【事例】相続人は自分一人?相続手続きはどうすれば良いですか?(56歳男性 遺産3,500万円)【行政書士執筆】
「いい相続」や提携する専門家に寄せられた相続相談をもとに、その解決策を専門家が解説するケーススタディ集「相続のプロが解説!みんなの相続事例集」シリーズ。
今回は、相続人が一人しかいない場合の相続について、56歳男性の方からの相談事例をご紹介します。
解説は、行政書士法人アベニールの行政書士、古田智史さんです。
目次
この記事を書いた人
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相続人が一人の場合の相続手続き
相談内容
唯一の家族であった父が亡くなってしまいました。母は10年前に他界しているので、家族は僕だけです。身近な親戚はいないので、相続人は一人だけだと思います。その場合、相続手続きはどうすれば良いですか?
- プロフィール:56歳男性
- お住まい:宮城県
- 家族構成:長男(相談者本人)
- 被相続人:父
財産の内訳 | 内 容 | 評価額 |
---|---|---|
不動産 | 自宅戸建て(土地・家屋) | 2,000万円 |
預貯金 | 1,000万円 | |
生命保険 | 契約者・被保険者:父 受取人:長男 |
500万円 |
※プライバシー保護のため、ご住所・年齢・財産状況などは一部架空のものです。
アドバイス1 相続人が一人の場合の戸籍収集と相続財産調査
まずは、相続人が一人の場合の戸籍収集と相続財産調査についてご説明します。
戸籍収集
戸籍収集をして相続人を確定させます。
既にお母様は他界されているとのことですので、今回は長男様お1人が法定相続人となるかと思われます。それを確定させる範囲の戸籍謄本を取得する必要があります。
今回の場合ですと「お父様の一生分の戸籍」、「お母様の結婚してから亡くなるまでの戸籍」、「長男様の現在戸籍」があれば、法定相続人を証明することができます。
戸籍謄本は本籍地のある市区町村が管理しています。結婚や転居等で本籍を変更した場合は、その時点で本籍地のあった全役所が対象となります。
ちなみに、令和6年3月1日から戸籍の「広域交付」制度が開始されております。この制度により、最寄りの市区町村でご自身や配偶者、両親(直系尊属)や子供(直系卑属)等の一生分の戸籍が取得できるようになりました。
今回の場合、必要な戸籍は全て最寄りの市区町村で取得できるのではないでしょうか。とても便利な世の中になりました。
相続財産調査
相続財産調査も並行して行います。
今回は不動産、預貯金、生命保険等の財産額を把握しており、財産総額も相続税の基礎控除内(3000万円+600万円×法定相続人の数。今回の場合は3600万円)ですので、特に心配することはないかと思われます。
必須ではありませんが、証券保管振替機構にてお父様が所有する証券会社や信託銀行等の開示請求ができたり、生命保険協会にてお父様が加入している保険等の契約照会ができますので、利用してみるのも良いでしょう。
もしかしたら現在把握していない株式や保険が存在する可能性もあります。
アドバイス2 相続人が一人なら遺産分割協議書を作成する必要はない
今回は法定相続人様がお1人ですので、遺産分割協議をする必要はございません。
全て長男様が相続するということになります。
ですが、遺言書がないかの確認することをおすすめいたします(遺言書の内容は法定相続分よりも優先されます)。
遺言公正証書の有無は最寄りの公証役場で確認できますし、自筆証書遺言の保管制度を使用していれば最寄りの法務局で確認ができます。
遺言書が存在しないほうが多いですが、確認をして安心できるのは良いでしょう。
アドバイス3 相続人が一人しかいなくても預金や不動産の名義変更手続きは必要
相続人が一人しかいない場合でも、名義変更の手続きが必要です。
預貯金の手続き
預貯金の相続手続きは、お父様の預貯金口座の名義を長男様に変更するわけではなく、お父様の口座を解約し、ご自身の口座に現存額を移動する手続きになります(今回はありませんが株式は基本解約ではなく名義変更の手続きです)。
相続人様1名の手続きは比較的簡単(遺産分割協議が必要ないため)なので、法定相続人が証明できる戸籍謄本一式と印鑑登録証明書を持参し、お父様名義の口座のある金融機関に赴き手続きをしましょう。
不動産の名義変更
自宅についてもお父様から長男様への相続登記が必要となります。
預貯金口座手続きの書類に加え、不動産の評価証明書、登記簿上の住所を証明するもの等、用意する書類は多岐に渡ります。
また、相続登記をする際は登録免許税がかかりますので、留意が必要です。(不動産評価額の1000分の4、仮に評価額が3000万円だったら免許税12万円です)
令和6年4月1日から相続登記の義務化が開始されており、令和8年4月1日からは住所・氏名に変更があった場合の登記も義務化されます。
そのため早めに相続登記することをお勧めいたします。
(余談)生命保険の手続きも必要
厳密に言いますと生命保険は相続財産ではなく、受取人固有の財産となりますので、預貯金や不動産に比べると簡単な手続きで済むことが多いです。
加入している生命保険会社により必要書類等が異なりますので、事前の確認が必要です。
以上でございます。お困りのことがございましたら是非ご相談ください。
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