遺言書を作成して事前の相続対策を。他士業との連携を強化して、スムーズな問題解決を行う
「弁護士だからといって、偉そうに見えないようにしたい」と話す里村 格先生。親身に相談に乗る姿勢は、先生の真面目な性格を感じられました。
今回は先生が実際に解決した遺言書トラブルや、相続問題を解決するための活動について伺いました。
2014年に弁護士登録。企業法務・労働問題・離婚問題など、法人や個人問わずさまざまな事件を解決する。『弁護士・税理士・不動産鑑定士 三士業の実務がクロスする 相続事案の解決力』(2020年9月)を三士業合同相続研究会の一員として執筆。
里村総合法律事務所
企業法務から身近なもめごとまで対応
―先生は普段どんな案件を対応されていますか?
企業法務・不動産問題・労働問題・家事問題など、企業や個人問わずご依頼をいただいています。身近な問題だと「欠陥住宅を購入してしまった」「残業代が支払われない」といった相談もありますね。
また、「賃料の増額を求めたい」「賃料不払いがある賃借人に出て行ってもらいたい」「立ち退きを求めたい/求められた」という不動産に関する相談を近時よくお聞きしています。
相続問題に関しては、遺産分割や遺言書作成・相続放棄など、さまざまな内容のご依頼を受けています。
未来を想定した遺言書作成を
―その解決した相続問題について、詳しく教えてください。
銀行側からの相談で、悩ましい遺言書に対応した事例
以前、銀行の顧問業務を担当していたことがあります。その際、銀行側の目線で遺言書に触れる機会が多々ありました。
「お客様が持ち込んだ遺言書の内容があいまいで、どう処理すればいいかわからない」とのこと。例えば、「相続人3名に200万円ずつ相続させる」と記載があるのに、口座には300万円しかないというように、遺言書記載の金額と口座残高にズレがある遺言への対応を相談されたことがあります。
「相続人○名に〇円ずつ相続させる」という記載では亡くなった際の状況により、このような困った状況になるため、望ましい記載ではありません。また、別の遺言書では、本心は銀行預金を想定していると思われるのに、銀行名や支店名の記載がなく、どう読んでも現金を相続させるようにしか読めない遺言書もありました。
このような遺言書を提示されても、銀行側としては払い戻しができません。
以上は簡単な例ですが、他にも、銀行業務に携わっていると、遺言書を残されていても、その意思が実現できない不完全な遺言書に出会うことが多くありました。しかも、遺言書を遺した方は亡くなっておられるため、不完全であるかどうかは肝心の当人には分からないのです。
このような遺言書を見るにつけ、自分がこの方の生前に遺言書作成に関与できたらまた結果を変えることができたかもしれないのに、という思いを持っていました。
遺言書トラブルを回避するために
―遺言書を書いていても、トラブルになることがあるんですね。遺言書作成する際の注意点はありますか?
はい。相続人が先に亡くなってしまった場合を、想定して作成することですね。具体的には、配偶者にすべての財産を相続させたいと考えている場合、配偶者の遺言書も同時に作成した方が良いです。
私のところに、ご夫婦で遺言書作成の相談にいらした場合は「お2人で遺言書を書いておいた方が良いですよ」と、提案しています。
もしご主人だけ遺言書を作成して「財産はすべて妻に相続させる」という内容にしていても、奥さんが先に亡くなってしまうことがあります。もちろん逆もあり得ますよね。
ご夫婦のどちらが先に亡くなるかはわかりませんから、一緒に作成することをおすすめします。
また余計なことを書いてしまうと、遺言書がトラブルの種になりかねません。「あなたはこういうことがあったので、相続分は少なめです」なんて書いてしまうと、相続人同士でもめる理由になってしまいますから、要注意です。
また、遺言書作成からタイムラグがあるため、遺言作成時の財産と亡くなった際の財産が異なるということも頭に入れておかなければなりません。生活費だったり、介護施設に入るためだったり…そういった理由で預貯金が減ることは当然あり得るわけです。
遺言書が正しく作成されておらず無効になったり、遺言書がなかったためにトラブルになるケースは多いです。ですので事前に正確な遺言を作成しておくことをおすすめします。
確かに弁護士に遺言書作成を依頼するのは費用がかかります。でも紛争になってから弁護士に依頼するよりはるかにリーズナブルです。それに、無用の争いをなくし遺産分割もスムーズに進みますよ。
より良い解決のために力を入れていること
―相談を受ける際に、配慮されていることはありますか?
依頼者との信頼関係を築けるとうれしい
紛争の解決には、弁護士と依頼者の信頼関係が最も大切だと思っています。そのためにはご依頼者の話をしっかり聞いて、お気持ちを尊重すること。当たり前ですがお一人おひとりの人生がありますから、それを否定しないようにしています。
それにお話をしっかり聞いていると、事件の今後の展開が見えてくることもあります。
展開がわかれば、相手方のこの後の動きや思惑を読んで、先回りして動くことができます。ご依頼者に「このような展開になると思うので、先にこの手を打っておきましょう」とご提案もできます。
その読み通りの展開になると、ご依頼者との信頼関係がより深まることも。それが個人的にもやりがいを感じる瞬間です。「先生がそう言うなら、その通りにします」と言っていただけるとうれしいですね。
弁護士は「先生」と呼ばれることが多い職業ですが、私は偉そうに見えないようにしたいと思っています。
他士業と連携して、スムーズな問題解決を目指す
―先生は相続に関する他士業との連携に力を入れているとか。どういった活動をされていますか?
相続問題に大きく関わる、弁護士・不動産鑑定士・税理士の連携を密にする活動をしています。これらの士業の連携が、相続問題解決には重要ですから。
具体的には三士業の勉強会や交流会を行い、他士業とのつながりを作っています。他士業の専門分野を学ぶこともありますよ。ちなみに私はその交流団体の代表を務めています
私のところに相談をされて他士業の力を必要とされる方には、不動産鑑定士・税理士等のご紹介ができます。実際に相続税の対策をしたい方へ税理士を紹介して、解決したこともあります。
また「他士業に改めて相談するほどではないけど、ちょっと確認したい」という簡単な質問でしたら、私からすぐに他士業に確認してお答えしています。
不動産・相続税の問題もまとめて解決できますので、安心してご相談ください。
弁護士に直接話をして選んでほしい
―弁護士探しをする方にアドバイスをいただけますか?
話を否定しないで聞いてくれる弁護士が良いと思います。
ご依頼者の要望に対して「そんなの無理」と否定するだけなのか、「代わりにこんな方法もあります」と代替案を出してくる弁護士なのか。
こういう点に気を付けて、相談に行ってみるのがいいですね。私は複数の法律事務所に相談してみるのも、一つの手だと思っています。
弁護士によって、解決のスタンスが違うことがありますから。何ヶ所かの事務所に話をしてみて、ご自分に合うか判断すると良いと思います。ご相談者にとっては、何回も同じ説明をするのは大変かと思いますが…。
私のスタンスは全体を見通した結果、「このような解決とこのような解決のどちらが良いですか」などと依頼者のご意向をお聞きしながら、ご依頼者にとって一番良い着地ができるような提案をすること。
ご依頼者にとっても、早期に解決して新しい人生をスタートした方が良いと思うんです。もちろんスピードを重視して妥協してしまってはいけませんから、そのあたりは状況を見極めつつ、解決策を練っています。
―ありがとうございました!
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