【よくある質問】「負動産」は借金と同じマイナスの財産として扱える?
うちには誰も住んでいない、処分も何もしていない、いわゆる「不動産」があります。この「負動産」は借金と同じマイナスの財産として扱えますか?
マイナス財産とは
マイナス財産の主なものとしては借入金などの負債が挙げられます。その他に主たる債務者の連帯保証人になっているなどの「保証債務」も該当します。
マイナス財産の特徴は、遺産分割をする際に相続人間で自由に借金(債務)を分割することができない点です。
これは相続人間で自由に自分の支払うべき義務を決められるとなると債権者を害する目的で分割が行われるおそれもあり、債権者に不測の損害を与えてしまうためです。この点がプラス財産とは異なるところです。
負動産とは
負動産とは、「売りたくても売れない」「あるだけで維持費や固定資産税がかかる」といった、所有しているだけで「負の財産」となってしまう不動産を言います。
不動産の価値とは
不動産ほどあらゆる財産の中でも価値(価格)を決定することが困難な資産はありません。価格には大きく4つの基準があります。
「売買価格(いわゆる実勢価格)」といって、市場に出した時に売れるであろう価格の他、「公示価格」や「路線価」「固定資産評価額」などがあり、それぞれの目的に従って評価の基準とされています。
ただ、普段から不動産などの仕事に携わっていないとそれぞれの特徴を理解することは難しいものです
不動産の相続税評価額の算出方法は、土地については「路線価方式」または「倍率方式」で算出し、建物については固定資産税評価額をそのまま使用します。
遺産分割協議における不動産評価
遺産分割協議をするうえで、不動産の相続税評価額をそのまま使用するのでしょうか?
不動産の相続税評価額は、実際の取引価格(実勢価格)の8割程度の額になるように決定されています。不動産を取得したいと考えている相続人にとっては、不動産の評価が低いほど有利になります。
負動産を相続したあとの対処法
負動産を相続した場合、主に以下の5つの方法が考えられます。
- 売却
- 土地活用
- 土地の所有権の放棄
- 公益法人や自治体に寄付
- お金を払って企業に引き取ってもらう
売却
まずは本当に売却できないかを検討しましょう。不動産コンサルタントなどに相談すると、意外とニーズがあるかもしれません。
土地活用
自ら利用しない場合は、賃貸など土地活用できないかを検討するのも一つの方法です。古い建物であれば、古民家として住みたい人もいます。道路沿いであれば倉庫として借りたい会社もあるかもしれません。
賃貸が難しければ、駐車場や太陽光発電など、他の活用方法が検討できます。
土地の所有権の放棄
2023年4月27日に始まったばかりの新制度「相続土地国庫帰属制度」に申請してみることも可能です。これは相続した土地を国に引き渡せる制度です。
活用には複数の要件があるため、すべての土地を引き取ってもらえるわけではないので注意しましょう。
公益法人や自治体に寄付
少ないケースではありますが、自治体が不動産の調査を行い、審査が行われ、通過した場合のみ寄付申込が可能となります。個人が公益法人に不動産を寄付した場合、譲渡所得は課税されません。
お金を払って企業に引き取ってもらう
不動産を有料で引き取る不動産業者があるため、どうしても処分できなさそうであれば、そこを頼ることもできます。ただし、手放す側が取引料を支払う必要があります。
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