弁護士歴30年以上。双方の明るい未来のために最善の解決を目指す
東京都千代田区に事務所を構える土谷 修一弁護士は、弁護士歴30年以上の豊富な実績をもつ「法律の番人」。相続問題から借金問題、企業法務など幅広く対応してくれます。
「相続人それぞれが納得できる遺産分割を」と、依頼者だけでなく相手方の立場も尊重する土谷弁護士。今回は、相続の解決事例や弁護士を志したきっかけなどを伺いました。
弁護士歴30年以上。豊富な経験と知識を生かして柔軟な発想で問題を解決する。「依頼者の主張をうまくまとめて事件を有利に進めるのが弁護士の仕事です」その心強い言葉に、依頼者からの信頼も厚い。
土谷総合法律事務所
目次
遺言書を作成する人が増えたことで、相続の案件は減少傾向だと感じる
―これまでどのくらい相続の案件を受けましたか?
そうですね…30年以上弁護士をしていますが、前半の15年間くらいは相続問題が多かったんです。それ以降は、私が受ける分には減ってきたように感じますね。
たぶん皆さんがある程度法的な知識を付けてきたので、各々それに沿った対応をしているのではないかと。遺言書を作成したり。遺言書を作る人が増えて相続人がその内容を納得すれば、問題なく遺産分割できますから。
遺言書の不服に対して、遺言執行者が対応した事例
―これまでの相続の事例で、印象に残ったものはありますか?
被相続人であるおばあさんの遺言書で争った案件ですね。このおばあさんは夫が先に亡くなって子もいなかったんです。そうなるとおばあさんの兄弟や姪、その子どもに相続権が移るんです。代襲相続というやつですね。
おばあさんは資産が数十億円ある方だったんですが、遺言書を残していました。私が依頼されたもので、遺言執行者(遺言書のとおりに分配する役割を担う人)も私でした。相続人である自分の兄弟、甥姪、菩提寺や懇意にしていた団体にそれぞれいくら、と詳しく記しました。
その中で、自分の世話をしてくれた姪の子の取り分を多くしたんです。それを甥が納得しなかった。「どうして姪の子だけ遺産が多いんだ」と。
遺言書を作成する段階で、こういった不満が出ると予想していました。誰かの取り分を増やすということは、他の人の分が減るわけですからね。
「これはおばあさんの意思です。姪の子はおばあさんの世話をしていました」と説明するんですが、どうしても納得しない。
最終的に、遺産の利息が数億円ありましたから、その中から少し、甥に渡しました。あらかじめ遺言書に「遺産の利息の分配については遺言執行者にまかせる」という条項を入れておいたんです。それで甥にも納得してもらえました。
―土谷先生がトラブルを予測していたおかげで、早期に解決ができたんですね。
そうですね。これだけ弁護士をしていると「トラブルになりそう」と予想できますので。もちろん、遺言書を作成する段階で依頼者からよくお話を聞いて、それぞれの立場で納得できるように考慮するんですが。
この事例で寂しいと思ったのは、「遺産が少ない」と不満を言った甥は葬儀に来なかったんです。お墓参りに来た人もごくわずか。親戚は何人もいたけれど、ほとんどおばあさんと関わりがなかったんです。
―多額の遺産をもらっているのに、葬儀に来なかったんですか?
これは、おばあさんにも原因があるんです。おばあさんは資産を多くもっていたから、甥や姪が訪ねてくると「お金欲しさにご機嫌伺いに来た」と思って拒否しちゃったんです。猜疑心が強く出てしまって。
じゃあおばあさんに何かあったとき、誰が世話をしてたかというと銀行なんです。姪の子もそこまで頻繁に来られませんので。銀行員が最もおばあさんのお世話をしていたようです。医者を呼ぶのもその人。余談ですがおばあさんは占い師に「この弁護士は信用できる」と言われたらしく、私は信用してもらえました。
死の間際に寂しい思いをしたのは気の毒に感じました。おばあさん自身が、そういう人間関係を作ってしまった。私ができることはベストを尽くしましたけど、なんとなく後味の悪い案件でした。
遺言書を作成しても、相続人の生活状況によっては紛争が発生しうる
―遺言書の作成時に、注意していることはありますか?
まずひとつに、被相続人から相続人のことを詳しく聞く。被相続人が亡くなったとき、相続人たちがどういう生活状況にあるか、経済状況で生活しているのか。
なぜなら遺留分を侵害されたとしても「それなりの理由があるからね」と納得できるかどうかに尽きるからです。そのために詳しく聞き出すんです。
遺留分とは一定の相続人に対して、遺言でも侵害できない遺産の取り分ですね。被相続人の配偶者、子(代襲相続含む)、直系尊属(祖父母など)は遺留分が認められているので、遺留分侵害額請求ができるんです。
そして「どうしてこの人の取り分を多くしなちゃならないのか」「なぜ多くする必要があるのか」の理由を明確にします。相続人一人ひとりの立場でどう見るか、よく吟味しながらアドバイスするんです。
しかし親と子がこれまでどう感じてきたか、わからないこともある。親が死んだとき、相続人が各々の立場でものを見て感じて「その取り分はおかしいんじゃないか」と思うんです。紛争になってもやむを得ない場合もありますね。
もっとも遺言書を早めに書くと5年とか10年経つ間に相続人の生活状況が変わりますから。家庭や子どもがいるとお金に対する執着も違う。そうなると、相続人の抱く感情も変わってしまいますね。
―遺言書の作成や起きてしまった紛争の解決にあたって、大切にしたい考え方はありますか?
先ほども言いましたが、自分のことだけでなくきちんと相手を思い遣ることが大切だと思います。本来相続人それぞれ平等であるなかで、取り分を多くしたときはその理由をちゃんとわかるように。自分が亡くなった後でも周りが理解できるような形で残したほうが良いですね。
そして紛争になってしまっても、冷静に相手の気持ちを慮ること。お互いにいろいろなことを言い合いますから「そういえば昔、妹を傷つける発言をしてしまった」など自分の至らなかった点も意識するようになるんです。
そして最終的に自分の希望が100%叶わなくても、80%だとしても相手のために譲歩することは大事だと思いますよ。
経済状況が変わらないうちに、早期解決を目指す
―案件の解決に向けて、気を付けていることはありますか?
迅速に問題解決できるよう意識しています。
私の司法修習生時代の話ですが、家庭裁判所で遺産分割の争いを見ていたんです。配属された事務所の先生が調停委員をやっていて同席していました。その案件は10年くらい争っていたんです。
当時、裁判を始めるときはバブルの直前、裁判中が最高潮、最終的にバブルが弾けたんですよ。そうなってくると、裁判が和解したときには物の価値が違ってくる。
最初の和解案が4億か5億だった。でも争っているうちに土地の価格が変わって評価も下がる、だかた5,000万から1億になってしまった。これには相続人も納得しない。現金だったら価値は変わりませんが、土地や不動産は経済状況によって価値が変わってしまいますね。
それに紛争が長引くと相続人が増える。相続人が死ぬとその子どもに相続権が移りますから。ネズミ算式に相続人が増えて、80人近くになったこともある。
そうなると、ひとりがもらえる遺産の額も少なくなりますから。総額2,000万の遺産が、1人あたり20万くらいになってしまったり。金額の桁が変わってしまったこともあります。
だから紛争を長引かせるのはいろいろな意味において手続きも複雑になるし、そのたびに当事者の説明の手間がかかる。もちろん手抜きはしませんが、素早く処理するのはひとつの方法です。
弁護士は自分の本領が発揮できる職業
―弁護士を志したきっかけを教えてください。
そうですね…自分の性格に合っていると思ったからです。
小さい頃からは内気で受け身の性格だったんですが、人と論争することはそれなりに厭わなかった。それで「弁護士は自分の性格に合っている、飽きないで続けられる職業かな」と固まったのが中学生くらい。その頃は先生とよく論争していて、まあ先生から見ると扱いづらい子どもだったんじゃないかな。
弁護士になってからも相手とのやり取り、も得意、書面に書くことは自分でも得意だと思っています。自分の本領が発揮できる仕事だと思います。
―実際に弁護士になってみて、仕事のやりがいはありますか?
「困っている人のために本当に力になれた」と実感できることです。その嬉しさはお金には代えられません。弁護士を30年以上続けられるのも、やりがいあってこそです。
率直な意見を述べてくれる弁護士を探すことが大切
―弁護士への相談を迷っている方に向けて、弁護士探しのポイントやアドバイスをもらえますか?
一番良いのは、自分の話を聞いて率直な意見を言ってくれる弁護士ですね。それで自分の感覚と合うかどうか。弁護士と依頼者は二人三脚で解決まで歩むわけですから。共通の理解がしやすい弁護士だと良いと思いますね。
若い弁護士の先生と私では世代が異なりますからね。もしかしたら物事の認識が異なるかもしれません。それに各々の弁護士の経験や置かれた立場も違いますし。
もしくは、その弁護士に依頼した知り合いから紹介してもらう。その弁護士の長所と短所を教えてもらえれば、自分に合った弁護士か判断しやすいですよね。
「やっぱりこの弁護士は自分と合わない」と途中で解任したりするのも大変ですから。納得できる弁護士をきちんと見つけてくださいね。
―ありがとうございました。
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