」(6.37%)といった、判断力の低下や財産管理の支援を前提とした制度への関心はやや低めでしたが、一定のニーズがあることも読み取れます。※この設問は複数選択形式のため、合計は100%を超えています。
まとめ
相続は、相続財産の種類や、相続手続きの進め方やかかる時間、費用も人それぞれです。もちろん、相続に対する考え方も違います。また、専門家への依頼も相続財産の内容や手続きによって大きく異なりました。
相続手続きをスムーズに進めるためには、その人その人の状況に応じた対策が必要となります。
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| 40代 | 13.4% |
| 50代 | 24.4% |
| 60代 | 38.1% |
| 70代 | 22.4% |
| 80代 | 1.7% |
| 北海道・東北 | 15.1% |
| 関東 | 22.0% |
| 中部 | 20.8% |
| 関西 | 15.7% |
| 中国・四国 | 13.4% |
| 九州・沖縄 | 13.0% |
| 会社員 | 19.9% |
| 経営者・役員 | 4.0% |
| 公務員 | 4.3% |
| 派遣・契約社員 | 6.1% |
| 自営業・自由業 | 10.0% |
| 専業主婦/主夫 | 16.2% |
| パート・アルバイト | 11.9% |
| 無職 | 26.6% |
| その他 | 0.9% |
| 配偶者 | 6.9% |
| 父・母 | 82.4% |
| 祖父・祖母 | 2.7% |
| 兄弟・姉妹 | 3.7% |
| 叔父・叔母 | 3.1% |
| 子 | 0.5% |
| 甥・姪 | 0.1% |
| いとこ | 0.1% |
| その他 | 0.6% |
| 1人 | 11.4% |
| 2人 | 34.8% |
| 3人 | 36.4% |
| 4人 | 11.9% |
| 5人以上 | 5.5% |
| 1,000万円未満 | 13.2% |
| 1,000万円以上~2,000万円未満 | 33.6% |
| 2,000万円以上~3,000万円未満 | 13.0% |
| 3,000万円以上~4,000万円未満 | 10.6% |
| 4,000万円以上~5,000万円未満 | 5.4% |
| 5,000万円以上~8,000万円未満 | 9.2% |
| 8,000万円以上~1億円未満 | 2.4% |
| 1億円以上2億円未満 | 8.1% |
| 2億円以上 | 0.9% |
| 無回答 | 3.7% |
| 調査期間 | 2024/12/16~2024/12/26 |
| 調査対象者 | 過去4年以内に手続きを経験された方(現在手続き中の方も含む) |
| 調査方法 | インターネット調査 |
| 有効回答数 | 1,851名 |
| 調査主体 | いい相続(株式会社鎌倉新書) |
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