相続手続きで残高証明書は必要?通帳のコピーでもいい?【行政書士監修】
今ではほとんどの人が銀行に口座を持っていますので、相続手続きにおける銀行手続きは必須事項と言っていいかもしれません。
銀行手続きをする目的は、故人の口座にあるお金を相続するためですが、故人が亡くなる前に通帳記帳をまめにしていなかったら口座残高はどのように知ればいいのでしょうか。
「銀行のATMで通帳に記帳をすればいいでしょ?」
確かにその通りですが、もし、故人の口座が凍結されていたらATMで記帳することはできません。
そんな時は、残高証明書を取得することで確実な口座残高を知ることができます。それ以外にも残高証明書にはとても便利な機能があります。
この記事では相続手続きで残高証明書が必要な理由と、通帳のコピーが残高証明書の代わりになるかという点についても説明していきます。是非参考にしてください。
- 残高証明書は金融機関が発行する書類で、預金口座のある日付の残高を記載するもの。通常は1000円程度の手数料がかかる。
- 通帳のコピーだけで代用できる場合もあるが、確実な情報を得るために残高証明書を取得するとよい。
- 取得方法や手数料は各銀行によって異なる。
この記事の監修者
〈行政書士、相続診断士、終活カウンセラー〉
相続・遺言・生前対策専門の行政書士。インターネットで全国対応。見積り比較サイトでの口コミ評価は5段階中4.9と親切丁寧な対応が評価されている。相談は完全無料。電話・メール・ZOOMで完結する「リモート遺言状サービス」を展開中。また介護の負担を軽減し、親に遺言状を書いてもらえる『生前対策一体型遺言』も全国対応で展開中。
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この記事を書いた人
鎌倉新書にパートタイマーとして入社。2020年チャレンジ制度をクリアし正社員に。
目前に控えたシニアライフを楽しく過ごすため、情報集めに奔走するアラカン終活ライター
資格:日商簿記1級・証券外務員二種・3級FP技能士
残高証明書とは
残高証明書は金融機関で発行する書類で、その銀行に預けてある普通預金や定期預金などについて、ある日付の残高を記入したものです。ゆうちょ銀行を除き大抵の銀行では支店なども全て記載されます。
発行手数料は各金融機関ごとに異なり、1通について500~1000円ほどです。
相続で必要な残高証明書とは?
相続では、口座の持ち主の亡くなった日の残高が遺産の評価額となるため、相続が発生した日付の残高が記載されている残高証明書を取得します。
相続が発生した日とは?
相続のことを調べていると「相続が発生した日」「相続開始日」という言葉がよく出てきます。これらは「被相続人が死亡した日」を言います。
死亡日は医学的な死亡日時を指しますので「死亡診断書又は死亡(体)検案書に記載された死亡日」で確認できます。死亡届提出後に戸籍に記載される死亡日も同じ日付になります。
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通帳のコピーでも残高証明書の代わりになるか?
被相続人の相続開始日の銀行口座残高がしっかり記帳されている、または、口座の金額が少額であれば通帳のコピーでも残高証明書の代わりになります。(ただし、先方が残高証明書を要求しているときは確認が必要です。)
以下の場合については残高証明書を取った方がよいでしょう。
- 相続人が2人以上いる場合
- 相続税申告をする場合
- 通帳のない銀行や通帳の店舗以外にも故人の口座がありそうな場合
残高証明書を取った方がいいケース
残高証明書を取った方がよい理由を順番に説明していきます。
相続人が2人以上いる場合
相続人が2人以上いる場合は、被相続人の遺産を分けて相続します。分けるための話し合いを遺産分割協議といいますが、ここできちんとした預金残高がわからないとトラブルになる心配があります。また、あとから違う口座が見つかった場合、再度話し合いが必要になるかもしれません。
いらぬ争いを防ぎ、被相続人の口座を漏れなくリストアップするためにも残高証明書をとって正確な残高を確認したうえで遺産分割をしましょう。
相続税申告をする場合
税務署で入手する相続税申告書を見ると提出書類には「残高証明書」や「通帳のコピー(写し)」の添付をするように、とは明確に指定されていません。
しかし、相続税申告の実務上は残高証明書が必要です。残高証明書は正確な集計とその根拠書類になるからです。
通帳のコピーだけの場合、他にも口座があるのでは?と税務署に疑われてしまう心配があるのです。税務調査を受けずにすむようにするためにも残高証明書を取得しておく方がよいでしょう。(他の口座を確認するために残高証明書の方が良い理由は次で説明していきます。)
通帳のない銀行や通用の店舗以外にも口座がありそうな場合
残高証明書は殆どの場合その銀行にある口座一切を明らかにします。
そのため、残高証明書を取ることで思わぬ口座が発見されることもあります。
たとえば、故人の通帳はA店舗の普通預金だけだったが念のために残高証明書をを取ったところ、B支店に定期預金があったことがわかった・・・という具合です。※ただし、ゆうちょ銀行などでは他の支店分を調べるには別途手続きが必要です。(ゆうちょ銀行での相続手続きを知りたい方は「ゆうちょ銀行の相続手続き 必要書類や残高証明書の取り方をわかりやすく!」をご覧ください。)
「通帳は見当たらないけれど他の銀行に口座があったはずだ」という疑いのあるときも、その銀行に故人の口座があれば残高証明書を取ることができますので該当の銀行に相談してみましょう。
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残高証明書の取り方
残高証明書の取得方法は、各銀行で少しずつ異なりますが、一般的な流れについてご説明します。
1.口座のある支店に連絡をする
「口座のある支店」の窓口で手続きをするのが最も速く発行してもらえる方法です。
支店が遠方にあるときなど別の支店で手続きをしたいときには、口座のある支店に電話で連絡して確認することをおすすめします。基本的にはほかの支店でも発行してもらえます。ただし、地方銀行などでは、口座のある支店以外では発行できないケースもあります。
ネット銀行の場合は、専用の窓口やカスタマーセンターに連絡します。
2.手続きに必要な書類などを集める
手続きに必要なものは、次のようなものが挙げられます。
- 被相続人の口座の通帳やキャッシュカード
- 被相続人(名義人)が死亡したことがわかる戸籍謄本(全部事項証明書)など
- 被相続人と申請者の関係がわかる書類(戸籍謄本など)
- 申請者の実印と印鑑証明書
- 手数料(金融機関により異なる)
銀行によっては、これ以外の書類の提出を求められることがあります。
残高証明書を申請できる人
残高証明書を申請できる人は以下の人です。
- 相続人
- 遺言執行者
- 相続財産管理人
残高証明書の請求に関しては、相続人が複数いるときも代表者一名だけで手続きができます。
3.窓口などで手続き
銀行の窓口や郵送など指定された方法で手続きをします。
最近は(特に都市部の金融機関で)残高証明取得に非常に時間がかかるようになっており、金融機関1行あたりの財産調査に1.5ヶ月~2ヶ月かかることが常態化しています。予約に1~1.5ヶ月、書類提出後2週間~1ヶ月はかかると思っておくと良いでしょう。
特に相続税申告が必要か必要な可能性がある場合、複数の金融機関から残高証明を集めて財産目録を作るとなると相当な手間と時間がかかり、その他の書類も揃えて相続税申告の準備をする必要もあるため、相続税申告の期限がギリギリになってしまったり最悪申告に間に合わないことで多大な損害が発生する可能性もあります。
相続税申告が必要か必要になる可能性のある方は、早めのタイミングで相続専門の行政書士などに相談することを強くおすすめします。
▶亡くなった人の通帳残高は?相続預金を残高証明書で知る方法【行政書士監修】
通帳は相続で大事な必要書類
まるで、万能のようにも思える残高証明書ですが、通帳ならではのメリットがあります。
通帳には口座残高以外にも入出金や資金の移動が書かれています。通帳は取引履歴も残高も知ることができる大事な書類なのです。
全ての手続きが完了するまで大切に保管しておきましょう。
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この記事のポイントとまとめ
残高証明書について説明しました。最後にこの記事のポイントをまとめます。
残高証明書は金融機関が発行する書類で、預金口座のある日付の残高を記載するものです。相続手続きでは相続人が2人以上いる場合や相続税申告をする場合に必要とされます。
通帳のコピーだけで代用できる場合もありますが、確実な情報を得るために残高証明書を取得することが推奨されます。
残高証明書は通帳には記載されない取引履歴などの詳細な情報を提供してくれるため、相続手続きの正確さを確保するためにも重要です。
取得方法や手数料は各銀行によって異なります。
相続では相続開始日の通帳残高を証明することが多いのですが、通帳と残高が一致しないケースもあるため残高証明書を取ると安心です。
相続手続きでは、残高証明書のように日頃見慣れない書類を集めることがあるので戸惑う方が少なくありません。
一つ一つ確認しながらおこなえれば良いのですが、平日に時間を取りにくい方や、体調が思わしくない、また、故人の供養に時間を取りたい方などは専門家に手続きを頼むことをおすすめします。
「いい相続」では相続に強い行政書士などの専門家を無料でご紹介しておりますので、お気軽にお問合せください。
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この記事を書いた人
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