贈与というのは、単純に生前贈与を縮めた言い方なだけで、生前贈与以外に贈与という言い方はしないものなのでしょうか?
質問者:I.C
「生前贈与」という言葉は、相続人やそれ以外の人に対する贈与全体を包含する表現になりますが、「遺贈」や「相続」と対比する場合に使われることが多くなるでしょう。
「生前贈与」とは?
生前贈与とは、文字通り贈与者が生きている間に自分の財産を誰かに渡すことを指した言葉です。遺贈(死亡に伴って誰かに財産を渡す)や相続(死亡に伴って必然的に法定相続人に財産が引き継がれる)に対して「生前に渡す」ことを強調する意味で「生前贈与」と表現するだけであり相続人に渡すことに限ったものではありません。 「贈与」と言った場合、生前贈与の意味で使われることが一般的であると考えてよいでしょう。
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生前贈与の効果は?
「生前贈与」と表現するのは、相続税の節税対策を考える場面で多くなるのではないでしょうか。 相続税の課税財産を圧縮するために生前贈与を活用する方法も数多くあります。 たとえば、相続開始までに年数があると思われる場合は「暦年贈与」を利用して相続財産を圧縮することができます。
暦年贈与とは、もらう人1人あたり年間110万円までの贈与には贈与税がかからず申告も必要ないというものです。 何千万円もの財産を圧縮しなければならない人であればそれなりに年数はかかりますが、子供が数人いる場合にはそれぞれの子供に非課税の範囲内で贈与すればかなり相続財産を減らすことができることもあります。
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ただ、暦年贈与を行う場合には必ず「契約書等で贈与の旨を明らかにする」こと、そして「もし、毎年一定の時期に一定の金額を贈与するということになると最初からまとまった金額の贈与であったとみなされてしまうので、時期をずらすなどの工夫が必要になる」ということを念頭に置かなくてはなりません。 また、一度に大型財産を贈与したい場合は「相続時精算課税」を利用する方法もあります。
相続時精算課税は、2,500万円までの財産を無税で、それを超える部分は一律20%で課税するというものです。相続時に贈与した財産を持ち戻し(相続財産に戻して考える)しなければならないため、元々相続税の基礎控除3,000万円+(相続人の数×600万円)を超える場合は直接の節税効果はないといえます。
しかし、持ち戻す金額は「贈与時の価額」とされるため、贈与時から相続時までに値上がりが予測される財産であれば差額で節税することもできます。 なお、暦年課税と相続時精算課税はどちらか一つを選択しなければならないこと、相続時精算課税は税務署にその届出を忘れずにしなければならないことにも注意が必要です。
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