身近な人が亡くなって気分が落ち込んでいる時に、相続の手続きを進める気にはならないかもしれません。
しかし、相続手続きの放置は、時間が経てば経つほどリスクが大きくなります。相続税の申告や相続登記は期限内に手続きをしないと罰則(過料や加算税など)の対象になるだけでなく、相続放棄や遺留分侵害額請求ができる期間にも期限があるため、「気づいたときにはもう遅かった」という事態になりかねません。特に、期限が目前に迫っている方、何から手をつけてよいか分からず手が止まっている方は、自分だけで抱え込まず、早めに専門家へ相談することをおすすめします。
この記事では、相続手続きをしなかったらどうなるかについて罰則と罰則以外のデメリットの両面から説明します。是非、参考にしてください。
遺産相続の手続きをしないで放置したら罰則はあるか
遺産相続の手続きを放置していることで、罰則につながってしまうのは、相続税を払わなければいけないにもかかわらず滞納してしまったり、間違って少額で申告してしまったのに修正申告をしないときなどです。
また、不動産を相続したときにおこなう相続登記についても2024年4月1日から義務化されたので、決められた期間を過ぎても登記を放置すると罰則として「過料」の対象となります。
つまり、罰則につながるのは以下のような項目です。
- 相続税の申告忘れや滞納、修正申告の放置
- 相続登記の放置
少しでも心当たりがある場合は、一度専門家に確認しておくと安心です。
遺産相続の手続きをしないで放置したときの罰則以外のデメリット
罰則以外でも、遺産相続の手続きをしないで放置することで相続人にとって不利なことがあっても対応ができなくなったり、大損をするかもしれないデメリットがあります。
具体的には、以下の項目です。
- 相続放棄・限定承認の申述ができなくなる
- 遺留分侵害額請求ができなくなる
- 預貯金・不動産・株式の名義変更をしないと大損するおそれ
次からは、デメリットの項目ごとに説明したあと、相続税の滞納による罰則の説明をしていきます。
デメリット1.相続の放棄・限定承認の申述ができなくなる
被相続人からの遺産が借金などの負債だったときに相続(継承)しないという選択をすることができます。しかし、手続きをしないことによってその選択(相続の放棄・限定承認)ができなるなるおそれがあります。
相続放棄
相続放棄とは、相続人が被相続人(亡くなった人)の権利や義務を一切承継しない選択をすることをいいます。
したがって、相続したくない借金だけ相続放棄をするということはできず、すべて相続するか、まったく相続しないかを選択しなければならないのです。
通常、相続放棄は、プラスの財産の価額よりも借金等のマイナスの財産の価額の方が大きい場合に利用されます。
そのような場合に相続すると、相続人が損してしまうからです。
限定承認
限定承認とは、相続した財産の範囲内でのみ、被相続人の債務を受け継ぐということです。
限定承認は、プラスの財産とマイナスの財産のどちらが多いか判断が難しい場合などに利用される制度です。
相続の放棄や限定承認の期限は3か月以内
相続の放棄や限定承認をする場合は、家庭裁判所での申立てが必要ですが、この申立ては、原則として、「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」しかできません(なお、相続の開始があったことを知った翌日を1日目とカウントします)。
この期間のことを熟慮期間といいます。
相続は死亡によって開始するので、熟慮期間は、基本的には、被相続人が死亡したことを知った時から3か月以内ということになります。
ちなみに、被相続人が死亡したことは知っていたが、法定相続人のルールを知らなかったがために、自分が相続人になることは知らなかったという言い訳は基本的には通用しません。
なお、先順位の相続人全員が相続放棄をしたために自分が相続人になったという場合は、先順位の相続人全員が相続放棄をしたことを知った時から3か月以内ということなります。
期限は伸長(延長)することができる
この3か月の期限は、家庭裁判所に申し立てることで、伸長(延長)することができます。
遺産の調査が3か月以内に調査が完了しない場合もあるため、期限を伸長する制度があるのです。
家庭裁判所で申立てが認められると、原則としてさらに3か月期限が伸長されます。
熟慮期間内に相続放棄や限定承認の申立ても伸長の申立てもしなかった場合は、原則として、相続放棄や限定承認をすることはできなくなります。「借金の調査に時間がかかりそうで、3か月では終わりそうにない」という方は、期限が来る前に伸長の申立てが可能かどうかも含めて、早めに専門家へ相談することをおすすめします。
ただし、相続債務が存在しないと信じており、そう信じていたことに相当の理由がある場合には、例外的に相続放棄が認められる場合があります。
なお、相続放棄のやり方については「家庭裁判所の相続放棄ページだけでは不明な部分も含めてわかりやすく全解説!」、相続放棄することのメリットデメリットについては「相続放棄のメリット・デメリットや、相続放棄の注意点を解説」を参照してください。
限定承認については「限定承認とは?申し立ての手続き方法やメリット・デメリットをわかりやすく解説」で詳しくご紹介しています。
デメリット2.遺留分侵害額請求ができなくなる
遺産分割や遺言で自分に割り当てられた相続財産が、本来もらえるべき最低の取り分より下回ったときにその不足分の請求することができます。しかし、手続きをしないことによってその機会(遺留分侵害額請求の期間)が過ぎてしまうおそれがあります。
遺留分
遺留分とは、一定の相続人(遺留分権利者)について、被相続人(亡くなった人)の財産から法律上取得することが保障されている最低限の取り分のことで、被相続人の生前の贈与又は遺贈によっても奪われることのないものです。
被相続人が財産を遺留分権利者以外に贈与又は遺贈し、遺留分に相当する財産を受け取ることができなかった場合、遺留分権利者は、贈与又は遺贈を受けた者に対し、遺留分を侵害されたとして、その侵害額に相当する金銭の支払を請求することできます。
出典:裁判所HP「遺留分侵害額の請求調停」
遺留分侵害額請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは、時効によって消滅します。「1年も猶予があるから大丈夫」と思っていると、感情の整理や他の手続きに時間を取られているうちに、あっという間に期限が来てしまうことも少なくありません。
遺留分や遺留分侵害額請求については「遺留分とは?遺言や贈与で取られた相続財産を取り戻す方法を解説」で詳しく説明しています。
デメリット3.預貯金・不動産・株式の名義変更をしないと大損するおそれ
主な遺産の種類として、次のものが挙げられます。
これらの種類ごとに、名義変更しなかったらどうなるか説明します。
預貯金
預貯金の相続手続きは、名義変更ではなく、払戻しの場合がほとんどです。
銀行に対して預金の払戻しを請求する権利は、商事債権(商取引にかかわる債権)として、権利を行使できる時から5年間の消滅時効にかかり、権利は消滅します(なお、民法改正によって、2020年4月1日以降に生じた債権については、「債権者が権利を行使できることを知った時から5年間行使しないとき」又は「権利を行使できる時から10年間行使しないとき」は、時効によって消滅します)。
もっとも、銀行側は、元帳などで預金の存在が確認できる限りは払戻しに応じ、消滅時効を主張することは控えてくれます。
しかし、銀行が支払いを拒絶することは法的に可能ですし、実際に銀行側が時効を主張して支払いを拒んだ裁判例もあります。「うちの口座は大丈夫だろう」と楽観視せず、放置期間が長いほどリスクが高まる点には注意が必要です。
詳しくは「死亡した人の銀行口座はそのままだとどうなる?罰則は?少額なら放置してもいい?【行政書士監修】」を参照してください。
不動産
相続登記の令和6年から義務化されました。
相続等により所有権を取得したことを知った日から3年以内に、正当な理由がないのに申請を怠ったとき、10万円以下の過料の対象となります。
また義務化自体は令和6年4月1日から施行ですが、過去の相続についても適用されます。(相続登記の義務化については「【令和6年4月1日から施行】相続登記の義務化で違反の場合は罰則!必須知識をまとめて解説」を参照してください。)
それでも、相続登記をせずにいた場合、次の4つのリスクが生じるおそれがあります。
- 他の相続人の持分を差し押さえられたり、売却されたりするおそれがある
- 不動産の売却・担保設定ができない
- 権利関係が複雑になる
- 次の相続時に2倍の費用がかかる可能性がある
以下、それぞれについて説明します。
他の相続人の持分を差し押さえられたり、売却されたりするおそれがある
相続した不動産の登記をしていなければ、他の相続人の債権者等から不動産を差し押さえられるおそれがあります。
相続する不動産は、遺産分割が済むまでは、すべての相続人が相続分に応じて共有している状態です。
遺産分割協議で誰がどの財産を取得するかを決めて遺産分割を行うと、協議で決まった相続人がその不動産を取得することになります。
しかし、不動産を取得した相続人は、相続登記を行わなければ、その不動産についての権利を第三者に対して主張することはできません。
相続登記を行っていない状態は、第三者から見れば、まだ遺産分割が済んでいない共有状態になるのです。
ですので、他の相続人の債権者は、その相続人が債務を弁済しない場合は、その不動産についてのその相続人の持分を差し押さえることができることがあるのです。
また、他の相続人に債務がある場合だけでなく、他の相続人が勝手に共有登記をして共有持分を売却することもできてしまいます。
そうすると、どちらにせよ、見ず知らずの人と不動産を共有している状態になってしまいます。
この状態を解消して不動産を単独で所有するには、共有持分を買い取ることになるでしょう。
共有持分の買い取りに要した費用は、債務者であった相続人に求償することができますが、差し押さえを受けるくらいなので、求償に応じる程の資力がなく、回収することは難しいでしょう。
このように、相続登記をしていないと、余計な出費がかかるおそれがあります。「まさか差し押さえの対象になるとは」と、後になって気づく方も少なくありません。
不動産の売却・担保設定ができない
相続登記をしていないと、相続した不動産を売却したり、不動産に担保権を設定したりすることができません。
それでは、売却したり、担保権を設定したりする時に、相続登記をすればよいではないかと思われるかもしれませんが、それは、お勧めできません。
その理由は2つあり、ひとつは、前述の通り、その間に不動産を差し押さえられるおそれがあるためで、もうひとつは、登記をしようと思った時には、権利関係が複雑化して、登記をすることが大変になっていることがあるからです。
権利関係が複雑になる
登記をしようと思った時には、権利関係が複雑化して、登記をすることが大変になっていることがあるとはどういうことでしょうか?
例えば、被相続人の妻Aと被相続人の姪B(※Bの直系尊属は既亡)が共同相続人のケースで、口約束で不動産をAが取得することになったとします。
Aが相続登記を行わずにいたところ、Bが亡くなり、Bの夫CがBの財産(相続人としての地位)を相続したとします。
その後、Cも亡くなり、Cの甥姪D〜Kの8人がCの財産を相続したとします。
その後、Aは相続した不動産を売却するために、相続登記を行おうとしても、そのためには、被相続人の姪の夫の甥姪という見ず知らずのD〜Kの8人の同意(遺産分割協議への参加)が必要になります。
その8人が気の良い人たちであれば、同意してくれるかもしれませんが、お金に困っていたりすると、同意に応じる代償としてのハンコ代を求められたり、共有持分の買い取りを請求されることも考えられます。相続で「見ず知らずの人と交渉しなければならなくなる」というのは、多くの方が想像していないリスクではないでしょうか。
次の相続時に2倍の費用がかかる可能性がある
相続登記をしないと、その人が登記費用を節約できても、その人の相続人が、その人の分まで登記費用を負担しなければならない可能性があります。
どういうことかというと、例えば、不動産の所有者が亡くなって(一次相続)、相続人がその不動産について相続登記をしないまま亡くなったとします(二次相続)。
二次相続の相続人が相続登記をする場合には、原則として一次相続の相続登記と二次相続の相続登記の2回分の手続きをしなければならず、倍の費用や司法書士報酬がかかってしまうのです。
したがって、登記費用の節約のために相続登記をしないということは、次の世代に自分の分の登記費用を押し付けているという言い方もできます。
なお、現在は相続登記の義務化に伴い、一定の要件を満たせば一代前の相続登記にかかる登録免許税が免税となる特例措置が設けられているため、税金面については必ずしも2倍にならない場合もあります(2026年4月現在)。しかし、戸籍集めの手間や司法書士への報酬といった負担が倍増することには変わりありません(詳しくは法務局のホームページ「相続登記の登録免許税の免税措置について」を参照ください)。
株式
株式は、相続すれば相続人のものになります。
ただし、会社に対して株主としてきちんと扱ってもらうには、株主名簿の名義を書き換えておくことが大切です。名義を書き換えないままだと、配当のお知らせなどが届かず、実際には配当を受け取れないことがあります。
さらに、会社からの通知が長いあいだ届かない場合には、その株式が「所在不明株主」のものとして売却されたり、会社に買い取られたりすることがあります。その場合、株主としての立場はなくなります。この場合、売却代金や買い取り代金を受け取る権利は相続人にありますが、請求できる期間には限りがあります。「気づかないうちに株主でなくなっていた」というのは、放置によって起こりうる典型的な損失の一つです。
なお、株式の相続については「株式の相続手続き|株式の評価と名義変更、現金化など分割方法について解説」で詳しく紹介しています。
相続税を払わないままでいると受ける罰則
相続税を払わなくてはいけないにもかかわらず放置してしまうとさまざまな罰則があります。
ただし、相続税はすべての人にかかるわけではありません。相続税には基礎控除という制度があり、相続人等が取得した遺産の課税価格の合計額から基礎控除額を控除した残額に対して相続税がかかる仕組みになっていますので、遺産の課税価格の合計額が基礎控除額以下の場合は、相続税はかかりません。
基礎控除額は、以下の計算式によって計算することができます。
3000万円+600万円×法定相続人の数
法定相続人とは、相続することができると法律で定められた人のことです。(相続人についての詳細は「法定相続分と法定相続人|法定相続人の相続順位や法定相続分の計算方法【行政書士監修】」を参照してください。)
相続税の申告期限は、その相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です。
相続税の申告期限内に申告しない場合は、追徴課税や刑事罰を受ける場合があります。「遺産が基礎控除ギリギリの額で申告が必要なケースかどうか自分で判断できない」という点に不安を感じる方は多く、判断を誤ったまま放置してしまうと、後述する加算税・延滞税が重くのしかかることになります。
相続税申告のやり方などの詳細は「相続税の基礎知識|相続税の対象になる財産と計算方法、控除額、申告と納税の仕方【税理士監修】」を参照してください。
追徴課税
追徴課税には、加算税と延滞税があります。
この2つの違いをざっくりと説明すると、加算税とは適切に申告しなかった人に対して加算される罰則的な意味合いの税金で、延滞税とは適切に納付しなかった人に対する利息的な意味合いの税金です。
適切に申告しない場合は、納付も適切に行えていないでしょうから、加算税と延滞税の両方が課せられることになります。
また、申告は適切に行ったものの、納付しなかった場合は、延滞税が課せられることになります。
加算税
加算税には、次の4つの種類があります。
- 無申告加算税
- 過少申告加算税
- 不納付加算税
- 重加算税

出典:財務省(加算税の概要)
このうち不納付加算税は、申告ではなく納付に関係する加算税で、源泉所得税に関するものなのですが、相続税とは関係がないので、ここではそれ以外の3つについて説明します。
無申告加算税
無申告加算税は、申告を行うべきケースであるにもかかわらず、申告期限(相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内)までに申告を行わなかった場合に課せられる加算税です。
原則として、無申告加算税の税率は、本来納付すべきだった税額に対して、50 万円以下の部分は 15%、50 万円超 300 万円以下の部分は 20%、300 万円を超える部分は 30%です(令和 6 年 1 月 1 日以後に法定申告期限が到来するもの)。
例えば、本来納付すべき税額が100万円だった場合の無申告加算税は次の式で計算することができます。
50万円×15%+(100万円−50万円)×20%=17万5千円
なお、税務調査によらず自主的に期限後申告を行った場合は、税率は一律5%に軽減されます(決定を予知しての申告でない場合に限ります)。
一方、平成 29 年 1 月 1 日以後に法定申告期限等が到来する国税については、税務署からの調査の通知以後に提出され、かつ、その提出が調査による更正又は決定を予知してされたものでない場合には、その申告に基づいて納付すべき税額に 10%(50 万円を超える部分は 15%、令和 6 年 1 月 1 日以後に法定申告期限が到来するものについては 300 万円を超える部分は 25%)の割合を乗じて計算した金額に相当する無申告加算税が課されます。詳細は国税庁のホームページをご覧ください。
過少申告加算税
過少申告加算税は、申告はしたが申告した税額が過少であった場合に課せられる加算税です。
原則として、過少申告加算税の税率は、新たに納めることになった税額(増加税額)に対して、50 万円以下の部分は 10%、50 万円超 300 万円以下の部分は 15%、300 万円を超える部分は 20%です(令和 6 年 1 月 1 日以後に法定申告期限が到来するもの)。
なお、税務調査によらず自主的に修正申告を行った場合は、過少申告加算税は課されません 。
一方、平成 29 年 1 月 1 日以後に法定申告期限等が到来する国税については、税務署からの調査の通知以後に提出され、かつ、その提出が調査による更正を予知してされたものでない場合には、その申告に基づいて納付すべき税額に 5%(期限内申告税額と 50 万円のいずれか多い額を超える部分は 10%、令和 6 年 1 月 1 日以後に法定申告期限が到来するものについては 300 万円を超える部分は 20%)の割合を乗じて計算した金額に相当する過少申告加算税が課されます。
重加算税
重加算税は、事実を仮装隠蔽し申告を行わなかった場合や、仮装に基づいて過少申告を行った場合に課せられる加算税です。
単なる申告漏れではなく、贈与を受けたことを隠して脱税しようとしたような場合が対象です。
税率は、無申告の場合が40%で、過少申告の場合が35%と大変重くなっています。
延滞税
延滞税は、前述の通り、納税が遅れた場合に課せられる利息的な意味合いの税金です。
延滞税は、納付期限の翌日から納付の日まで課せられます。法定納付期限の翌日から実際に納付する日までの期間について課されます。
税率は、納付期限から2か月以内とそれ以降とで異なり、また、世の中の金利とも連動して変動します。
原則の上限は、2 か月以内が年 7.3%、2 か月超が年 14.6%ですが、令和 3 年 1 月 1 日以後の期間については、それぞれ「7.3%と特例基準割合+1%のいずれか低い方」「14.6%と特例基準割合+7.3%のいずれか低い方」が適用されます。
実際の税率は毎年変動し、令和 8 年分(2026 年)は、2 か月以内が年 2.8%、2 か月超が年 9.1%です。
放置している期間が長くなるほど延滞税は積み上がっていくため、「そのうち払おう」と先延ばしにするほど、結果的に支払う金額が増えていくという点は、誰にとっても見過ごせないポイントです。
刑事罰が科せられるおそれもある
相続税を脱税すると、前述の重加算税や延滞税が課せられるだけでなく、裁判で有罪となった場合には、懲役や罰金が科せられる可能性があります。
法定刑は、故意に税を免れる意思があり申告しなかった場合(脱税)は、10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金、申告義務があることを知りながら正当な理由なく申告しなかった場合は、5年以下の懲役または500万円以下の罰金、過失(うっかり)で申告しなかった場合でも、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される恐れがあります。
専門家に相談したほうがよい理由
ここまで見てきたとおり、相続手続きの放置には「期限が来て選択肢自体がなくなる」リスクと、「時間が経つほど権利関係や費用負担が悪化する」リスクの両方があります。特に次のような方は、自分だけで判断を続けるのではなく、早めに専門家へ相談することをおすすめします。
- 相続放棄・限定承認をすべきか判断がつかず、3か月の期限が迫っている
- 遺産の中に借金があるかどうか分からず、調査に時間がかかりそうな方
- 相続税がかかるかどうか自分で判断できない、または申告が必要か不安な方
- 相続登記をしないまま何年も経っている不動産がある方
- 相続人同士の話し合いが進まず、手続き自体が止まってしまっている方
専門家に相談すれば、今の状況で何が期限切れになりかけているのか、どの手続きを優先すべきかを整理してもらえます。「今さら相談してもいいのだろうか」と感じる方も多いかもしれませんが、放置している期間が長いほど選択肢は狭まっていくため、相談自体は早いに越したことはありません。相談したからといって、必ず依頼しなければならないわけではありませんので、まずは状況を伝えるところから始めてみてください。
相続手続きの放置状況を確認するチェックリスト
ご自身の状況が当てはまるかどうか、以下の項目を確認してみましょう。
チェックが付いた項目が多いほど、放置を続けることで失われる選択肢や、後から発生する負担が大きくなっている可能性があります。特に「期限にかかわるもの」に一つでも該当する方は、対応を急ぐ必要があります。
この記事のポイントとまとめ
以上、「相続手続きをしなかったら、どうなるか」について説明しました。最後にこの記事のポイントをまとめます。
相続税の申告や、相続登記などの手続きを放置していたら、罰則をうけるおそれがあります。また、相続放棄や遺留分侵害額請求できなくなるなど大損する可能性もあります。相続手続きは専門家に代行を依頼できることが多いので、自分ではできそうにないときは専門家に任せることをおすすめします。
「いい相続」では、お客様が相続について困っていらっしゃることを丁寧に伺い、お客様に必要な手続きができる相続に強い専門家をご紹介します。相談したからといって依頼が必須になるわけではありませんので、まずは今の状況を整理する意味でも、一度お気軽にご相談ください。
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