漢字の成り立ちから読みとく、遺言の意味
11月15日は「いい遺言(いごん)の日」です。
相続に関する意識を日ごろから高める目的で、2006年にりそな銀行が制定しました。同様の記念日は、4月15日の「遺言の日」(日本弁護士連合会)、1月5日の「遺言の日」(日本財団)などもありますが、それだけ相続や遺言に関心が高まっているということかもしれません。
今回は、「遺言」という言葉にはそもそもどのような意味があるのか、漢字を読み解いてご説明します。
大切なお金を人に捧げる、「遺」の成り立ち
遺言の「遺」という字には、「忘れる」「捨てる」「残す」といった意味があります。遺言とは人が(亡くなるときに)残す言葉、といった意味です。
「遺」という字を分解すると、次の4つの部分から成り立っていることがわかります。
①と②を組み合わせて、漢字の部首「しんにょう(しんにゅう)」が、そして③と④で「貴」という字が形成されます。「貴」という字には贈り物という意味があり、それに「しんにょう」が付くことで「贈り物を届ける」という意味が生まれます。
「しんにょう」は、十字路と立ち止まる足をイメージした形を組み合わせてできています。そこから転じて、道を進むという意味があります。
③は、両手で人に贈り物をするという意味があります。
そして④の「貝」は、子安貝を意味しています。その昔、この子安貝が貨幣として使われたことから、お金にかかわる漢字には「貝」という字が使われるようになったと言われています。
③と④を組み合わせると、大切なお金を両手でささげて人に贈るという意味になります。
先ほどの「しんにょう」と合わせると、「大切なお金を人に送り届ける(なので、もう手元にはない)」となります。
しんにょうの成り立ちが、十字路と、立ち止まる足の組み合わせということから、例えば岐路とか、節目の時というイメージも湧いてきます。自分の人生の不正目で、大切なものを人に残そうという、そんな印象があります。
口に出す言葉の重さ、「言」の成り立ち
次に、「言」という字です。
「いう」「語る」「話す」のほかに、「こと」「ことば」という意味もあります。
①は取っ手のある刃物を表しています。刀とかそういったものでしょうか?一方、②は口を表していますが、誓いの文書という意味があるそうです。つまり「言」という字には、ただ言葉を発したり、書いたりするだけでなく、もしも嘘をついたり、言ったこと、約束を守らなかった場合は、罪に服することも辞さない、真剣な誓いというニュアンスが含まれるのです。
以上のことをまとめると、「遺言」とは、「人生の岐路に立った時に、大切な宝物を誰かに託すことを誓った言葉」と言えそうです。
まとめ
遺言には、故人の遺志を伝える大切な役割があります。法的拘束力を有する遺言を残すには、定められたルールに則って書く必要がありますが、きちんと遺言書を残しておくことで、相続人同士が争うことなく相続ができるなど、さまざまなメリットがあります。
人生の岐路に立った時、新しい一歩を踏み出す前に、ちょっと立ち止まって大切な家族のために遺言を書いてみるのも良いかもしれません。
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