相続経験者が【金銭的な負担が大変】と答えたケースの相続とは│実際に行った手続きや専門家への費用を大公開!

相続手続きで大変だったのは「金銭的な負担が発生したこと」と答えたケースの相続の特徴
- 相続手続きを主導したのは60代・50代が中心で、相続経験が「初めて」の人が約7割。
- 相続財産の額にかかわらず金銭的な負担を感じた人が幅広く存在。
- 相続財産の分け方では「遺産分割協議」が最多(46.0%)、トラブルや裁判に発展するケースも一定数あり。
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相続手続きで大変だったのは「金銭的な負担が発生したこと」と答えた方の相続手続きでは、どのような課題があったのでしょうか。
本記事では相続人の構成、相続財産の種類、必要な手続き、専門家にかかった費用など、相続経験者へのアンケート結果から実態を解説します。
相続人同士の連絡・同意を得ることが大変だった方の「年代などの属性」「相続財産の種類と割合」「専門家の依頼費用の相場」などが具体的にわかります。
これから相続手続きを進める方や準備を考えている方は是非参考にしてください。
目次
相続手続きで最も大変だったことランキング
今回のアンケート中、相続を経験して大変だったことは何だったか?との問いに対しての回答は、以下のランキングとなりました。
-
- 必要な書類が多かったこと・・・48.10%
- 手続きのために時間が取られたこと・・・35.43%
- 手続き先が複数あること・・・30.43%
- 何をどう進めるべきかを理解するための情報収集・・・30.38%
- 遺産の中身や金額をはっきりさせること・・・19.40%
- 相続人同士の連絡・同意を得ること・・・18.97%
- 書類の書き方が難しかったこと・・・16.68%
- 金銭的な負担が発生したこと・・・16.30%
- その他・・・6.68%
※この設問は複数選択が可能なため、各回答の割合を合計すると100%を超えることがあります。ご了承ください。
相続手続きで多くの人が苦労したのは「必要な書類が多かったこと」(48.10%)でした。戸籍謄本や遺産分割協議書など、必要書類が多岐にわたり、取得にも時間がかかることが負担となっています。次いで「手続きに時間が取られたこと」(35.43%)、「手続き先が複数あること」(30.43%)と続き、金融機関や役所などへの対応の煩雑さが浮き彫りになりました。
ここからは、8番目に多かった「金銭的な負担が発生したこと」(16.30%)が大変だったと回答した方について詳しくみていきます。
金銭的な負担が大変だったと回答した人の属性
年代別の傾向

年代別に見ると、60代(39.67%)が最多で、次に50代(27.67%)、70代(16.33%)、40代(15.00%)、80代(1.33%)という順番でした。近年では親が80代〜90代で亡くなるケースが多く、実際の相続手続きをするのが50代〜60代になることが一般的な世代であり、このゾーンにボリュームが集まったものと考えられます。
誰の相続だったか

被相続人(亡くなった人)は、父・母(77.00%)が大部分を占めました。このことから、子どもが相続人となり、相続のための手続きをおこなった結果、遺産の調査が大変だったという回答が多いことが考えられます。
相続の回数

相続の経験については、「初めて」(67.67%)との回答が最多でした。初めての相続は、何をすればよいのか、どこに相談すればよいのか分からず苦労する人が多いと考えられます。2回目(28.67%)の相続でも一定数いることから、1回目の経験があっても、以前の相続から時間が経っていたり、相続する財産の種類や相続人の関係性が異なるため、難易度が変わり、同じ手続きがスムーズに進まない可能性があることが推測されます。
法定相続人は誰?法定相続分はどういう配分?気になる方は「法定相続分と法定相続人|法定相続人の相続順位や法定相続分の計算方法」へ!
相続財産の額

金銭的な負担が後から発生して大変だったと回答した人の相続財産の総額を見ると、もっとも多かったのは「1,000万円~2,000万円」(33.0%)でした。次いで「5,000万円~8,000万円」(14.0%)と「1億円~2億円」(14.0%)が並び、「1,000万円未満」(9.0%)、「2,000万円~3,000万円」(9.0%)、「3,000万円~4,000万円」(8.3%)と続いています。
比較的少額である「1,000万円未満」でも9.0%の人が金銭的な負担を感じており、「金銭的な負担が発生して大変だった」と感じた人は、相続財産の金額にかかわらず広く存在していることがわかります。相続によって「お金が入る」だけでなく、「予期せぬ支出が発生することがある」という事実がわかります。
相続財産の種類

最も多かった相続財産の種類は「土地・建物」(81.0%)と「現金・預貯金」(72.3%)で、圧倒的多数を占めました。
そのほか、「生命保険」(31.7%)や「株・投資信託など」(22.0%)、「山林・農地」(17.0%)といった資産も一定割合を占めました。「電子マネー」(2.3%)や「仮想通貨」(1.3%)といったデジタル資産はまだ少数でした。※この設問は複数選択形式のため、各回答の合計は100%を超えます。
法定相続人は誰?法定相続分はどういう配分?気になる方は「法定相続分と法定相続人|法定相続人の相続順位や法定相続分の計算方法」へ!
遺産分割の方法

金銭的な負担が発生して大変だったと回答した人の遺産分割の方法として最も多かったのは、「遺産分割協議で分けた」(46.0%)でした。これは、相続人全員で話し合って遺産の分け方を決める方法で、調整がうまくいかないと精神的・時間的な負担に加えて、弁護士に依頼するなどで金銭的な負担が発生することもあります。
次いで多かったのは、「法定相続分で分けた」(35.3%)という回答で、これは民法で定められた割合に従って分割する方法です。一方、「遺言書通りに分けた」というケースは5.7%と少数でした。さらに、「揉めていて進んでいない」(3.7%)や「裁判になった」(1.7%)というケースも見受けられ、相続トラブルに発展したことで時間と費用の両面で負担を感じている人が存在することがわかりました。
遺産分割には法律上のルールがある!「遺産分割とは?遺産分割協議の準備からやり方、トラブルを防ぐためのポイント」
金銭的な負担が大変だったと回答した人が実際におこなった手続き
金銭的な負担が発生したことが大変だったと回答した人はどんな方法で情報を取得し、手続きをおこなったのか詳しくみていきたいと思います。
利用した・役に立った情報源

金銭的な負担が発生して大変だったと回答した人の利用した情報源を見ると、最も多かったのは「司法書士事務所」(37.3%)でした。司法書士は相続登記などの実務を担う専門家であり、登記には登録免許税などの費用のかかることから「負担を感じた」層の中でも多く選ばれていると考えられます。
次いで多かったのは「インターネット検索」(29.7%)です。まずは自力で情報収集しようとする人が多く、必要に応じて専門家に相談するというステップを踏むケースが多いと推察されます。
「税理士事務所」(25.0%)や「行政書士事務所」(19.0%)、「弁護士事務所」(10.0%)といった他の専門家への相談も一定数あり、相続税申告や遺産分割などに関して、専門的なサポートを受けている実態がうかがえます。
「市区町村の窓口」(20.3%)、「法務局」(18.0%)、「金融機関(銀行・証券会社など)」(23.0%)などの公的・民間機関も多く利用されていました。
「家族・親戚」(17.0%)や「友人・知人」(9.3%)といった身近な人々の助言も重要な情報源となっていますが、全体としては専門家への相談割合が高い傾向にありました。
なお、「SNS」(2.3%)や「YouTubeなどの配信動画」(4.3%)といったオンラインメディアの利用は少なく、40代〜60代を中心とした相続世代においては、情報の信頼性や正確性が重視されている傾向が見て取れます。※この設問は複数選択形式のため、各回答の割合を合計すると100%を超えることがあります。
実際の手続き

金銭的な負担が発生して大変だったと回答した人が実際に行った相続手続きとして、最も多かったのは「銀行解約・名義変更」(64.7%)でした。
次いで多かったのが「戸籍収集」(64.3%)、「不動産の名義変更(相続登記)」(60.3%)であり、銀行口座の解約や相続登記では相続人の戸籍を必要書類として求められ、それらを集める費用や、登記でかかる登録免許税などのコストが負担に感じたと考えられます。
さらに、「遺産分割協議」(48.0%)や「遺産分割協議書の作成」(42.0%)も高い割合を示しており、協議書を正確にまとめる工程で専門家に依頼することで費用が発生していることが推察されます。
また、「相続財産の調査」(34.7%)や「相続関係説明図の作成」(35.7%)、「相続財産目録の作成」(27.0%)といった手続きも一定数ありました。
一方、「遺言書の検認」(9.3%)や「家族信託手続き」(3.0%)の手続きをおこなった人は比較的少数である結果となりました。※この設問は複数選択形式のため、各回答の割合を合計すると100%を超えることがあります。
金銭的な負担が大変だったと回答した人が実際に依頼した専門家と費用
金銭的な負担が発生して大変だったと回答した人はどんな専門家に手続き依頼し、またどのくらいの費用がかかったのかを詳しく見ていきます。
依頼した専門家

金銭的な負担が発生して大変だったと回答した人のうち、最も多く依頼されていたのは「司法書士」(34.7%)でした。相続登記などの手続きをスムーズに進めるために司法書士を頼るケースが多いと考えられます。
次いで「税理士」(22.5%)、「行政書士」(19.0%)、「弁護士」(7.3%)と続いており、状況に応じて必要な専門家に依頼している傾向が見られます。相続税申告、書類作成や収集、相続トラブル対応など、相続に関わる分野は広いため、それぞれの専門性に応じて相談先が分かれることがうかがえます。
一方、「依頼していない」と回答した人も15.2%おり、すべての人が専門家を利用しているわけではないこともわかります。それでも、およそ8割の人が何らかの専門家に依頼していました。
遺産分割には法律上のルールがある!「遺産分割とは?遺産分割協議の準備からやり方、トラブルを防ぐためのポイント」
専門家に依頼した内容

金銭的な負担が発生して大変だったと回答した人が専門家に依頼した手続きで最も多かったのは、「不動産の名義変更(相続登記)」(60.4%)でした。相続登記は法的な知識と正確な書類作成が求められるため、専門家の力を借りる人が多く、それに伴う報酬などが金銭的負担につながっていることがうかがえます。
次いで多かったのは「遺産分割協議書の作成」(43.3%)で、相続人同士の協議結果を正確に文書化するために司法書士や行政書士などに依頼するケースが多いと考えられます。
また、「相続税の申告」(35.4%)、「相続財産目録の作成」(32.9%)、「相続財産の調査」(28.3%)など、財産の把握や評価、申告といった専門性の高い分野でも多く依頼がされています。
「戸籍収集」(35.4%)や「相続関係説明図の作成」(29.2%)も比較的依頼件数が多い傾向が見られました。
一方で、「銀行解約・名義変更」(22.1%)や「相続人調査」(20.8%)は比較的自身でも手続き可能な範囲であるため、依頼割合はやや低めとなっています。また、「証券会社の解約・名義変更」(12.5%)や「遺言書の検認」(7.1%)、「家族信託手続き」(5.8%)は、該当者が限定的であることから依頼件数も少ない傾向にあると考えられます。
このように、専門家への依頼が集中しているのは、法的知識が求められる手続きや、正確性が重要な業務であることがわかります。※この設問は複数選択形式のため、各回答の合計は100%を超えます。
専門家に支払った金額

金銭的な負担が発生して大変だったと感じた人のうち、実際に支払った相続関連の費用で最も多かったのは「10万円~20万円」(19.33%)でした。次いで「20万円~30万円」(10.67%)、「10万円未満」(10.00%)と続いており、比較的低額で対応できた人も一定数存在していることがわかります。
一方、「50万円以上」の費用を支払った人の合計は約27.99%にのぼり、その中でも「100万円以上」と回答した人は11.33%と、高額な出費のあったケースも一定の割合で発生しています。相続にかかる費用の分布には非常に幅があり、内容や状況によって金額が大きく異なることがうかがえます。
「10万円未満」の範囲で収まった人も一定数おり、財産が少額だったり、事前に対策していたケースでは、費用も最小限に抑えられる傾向が見られます。
金銭的な負担が大変だったと回答した人の自分の相続対策

金銭的な負担が後から発生して大変だったと回答した人の自分の相続対策への意向について、とても考えるようになった(45.33%)、少し考えるようになった(38.33%)と、合わせて約83%の人が相続対策を考えるようになったことがわかりました。
相続手続きを経験したことで、自分の相続の際には家族が困らないように、事前に整理・対策をしておこうと考えるようになった人が多いと考えられます。

金銭的な負担が発生して大変だったと感じた人に対し、今後どのような相続対策を検討したいかを尋ねたところ、最も多かったのは「不動産の整理や活用」(31.67%)でした。不動産は相続財産の中でも特に扱いが難しく、登記・分割・売却などの対応に手間や費用がかかるため、事前に整理しておきたいと考えられます。
「遺言書の作成を検討」(27.67%)も多く挙がっており、やはり相続人同士のトラブルや手続きの煩雑さを経験したことで、「自分のときは準備しておきたい」という意識につながっていると推察されます。次いで多かったのは「生命保険を活用した相続対策」(26.33%)と「生前贈与の検討」(25.33%)でした。
一方、「家族信託の検討」(8.33%)や「成年後見の検討」(7.67%)といった財産管理に関する制度は、まだ一部の人にとどまっています。これらは認知症などによる判断能力の低下に備える手段として有効ですが、制度の認知度が比較的低く、ハードルが高いと感じている人も多いと考えられます。※この設問は複数選択形式のため、各回答の合計は100%を超えます。
まとめ
相続は、相続財産の種類や、相続手続きの進め方やかかる時間、費用も人それぞれです。もちろん、相続に対する考え方も違います。
本調査では、相続人との連絡調整が大変だったという回答以外にも、相続手続きの流れや必要な手続きを把握するのが難しく苦労し、時間がとられたとの回答が多くありました。専門家への依頼も手続き内容によって大きく異なりました。
相続手続きをスムーズに進めるためには、その人その人の状況に応じた対策が必要となります。
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| 40代 | 13.4% |
| 50代 | 24.4% |
| 60代 | 38.1% |
| 70代 | 22.4% |
| 80代 | 1.7% |
| 北海道・東北 | 15.1% |
| 関東 | 22.0% |
| 中部 | 20.8% |
| 関西 | 15.7% |
| 中国・四国 | 13.4% |
| 九州・沖縄 | 13.0% |
| 会社員 | 19.9% |
| 経営者・役員 | 4.0% |
| 公務員 | 4.3% |
| 派遣・契約社員 | 6.1% |
| 自営業・自由業 | 10.0% |
| 専業主婦/主夫 | 16.2% |
| パート・アルバイト | 11.9% |
| 無職 | 26.6% |
| その他 | 0.9% |
| 配偶者 | 6.9% |
| 父・母 | 82.4% |
| 祖父・祖母 | 2.7% |
| 兄弟・姉妹 | 3.7% |
| 叔父・叔母 | 3.1% |
| 子 | 0.5% |
| 甥・姪 | 0.1% |
| いとこ | 0.1% |
| その他 | 0.6% |
| 1人 | 11.4% |
| 2人 | 34.8% |
| 3人 | 36.4% |
| 4人 | 11.9% |
| 5人以上 | 5.5% |
| 1,000万円未満 | 13.2% |
| 1,000万円以上~2,000万円未満 | 33.6% |
| 2,000万円以上~3,000万円未満 | 13.0% |
| 3,000万円以上~4,000万円未満 | 10.6% |
| 4,000万円以上~5,000万円未満 | 5.4% |
| 5,000万円以上~8,000万円未満 | 9.2% |
| 8,000万円以上~1億円未満 | 2.4% |
| 1億円以上2億円未満 | 8.1% |
| 2億円以上 | 0.9% |
| 無回答 | 3.7% |
| 調査期間 | 2024/12/16~2024/12/26 |
| 調査対象者 | 過去4年以内に手続きを経験された方(現在手続き中の方も含む) |
| 調査方法 | インターネット調査 |
| 有効回答数 | 1,851名 |
| 調査主体 | いい相続(株式会社鎌倉新書) |
▼実際に「いい相続」を利用して、行政書士に相続手続きを依頼した方のインタビューはこちら
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