かわいい孫のために教育資金を贈与したいという祖父母は多いと思います。そんな方のために、教育資金が1,500万円まで一括で非課税で贈与できる教育資金の一括贈与の非課税制度。この制度は2026(令和8)年3月をもって終了しました。
今回は、すでに活用している教育資金贈与の非課税制度についての扱いはどうなるのか、また今後、孫に教育資金を援助したいときはどうすればいいのか、代案としてどのような方法があるのか解説していきます。
すでに教育資金の一括贈与の非課税制度で開設している口座はどうなる?
教育資金の一括贈与の非課税制度は、2026年3月で終了しました。新たに専用口座を作ったり、お金を追加で入金したりすることはできなくなりました。
しかし、2026年3月末までに特例を利用して開設された専用口座については、制度終了後も引き続き、孫が30歳に達するまで(一定の要件を満たせば最長40歳まで)非課税で引き出して使うことができます。引き出しの際には、受贈者は支払った教育費の領収書は、そのつど金融機関に提出しますが、この方法は制度終了後も変わりません。
教育資金の一括贈与の非課税制度とはどんな制度だったのか
父母・祖父母・曾祖父母といったの直系尊属から30歳未満の子や孫に教育資金を贈与したときに非課税となる制度です。この制度では、一括で贈与することができ、1,500万円まで贈与税が非課税となります。
非課税となる教育資金とは
教育資金贈与の非課税で教育資金とされるものは、例として以下の通りです。
学校等に直接支払うもの
- 授業料、保育料、施設設備費など
- 入学金、入園料、入学検定料など
- 在学証明書代、卒業証明書代など
- 給食費、スクールバス代、遠足費、修学旅行費、部活動費、寮費など
- PTA、生徒会、学級会などの会費
- 大学入試センター試験受験料など
学校等以外に対して直接支払うもの
- ランドセル、教科書、上履きなど、学校が書面で保護者に購入を依頼した学用品
- 制服、ジャージなど学校指定の学用品
- 校外学習の活動費用
- 卒業アルバム・写真代
- 通学定期代
- 学習塾、予備校、家庭教師などの月謝
- スポーツ教室や習い事などの月謝、指導者を通して購入した物品、交通費など
- 学童保育の費用
なお、非課税限度額は合計で1500万円までですが、学校等以外に対して直接支払うものは500万円までとなっています。
※2019年7月1日以降に支払うの学校等以外の金銭で、受贈者(子や孫)が23歳に達した日の翌日以降に支払われるものについては、教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講するための費用に限られます。
受贈者の要件
受贈者(資金をもらう人)には以下の要件があります。
- 信託契約を締結する日において30歳未満であること
- 信託を設定する日・信託財産を追加する日において、受贈者の前年の合計所得金額が1,000万円以下
教育資金贈与の非課税制度の手続き方法
教育資金贈与の非課税制度は、以下のような流れで手続きが必要でした。
- 贈与者と受贈者との間で「贈与契約書」を作成する
- 金融機関に教育資金口座を開設し、「教育資金非課税申告書」を提出する
- 贈与資金を預け入れる(最大1,500万円まで)
- 領収書を金融機関に提出し、教育資金口座からお金を引き出す
教育資金の一括贈与の非課税制度の注意点
相続財産5億円を超える者の管理残高への相続税課税
教育資金の贈与金額が消費される前に贈与者が亡くなった場合、教育資金として使いきれなかった金額に対して相続税がかかります。しかし、令和5年度の改正前は受贈者が23歳未満である場合や学校等に在学している場合など、一定の要件が満たされていれば、相続税の課税が免除されていました。
改正後は、贈与者の死亡による相続税の課税額が5億円を超える場合は、一定の要件を満たす場合でも、管理残高に対して課税されます。令和5年4月1日以降に拠出した場合は改正内容が適用されるので注意しましょう。
贈与資金が使いきれなかった場合は贈与税の対象となる
教育資金贈与で信託に預けた資金は30歳までに使い切りましょう。使い切れなかった分は贈与税の対象となります。教育資金口座の使用が中止となると同時に、口座残高があれば贈与税がかかります。
贈与資金が使いきれなかった場合、贈与税は「一般税率」で計算
贈与された資金が30歳までに使いきれなかった場合、残った金額には贈与税が課されますが、令和5年4月1日以降に贈与した場合は年齢関係なく一般税率が適用されます(改正前は18歳未満は一般税率、18歳以上は税率が低い特殊税率が適用)。
ATMが使えない
出金の際には、教育費として支払ったことが証明される領収書などをその都度提出しなければなりません。一般的な預金とは異なるため、ATMなどでは引き出せません。
一度契約すると解約できない
教育資金の一括贈与の非課税制度では、一度契約をすると解約ができません。したがって一度契約をすると途中で解約することはできません。一度信託に預けた教育資金は、贈与者に戻すことはできないため注意しましょう。
2026年以降、子や孫に非課税で贈与、教育資金を支援する代案は?
子や孫に非課税で教育資金を支援するためには以下の2つの方法が考えられます。
1.まとまった金額を贈与する方法
他の生前贈与の制度を活用する方法です。
暦年贈与で110万円までの非課税や、相続時精算課税制度で2500万円までの贈与税の非課税があります。
| 項目 |
暦年課税 |
相続時精算課税制度 |
| 非課税枠 |
年間110万円 |
累計2,500万円(特別控除)+ 年間110万円(基礎控除) |
| 控除超の税率 |
累進課税(10%〜55%) |
一律20% |
| 贈与者・受贈者の要件 |
制限なし |
贈与者:60歳以上の父母・祖父母
受贈者:18歳以上の子・孫 |
| 相続財産への加算 |
子は生前贈与加算の対象。孫は対象外だが、代襲相続などが発生すると相続人扱いとなり生前贈与加算の対象になる点に注意 |
基礎控除110万円を除き、贈与財産は全額相続財産に加算(贈与時の評価額で固定) |
| 手続き |
110万円内なら申告不要 |
初回は届出書の提出が必須。
毎年の贈与額が基礎控除(110万円)以下なら申告不要。 |
| 途中変更 |
いつでも選択・利用可能 |
一度選択すると撤回不可。以後その贈与者からの贈与は自動的にすべて精算課税扱い |
| 向いているケース |
少額をコツコツ長期間かけて贈与したい人 |
まとまった金額を短期間で移転したい人/将来値上がりが見込まれる資産(不動産・株式など)を早めに渡したい人 |
それぞれ注意事項やメリットデメリットがありますので、慎重に検討しましょう。制度の詳細は以下の記事を参考にしてください。
2.都度贈与する方法
都度贈与とは、入学金や授業料など、教育に必要な費用が発生するたびに、必要な時に必要な分だけを、直接支払う(または振り込む)方法です。
本来、扶養者であれば教育資金は「通常必要と認められるもの」については非課税で贈与できます。教育費がかかるのは当然ですから、贈与税はかからないとされています。ただし、教育費として、まとまった金額を渡したものの、子や孫が自分の口座に預金したままだったり、投資で運用したりするのは贈与とみなされる可能性がありますので注意しましょう。
まとめ
今回は2026年3月で終了した教育資金の一括贈与の非課税制度について解説しました。
子や孫にどのように贈与するかは、計画を立てて活用することが大切です。
なお、本記事では教育資金についてご紹介しましたが、子や孫に非課税で経済的な支援できる方法としては結婚・子育て資金の一括贈与で1,000万円まで非課税の制度もあります。
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