司法書士から弁護士へ転身。「依頼者と同じ立場に立って問題を解決していく」と幅広い相談に対応
司法書士の資格をもち「自分ができることをさらに増やしたい」と弁護士資格を取得した大橋 正崇先生。より幅広い相談を受けつつも「依頼者と同じ意識を持って解決をしていく」というスタンスは変わらないと言います。
今回は、相続の解決事例や司法試験を受けようと思ったきっかけなどを伺いました。
モットーは「お客様と同じ立場に立って、親身にご相談をさせていただき、お客様と同じ意識を持って解決をしていくこと」。司法書士として約10年実績を積んだ後、弁護士資格を取得。より広いフィールドでの問題解決に取り組む。
弁護士法人AO
目次
「依頼者の困りごとをもっと幅広く解決したい」と弁護士資格を取得
―先生は司法書士の資格を持っていると伺いました。どうして弁護士資格を取ろうと思ったんですか?
司法書士は10年くらいやっていたんです。事務所を開業して軌道に乗ってきて、共同経営者の2人と仕事をしていました。でも、司法書士だと受けられない案件があるんです。法律相談や交渉ごとは弁護士にしかできません。借金の案件についても、元本が140万円を超える案件は司法書士の権限外なんですよ。司法書士は不動産登記など登記を主とした資格ですから。
なので、扱えない案件は知り合いの弁護士を紹介するんですが「せっかく来てくれたのに依頼を受けられないのは申し訳ない。弁護士の資格もあったほうが、相談者さんの困りごとをもっと解決できる」と思うようになって。こちらできることは、どうしても限られていましたから。
他の共同経営者と話をして、私は司法試験を受けるためロースクールに入りました。結構融通してもらったので仕事しながら勉強して、弁護士資格を取りました。
市役所からの連絡を受けて、専門家に相談に来る事例が多い
―これまでで印象に残った相続の事例はありますか?
ケースワーカーと相談し、生活保護を打ち切られずに遺産を相続できた事例
もうひとつ、生活保護の方から依頼された相続案件も記憶に残っています。やはり発端は役所から「○○さんのお父さんが亡くなりました」の電話です。離婚によりほぼ生き別れになっていたお父さんの遺産が入ることになったんです。
亡くなったお父さんは借金があったので、通常なら「相続放棄をしましょうか」と提案するところです。しかし一応財産調査をしてみたところ、消費者金融での過払い金が200万円ほど返還されるとわかったんです。
しかし依頼者の方は生活保護を受けていました。そうなると遺産を相続をした場合、生活保護が打ち切られる可能性があるんです。なので、その200万円をどうするかという話になりました。
依頼者さんと話し合って「相続放棄よりはきちんと相続をして、お父さんの残したものを整理しよう」という結論に至りました。生活保護が打ち切られないように、生活保護のケースワーカーさんと相談しながら。
お父さんは自宅アパートで亡くなったので、その清掃費用が発生していました。200万円はその費用や葬儀代に充てました。残りのお金は依頼者さんにきちんとお返しして。何ヶ月かは遺産によって生活保護が減額になりましたが、打ち切られずに受給を続けられることになりました。
そして依頼者の方は北海道に住んでいたんですけど「お父さんの実家のある山梨へ、お葬式に行きたい」という話になったんです。
生活保護の方って旅行も自由に行けないんですけど、その辺もケースワーカーさんと相談して行けることになって。「父はもう亡くなりましたが、親の死に目に会えたようで嬉しかったです」と依頼者の方から言ってもらえて、私も嬉しくなりました。
亡くなった異母兄弟の遺産を、相続財産管理人の申立をして解決した事例
身寄りのない異母兄弟の遺産相続案件は印象に残っています。発端としては、依頼者のもとに役所から連絡が入ったんです。「あなたの兄弟の○○さんが亡くなったので、家や遺産をなんとかしてください」と。遺産としては不動産と預金数千万円がありました。
異母兄弟だったので、依頼者は亡くなった方とほとんど面識がなかったんです。しかし故人には身寄りがなかったので、役所が戸籍を調べて電話したようです。
依頼を受けて、依頼者と私で一緒に亡くなった方の自宅に伺いました。すると自宅から遺言書が出てきたんです。その方が書かれたいわゆる自筆証書遺言なんですが、効力としては有効なものでした。「遺産はすべて盲導犬協会に寄付したい」という内容です。
そうなると法定相続よりも遺言書が優先されるので、依頼人の方は遺産を相続できなくなります。
そのため不動産などを処分して現金化して、それで寄付をしましょうという話になりました。依頼者の方に相続財産管理人の申立を裁判所にしてもらって、私が選任されました。相続財産管理人というのは遺産を管理して、その精算を行う職務の人ですね。
実は盲導犬協会といっても地域によっていろいろあるので、どこの協会に寄付するかを決めるのに時間がかかりました。裁判所の許可が必要なわけではないんですが、相続財産管理人が勝手に決めるわけにもいかないので。
似たような裁判例などを探して「被相続人に最も身近な自治体に寄付する」という事例がありました。なので私たちもそれに則って、裁判所からの許可も得て亡くなった方の自宅から近い盲導犬協会に寄付をしました。
―遺産をすべて寄付するなんて、依頼者の方はガッカリしませんでしたか?
そうですね、少しガッカリされてたかもしれません。でも、兄弟の相続は遺留分がないので、何ももらえなかったんですよ。被相続人の配偶者や子どもは、遺留分といって最低限遺産の取り分があるのですが。
でもそもそも、ほとんど面識ない兄弟の遺産ですからね。まず兄弟がいたこと自体にびっくりされていました。でも依頼者の方はすごく協力的で、相続財産管理人の申立や手続きを行ってくださいました。
弁護士も司法書士も、問題解決という最終的なゴールは同じ
―弁護士の資格を取得して、今までと変わったところはありますか?
そうですね…やはり受けられる相談の幅が広がったと感じています。今までは相談されても依頼を受けられないもどかしさを感じていたので。弁護士を紹介してそっちに行ってもらうのも、相談者さんの手間がかかってしまいますし。
弁護士としての期間はまだ短いですが、司法書士として法律に長期間関わっていたので、弁護士として困ることはそんなにありません。
それに弁護士になったから何かが変わる、といったことも少ないと思います。依頼者の問題の解決のために動くのはどちらも変わりませんし、自分のスタンスが変わることもありません。
当たり前かもしれませんが「お客さんの要望に添える提案をして、それに応えられるよう精一杯尽くす」のが原点であり最終的なゴールだと思っています。
ただ司法書士を長くやってきたので、不動産が絡んだ相続案件や登記のことも詳しく答えられるのは、他の弁護士と違うところかなと思います。今も時間があれば、登記の仕事は自分でもやりますよ。
依頼者のためになる問題解決を
―相続問題は法律の問題だけでは解決できないと伺いました。先生は依頼者の方にどのように接するんでしょうか?
そうですね。相続問題は特に法律だけでなく依頼者の感情面にも配慮しないと、気持ちの良い解決はできないと思います。
例えば「私は親の介護をしていたから、遺産も多くもらいたい」というような主張がありますよね。こういうのを寄与分と言うんですが。これはよくある主張なんですが、実際に遺産を多くもらえるかというと、結構難しいんです。
法律的にできること・できないことに分かれているので、そこをきちんと説明して納得してもらえるかが鍵になると思いますね。できないことを無理に主張して、解決を長引かせるのは依頼者のためになりません。
―弁護士の先生って、そこまで依頼者のことを考えてくれるんですね。最後に、法律事務所に行くか迷っている人にアドバイスなどはありますか?
何か不安なことがあれば、とりあえず相談に来てほしいですね。ひとりで悩んでいても解決できませんし、法律問題なら専門家に相談したほうが安心できると思います。
弁護士への敷居を低くするために、最近では初回無料相談もしていますよね。事務所に行くのが怖ければ電話やオンラインもありますし。気軽にお越しくださいね。
―ありがとうございました!
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